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Baseballスター☆ガールズ!  作者: ぽじでぃー
第六章 1回戦! ~vs斡木クラブ~
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69/150

68話 球数と疲労

 7回の表は、相手が7番バッターから始まる。


 投山はもうヒットを打たれるような球は投げていない。

 だが、バッターが粘りに粘る。


 7番バッターが7球、8番バッターが8球、9番バッターが7球。

 三者凡退に抑えた割に球数がかさみ、ついに投球総数が100を超えた。


「良いボールじゃったぞ。体力の方は大丈夫かのう」

「少し、疲れたのだ」


 無理もない。

 体力は人並み外れてはいるが、初の公式戦という精神的疲労の方が大きい。

 しかし、おちおち休む暇もない。


 7回の裏、打順は相模南も7番から。つまりピッチャーの投山から始まる。

 相手投手は簡単に2ストライクを取ると、3球目、ストライクからボールになる変化球で投山のスイングを泳がし、セカンドゴロに打ち取った。


「アイリさんのタイムリーヒットの1点だけじゃしのう。そろそろもう1点取らんと……」


 バットを握りしめ、打席に立つ。

 相手投手はコントロールが良い。


 なら、自分がヒットを打つには、配球を読むしかない。


 1球目、アウトローのストレートを熊捕は打つ気を見せつつも、これを見送る。


(相手ピッチャーも疲れてきとる。わしは足も速くないし、相手としては内野ゴロで打ち取りたいはずじゃ。追い込まれるまでは、全部低めのはず……)


 相手投手の持ち球は、ストレート・カーブ・スライダー。

 確実ではないが、大体ストレートが6割、カーブが3割・スライダーが1割の割合で投げられている。


(追い込まれる前に打ちたいが……。スライダーは捨てていいじゃろう。1球目、打つ気は見せたが完全に遅れたタイミングじゃった。ならキャッチャーはわしがカーブ待ちだと思うはず……)


 低めのストレートに全ての山を張った。

 インかアウトかは考えず、足さばきで対応する。


(来い、来い……)


 投手が投球モーションに入り、スナップを利かせて球を放す。


「っ! 来た!」


 インローのストレート、熊捕は足を開いて球を捌く。


 キィィン! という快音を残して、ボールはセンター前へはじき返された。


「紅葉ナイスヒットだぞ!」


 まるで自分のことのように喜ぶ投山に対し、熊捕は安堵したようにため息をつく。


「なんとか、初ヒットじゃな……」


 続く9番の左門が警戒されている中でも送りバントを確実に決める。


 2アウトながら、ランナー二塁。

 打席には今日ヒットを放っている小鳥遊が入る。

 そこで、斡木クラブは今日初めて内野全員がマウンドに集まった。


「監督は勝負をご所望のようっスね」

「ま、当たり前ね。相手は控えがいないもの。こっちが先攻なのはネックだけど、延長戦になれば有利なのはこっちよ。逆転のランナーをわざわざ出す必要はないわ」


 グラブを口に当て、高峰が会話の舵を取る。


「それで凛、守備位置はどうする?」

「……幸い、セカンドランナーは足が速くないみたいね。レフトは前進。センターは少し前進。ライトは定位置かしら。一二塁間は後ろ目、三遊間は定位置で行くわ。配球は貴女達バッテリーに任せるわ」


 3分ほど話し合った後に解散する。

 小鳥遊は審判に軽く会釈すると、高峰のルーティーンを模倣した。


 少なくとも、相手投手はチーム内で高峰と対戦しているはず。

 それで恐怖してくれれば、動揺してくれれば、猿真似で怒りを覚えるならば。


 だが、相手投手は微塵も動揺しなかった。

 それでも、小鳥遊自身はルーティーンを意識することで、根拠もないが打てそうな予感がした。


「今度、ルーティーンについても少し考えてみよっかな」


 誰にも聞こえないようにそう呟くと、小鳥遊は自分の構えを取る。


 1球目、相手は様子見でボール球の変化球を投じてきた。


(大丈夫だ。集中できてる、ちゃんと見えてる。それに、相手も疲れてるんだ)


 投山と同様、相手投手も100球を超えた。


「必ず、打つ」


 3球目、アウトローのストレートを強引に引っ張った。


「超えろ!」


 打球は、セカンド柴谷のグラブの先を超え、センター前に落ちる。


 痛烈な打球。

 センターの捕球位置と熊捕の足。

 それだけ見ればアウトのタイミングになりそうだったが。


「GO!」


 捕球体勢が悪い。

 三塁コーチャーの右京はそう判断し、腕を―――思い切り回した。

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