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冬の小樽

あらすじ

年が明け、冬の寒さが厳しい1月の小樽で本格的な撮影がスタートします。現場に入ったミンジは、持ち前の明るさで大御所女優たちと打ち解けるだけでなく、気難しいウジン監督の機嫌を取る才能も発揮します。サランはそんなミンジの素質を素直に認め、スカウトしたシウの審美眼に感服します。

サランは映画『冬の海と窓際のジウ』の撮影の為に、再び北海道に来ていた。

1月の小樽は雪が少なくても海からの強めな風で寒々としていて、

夏には優雅に飛んでいた海鳥達も四苦八苦しているように見える。

小樽運河では11月から1万球の青いLEDによるライトアップで幻想的な異世界ムードを醸し出している。

これは1月末まで続き2月はロウソクで雪あかりの路として美しく飾られるのであった。

ロケに使われるホテルは冬季休業となり、そこに撮影スタッフ一同が泊まり込んで撮影に挑む。

12月は3週間で一度切り上げて、年明けは2週目から再開となり、また小樽に入る計画になっていた。

監督はイ・ウジンで去年公開した『私にキスできますか?』は単なる恋愛映画を超えた「芸術映画」として業界内では注目され、商業的にも大成功を納め、勢いに乗っている。

徹底的なリアリズムと、絵画のように美しい映像美を融合させることで知られる、

この監督は想像通りにそれなりの偏屈でも有名である。

ボサボサの髪に無精髭、いつもすり減ったスニーカー。

映画のこと以外には全く無頓着で、気難しい。

商業主義的な大手芸能事務所や「中身のない美人インフルエンサー」を蛇蝎だかつのごとく嫌う。

話題性の高いタンレントが推薦されると、

ウジンはそれらを全て「泥人形の学芸会だ」と却下し、配給会社と大喧嘩して、

映画がお蔵入りなどの可能性もありうる理由から、周囲はピリピリムードで様子を伺っている。

ソン・カナンことサランに災難が来ないのは、ハン・ジヨンやパク・ドユンが既に残した宣材によるところが多いのと、

サラン自身のブラックホールの如く受け入れる謙虚さが、

この気難しい中年男の好感を得ているものと思われる。

これから産声を上げる今回の映画は、病院に模したこのホテルでほぼ完結して、

一部、妄想シーンや回想シーンが組み込まれる内容になっている。

それらは原作者であり、初期の構想を練ったユン・シウの功績によるものだが、

偏屈なイ・ウジンの『今回はこのホテルの中で全て撮り終える』という、根拠も意義もないこだわりと相まって、

極めて合理的に作品が作られそうな予感がしていた。

小樽入りしたサラン達は運河付近のホテルに一泊し、滞在に必要な用意し忘れたものを買い足すと、

イルミネーションで青くなった運河を写真に収めたのであった。

写真を見せられたシウは、猫の『マシロ』と『でんすけ』の世話でソウルにて留守番している。

1日に一度は動画と写真をサランに要求されるので留守番と言えどそれなりに忙しかった。

ユン・シウは小説としては第3作目の『愛、故に君を思う』を完成に向けて取り組んでおり、

『ギリギリの生活がどう恋愛感情に影響するのか?』と自分で描いた作品の実証実験を行なってチェックして、

海を隔てたサランと演技混じりのコミュニケーションをしてくるので、やや彼女の感情を苛立たせている。

サランはそう言いつつも、大量の編み物材料をロケ地に持ち込んでおり、

なんでも買えてしまう人への喜ぶ誕生日プレゼントとして、空いた時間に手編みのローブを用意することにした。

執筆活動中に膝や肩から掛けて使用してもらい、

作品作りと共にある事をアピール出来る良いアイデアだと考えたのであった。

「あなた。そんな事したら、手が荒れるわよ?」

ソン・インナはプロの女優として、懸念するのであるが、

今回は病人の役なので、映画に関してはさほど問題ないように思える。

藤咲化粧品のハンドクリームの広告は、

もはやソン・カナンを手のみにクローズアップして広告に出す意義も無いので、

春まではこの手は編み物で働いてもらうつもりでいる。

劇中の空想シーンで舞や踊りを披露するので、

そのレッスン等があるが『真緑の翡翠』の撮影時にかなり身体を動かしたので、

コンディションは良く、去年まで栄養失調の運動不足とは大きく変化していた。

病人役なのに一年前より健康なのは、残念な気もする。

撮影はソン・インナとチェ・ウナの2人の大御所が居るので、作品はどんどん組み上がっていく感じがする。

サランがいいだけヘソ曲げて不貞腐れたコ・ミンジが来てくれたのも、正直正解だったと思う。

コ・ミンジが面白い事を常に考えるので、一緒にふざけてインナに叱られる回数も増えたのは考えものであった。

彼女はあの気難しいイ・ウジンの機嫌を取るのも上手で、サランには真似出来ない素質が多くある事を知った。

これはスカウトしたユン・シウの優れた才能でもあるとサランは思うのであった。

こうして、『冬の海と窓際のジウ』の撮影は事件もなく、進んで行ったのであった。


今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、

もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。

こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。


※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。


参考データ

※ユン・シウ…小説家25歳

※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳

※ソン・カナン...女優。カン・サランの芸名。ソン・インナに名付けられた。

※ソン・インナ…女優、シウの母親

※ユン・ジュンソ...シウの父。総合映像制作会社S.S.Iの会長

※ユン・ヒョヌ...シウの異母兄。ソヒョン・チョヨンの恋人。S.S.Iの後継者

※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス

※イ・ウジン...映画監督。『残酷な美しさ』『私にキスできますか?』

※パク・ドユン...映画監督。シウの親友。Juringエンタ常務。映像制作部部長。

※イ・ダイン...『私にキスできますか?』ヒロイン

※キム・ソヒョン...シウの元恋人『Love Hunt』プロデューサー。

※キム・ソンミン...キャサリン。薔薇組第二夫人。数千万ウォンの身体を誇る

※ハン・チョヨン...女優『私にキスできますか?』イ・ダイン役

※ハン・ジヨン...女流写真家。奇跡の1枚を撮る「アメイジングメーカー」

※ナ・ジウ...薔薇組音響アシスタント。通称小枝。


※虹の薔薇組...ドユンのハーレム軍団。精鋭撮影チーム。

※佐藤直樹...ユン・シウの祖父。伝説の投資家。

※佐藤志乃...ソン・インナの本名。

※天翔樹林...ソン・インナのシルフィード歌劇団時代の芸名。

※涼風小鳥...中村綾。サランの母親。

※中村綾...サランの母親

※トリニティG...韓国最大の財閥グループ

※S.S.I...総合映像制作会社

※Juringエンタ...芸能事務所兼資産管理会社。会長インナ。社長シウ。

※アトリエ・ノア...中堅芸能事務所。サランことカナンが所属していた。

※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組

※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説

※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説

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