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『Love Hunt3』

あらすじ

浮気した元恋人の策略で恋愛番組に出演した小説家のシウ。

周囲を傷つけないよう不名誉な役割を演じた当時の裏事情をサランに語るが、

彼女は周りのために泥をかぶったシウの姿勢を「格好いい」と優しく肯定する。

 話題が『Love Hunt3』に移るのに、さほど時間はかからなかった。

「先生、『Love Hunt3』でも素敵でしたけど、実物はもっと格好いいですね。番組で『ソウルの顔面犯罪』なんて呼ばれていたの、私すごく面白くて」

『ソウルの顔面犯罪』――大女優ソン・インナの血を引く圧倒的な美貌ゆえに、

番組の男性陣から向けられた、嫉妬混じりのあだ名だ。

顔が良すぎるせいで、

女性陣の視線がすべてシウに奪われることへの嫌みでもあった。

その呼び名のどこに笑う要素があるのだと、シウの心は冷めていた。

ただの視聴者であるサランに悪意がないのは重々承知していたが、

シウにとってそれは、ただの陰湿な悪口でしかなかった。

そもそも、あの忌々しい番組への出演は、

第二作目の小説『ずっと僕は君を』が生まれた歪な背景と地続きだった。

高い人気を誇る恋愛リアリティショー『Love Hunt』の制作元は、

シウの父親が経営する「S.S.I」という会社だ。

第3シーズンの企画が動き出した当時、

シウはちょうど兵役を終えて除隊したばかりだった。

帰国した彼を待ち受けていたのは、

恋人が実の兄に乗り換えていたという酷な現実。

しかもその元恋人、

キム・ソヒョンこそが番組の担当プロデューサーだったのだ。

気まずさを隠蔽するためか、彼女は最悪の保身を思いつく。

シウを『Love Hunt3』に参加させるよう、

彼の父や兄を抱き込んでけしかけたのだ。

『番組の成功と、ユン・シウの作家としての飛躍のため』。

彼女はそう言ってのけたが、本音は違ったはずだ。

自分が浮気をして乗り換えた罪悪感をうやむやにするため、

元カレを安直な恋愛の狂騒に放り込もうとしたのだろう。

シウはそう確信していた。

「あの美貌なら、どうせ他の女がすぐに群がるだろう」

という彼女の身勝手な思惑ごと、

あえて罠に飛び込むフリをして、シウは出演を承諾した。

2ヶ月に及ぶ合宿生活の中で、

第二作『ずっと僕は君を』を書き上げられたのは、

そこに生々しい実体験がこれでもかと詰め込まれていたからだ。

番組側の演出として課された「日記」も、執筆に拍車をかけた。

普段から日記は書いていたが、

恋愛リアリティショーという密室内での日記は、

導火線に火のついた花火のような危うい魅力を孕む。

他人の秘められた剥き出しの本心が、そこには透けて見えるからだ。

しかし、肝心の女性たちとの交流において、

シウの心は完全に死んでいた。

何より失恋の直後であり、

元恋人であるプロデューサーとの確執も泥沼化している最中だ。

新しい恋を始める余裕など、ひとかけらも残っていなかった。

参加した5人の女性たちは誰もが魅力的で、

シウはむしろ

「他の男たちに意中の人がいるなら、自分は裏方に回って応援したい」

とすら願っていた。

だが、週に一度のデートが義務づけられた番組のシステム上、

平穏に過ごせる相手を慎重に選んだ結果、

相手に「好意がある」と勘違いさせてしまったことは、

今でも申し訳なく思っている。

それでも、一人の男として、

誰に対しても紳士的に振る舞う努力だけは通した。

当然、番組が終わってからは彼女たちの誰とも連絡は取っていないし、

会ってもいない。

他の男性メンバーからの嫉妬を感じた時は、

いつも一歩引いて道を開けた。

その意気地のない立ち回りは、

やがて視聴者から『軟体世子』と揶揄されるようになる。

さらに最後には、世間の知るとおり

『乱心プリンス』という不名誉な烙印を押されて、

シウの挑戦は幕を閉じた。

最終告白で見せた「最も脈のない女性への告白」という暴挙は、

もし地上波であれば歴史的な高視聴率を叩き出していただろう。

ネットにはその歪な幕引きを嘲笑う切り抜き動画が、

星の数ほど溢れた。

だが、男性参加者は最終回で必ず誰かに告白しなければならない、

という絶対のルールがある。

相応の年齢を重ねた大人である以上、

与えられた役割への責任は果たさねばならない。

大衆にとって、他人の色恋沙汰など消費されるだけの無料コンテンツに過ぎないのだ。

実際のところ、あの場にいた参加者たちはみな真面目で、善い人ばかりだった。

だからこそ、

シウが「自分のせいで誰も傷つけないように」とあえて泥を被った立ち回りは、

彼にとって唯一納得のいく、誠実な抵抗だったのだ。

サランにこれほど裏事情をまくし立てたのは、

他でもない彼女にだけは、自分の本意を誤解されたくなかったからだった。

しかし、シウの言葉を受け止めたサランの瞳に、軽蔑の色はなかった。

彼女は、あえて自らのイメージを地に落とす道を選んだシウの痛切な優しさに触れ、

「なんて勇気があり、心優しく、懐の深い人なのだろう」と、

その本質を見抜いていたのだ。

サランは静かに、けれど確かな熱を込めて言った。

「私は『軟体世子』も『乱心プリンス』も、その場で必要だったからこそ、先生が必死になり切ったんだと思います。だから――それって、ものすごく格好いいですよ!」

その真っ直ぐな言葉が、シウの凍てついた過去を優しく包み込むように、温かく響いた。

今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、

もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。

こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。


※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。


参考データ

※ユン・シウ…小説家25歳

※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳

※ソン・カナン...女優。カン・サランの芸名。ソン・インナに名付けられた。

※ソン・インナ…女優、シウの母親

※ユン・ジュンソ...シウの父。総合映像制作会社S.S.Iの会長

※ユン・ヒョヌ...シウの異母兄。ソヒョン・チョヨンの恋人。S.S.Iの後継者

※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス

※イ・ウジン...映画監督。『残酷な美しさ』『私にキスできますか?』

※パク・ドユン...映画監督。シウの親友。Juringエンタ常務。映像制作部部長。

※イ・ダイン...『私にキスできますか?』ヒロイン

※キム・ソヒョン...シウの元恋人『Love Hunt』プロデューサー。

※キム・ソンミン...キャサリン。薔薇組第二夫人。数千万ウォンの身体を誇る

※ハン・チョヨン...女優『私にキスできますか?』イ・ダイン役

※ハン・ジヨン...女流写真家。奇跡の1枚を撮る「アメイジングメーカー」

※ナ・ジウ...薔薇組音響アシスタント。通称小枝。


※虹の薔薇組...ドユンのハーレム軍団。精鋭撮影チーム。

※佐藤直樹...ユン・シウの祖父。伝説の投資家。

※佐藤志乃...ソン・インナの本名。

※天翔樹林...ソン・インナのシルフィード歌劇団時代の芸名。

※涼風小鳥...中村綾。サランの母親。

※中村綾...サランの母親

※トリニティG...韓国最大の財閥グループ

※S.S.I...総合映像制作会社

※Juringエンタ...芸能事務所兼資産管理会社。会長インナ。社長シウ。

※アトリエ・ノア...中堅芸能事務所。サランことカナンが所属していた。

※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組

※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説

※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説

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