『雷丸(らいまる)改』と『豚鼻未遂事件』
あらすじ
映画『真緑の翡翠』の撮影スケジュールが過密を極め、サラン(カナン)が合宿所へ帰ることが困難になったため、番組側は大人たちの事情から参加者3名を北海道に送り込む「週末北海道Wデート」を敢行します。サランの流暢な日本語によるスマートな案内のもと、一行は地獄谷や洞爺湖などの観光やグルメを満喫し、ロケは順調に進むかに見えました。
『Love Hunt4』ではラブハントシャトーにて合宿を行い、
週末毎にランダムで男女1組になってデートをしていく、
ソン・カナンは映画のスケジュールが大幅にタイトになっており、
ラブハントシャトーに帰る事さえ困難な状況であった。
業を煮やした番組制作側は、参加者3名を北海道に送りこみ、
週末北海道Wデートを計画した。
これはメインプロデューサー、キム・ソヒョンの意思は弱く、
概ね大人の事情による制作会議によるものである。
番組として海外ロケは初めての試みで、今後沖縄なども考慮すると、
試験的にロケ実施もよいという判断であった。
早速、その週末に3名の参加者が、カナンのロケ地である登別市に訪れた。
ここに江戸時代の街並みを再現したカルチャーパークがある。
主に夜。オープンセットとして撮影しているのである。
Wデート組は地獄谷や地球岬。洞爺湖を巡って楽しんだ。
カナンは日本語ができるので、交渉や食事の際の注文など、スマートに一行を案内し、
洞爺湖湖畔の夜の散歩にて日程を終了する予定であった。
ラーメン。つぶ貝のつぼ焼き。ホタテのバター焼き。じゃがバター。とろろ蕎麦などを案内した。
順調にロケが進んでいたWデート企画であったが、夜になってトラブルが発生した。
参加者の男性ハン・ジホが騒ぎを巻き起こしたのだ。
彼はインディーズ映画俳優で27歳、
純朴さと狂気を秘めた実力者俳優との評価がされている人物でもある。
口数は少ないが自信過剰でナルシストな所があり、
異性に対しても利己主義な面があった。
『Love Hunt4』に自身満々で参加したものの、本人のプライドに反して、
女性参加者の反応が悪く、彼は焦っていたのだ。
自己評価と比べ他者評価が低い事をこの年齢まで、気が付いていなかったのである。
あえて言えば、ユン・シウと真逆な男性とも言える。
ハン・ジホとソン・カナンとで夜の湖畔を散歩するシチュエーションで、
彼は強引にカナンを抱きしめようとした。
強引に攻めれば女性はその気になるとの勘違いと、
中途半端な役者ならではの自己満足的な演出意識が原因だと思われる。
カナンは悲鳴をあげて、ハン・ジホを交わすと、『雷丸改』を吹き鳴らした。
ちょうど一カ月ほどカナンはアクション指導を受けており、
『右旋回下段脚払い』を習得していた。
撮影ではそれを2連続3連続行い戦闘シーンの臨場感を見せる演出である。
これは東京シルフィード歌劇団の星組オリジナル演目。
『桜と風の月姫』において、ヒロイン涼風小鳥が披露した、
素早く優雅に次々と共演者の横を擦り抜け、
縦横無尽に駆け抜ける演出と酷似していた。
サランは母親が披露したこの演出を見事に習得すべく、
必死に練習していたのである。
おかげでひょいとジホの両腕をかい潜り、背面に回る事ができた。
そして凶悪さをました、金切り音の笛、『雷丸改』は
正式名称を、
『恐ろしき危機が訪れた時の為の雷丸改』という。
これは『雷丸』の吹き口に加工したビーズを手作業ではめ込み、
最新流体力学をイメージしたセルフ改造の笛である。
サランが幼い時にビーズを鼻に入れて遊んでいたところ、
鼻からビーズが取れなくなってしまった。
焦って興奮したサランは息を荒くしていたのだが、
その時、挟まったビーズの中央の穴が「ピーピーピーピー」鳴っていたのである。
騒ぎに気が付いた母親の中村綾は、
「ビーズを取り出すには娘の鼻を切開しないといけない。
それではこんなに可愛く生まれてきた娘の鼻がまるで『豚の鼻』みたいに、
なってしまうのではないか?」と、
それは、それは酷く嘆き悲しんだ。
幸い、サランがくしゃみをしてビーズはどこかに飛んでいき、
事なきを得たのだが、
カン家ではこの時の事件を『豚鼻未遂事件』として、記憶に残っている。
そのような経緯から、今回、魔改造を施されたこの笛は、
サランが言うところのいろんな意味での『魔笛』なのであった。
『雷丸改』の音を聞いたスタッフはあわてて、カナンの救出に走った。
最初に到着したキム・ソヒョンは問答無用で持っていたタブレットの側面で、
ハン・ジホに打撃を与え、そのまま平手で殴打を繰り返した。
運悪く、『雷丸改』を聞いた巡回中の警察官が駆け付け、
キム・ソヒョンがハン・ジホに暴行しているように見えてしまった。
性根の曲がっているこの男は、自分のしでかした事を棚に上げ、
被害を訴えたので、キム・ソヒョンが警察に行くことになってしまったのだった。
翌朝、撮影陣のサブカメラ等で証拠映像を提出し、ソヒョンは帰ってきた。
一方、カナンはソヒョンが自分を守って警察に連れて行かれた事がショックで、
泣きすぎて過呼吸を起こし、救急車で病院に運び込まれた。
シウ達が病院に駆けつけ、翌日退院はしたのだが、
問題のハン・ジホの番組強制追放。
暴行トラブルとしてキム・ソヒョンの担当プロデューサー降板。
映画撮影を考慮して、参加続行不可能との判断でソン・カナンの番組辞退が決定された。
こうしてソン・カナンの『Love Hunt4』は幕を閉じた。
ただし、使用可能な映像に関しては、そのまま配信されることが決定したのだった。
今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、
もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。
こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。
※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。
参考データ
※ユン・シウ…小説家25歳
※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳
※ソン・カナン...女優。カン・サランの芸名。ソン・インナに名付けられた。
※ソン・インナ…女優、シウの母親
※ユン・ジュンソ...シウの父。総合映像制作会社S.S.Iの会長
※ユン・ヒョヌ...シウの異母兄。ソヒョン・チョヨンの恋人。S.S.Iの後継者
※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス
※イ・ウジン...映画監督。『残酷な美しさ』『私にキスできますか?』
※パク・ドユン...映画監督。シウの親友。Juringエンタ常務。映像制作部部長。
※イ・ダイン...『私にキスできますか?』ヒロイン
※キム・ソヒョン...シウの元恋人『Love Hunt』プロデューサー。
※キム・ソンミン...キャサリン。薔薇組第二夫人。数千万ウォンの身体を誇る
※ハン・チョヨン...女優『私にキスできますか?』イ・ダイン役
※ハン・ジヨン...女流写真家。奇跡の1枚を撮る「アメイジングメーカー」
※ナ・ジウ...薔薇組音響アシスタント。通称小枝。
※虹の薔薇組...ドユンのハーレム軍団。精鋭撮影チーム。
※佐藤直樹...ユン・シウの祖父。伝説の投資家。
※佐藤志乃...ソン・インナの本名。
※天翔樹林...ソン・インナのシルフィード歌劇団時代の芸名。
※涼風小鳥...中村綾。サランの母親。
※中村綾...サランの母親
※トリニティG...韓国最大の財閥グループ
※S.S.I...総合映像制作会社
※Juringエンタ...芸能事務所兼資産管理会社。会長インナ。社長シウ。
※アトリエ・ノア...中堅芸能事務所。サランことカナンが所属していた。
※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組
※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説
※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説




