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『愛、故に君を想う』

あらすじ

映画『冬の海と窓際のジウ』の制作発表が行われた日の夜、ユン・シウは静まり返った自室のデスクに向かい、執筆に没頭していました。ふと、仕事のサポート用に契約しているAIサービスのデータ使用量が通常の2倍に跳ね上がっていることに気づきます。サランに貸し出したノートパソコンはクラウドで繋がっているため、彼女がAI『ダボ』を使い倒していることは明白でしたが、多忙を極めるサランが、本職の作家である自分と同等以上のデータ量を消費していることにシウは驚きを隠せませんでした。

『冬の海と窓際のジウ』

制作発表の夜。

ユン・シウは自室の机に居た。

窓から流れ込む風には、昼間の暖かさを置き去りにした微かな涼しさが混じっていた。

広大な豪邸の二階に位置するその部屋は、高い天井まで届く壁一面の本棚に囲まれている。

艶やかなマホガニーの床には、深く落ち着いたアースカラーのペルシャ絨毯が敷き詰められていた。

部屋の隅には革張りの重厚なソファが置かれ、

その傍らで真鍮製のスタンドライトが琥珀色の柔らかな光を投げかけている。

部屋の主である小説家は、部屋のほぼ中央に据えられた大きなアンティーク調の木製デスクに向かっていた。

カチ、カチ、と静寂の中に響くのは、キーボードを叩く規則的な音だけだ。

大型モニターの白い光が、男の真剣な眼差しを青白く浮かび上がらせている。

デスクの端には、氷の溶けかけたロックグラスが置かれていた。

琥珀色の液体が、パソコンのバックライトを反射して小さくきらめく。

窓の外に目をやると、手入れのそれほど行き届いていない庭の木々が、

秋の訪れを告げるようにサラサラと音を立てて揺れていた。

人々の喧騒から切り離されたこの一室で、シウはただ一人、

夜の静寂を味方にしながら、言葉の海へと深く潜り込んでいた。


「『永遠とわの恋、故に君を想う』

泉の水が満たされて、光り輝き溢れたら、

あなたは私にキスできますか?

私は願い、その時を待ち。そっと目を閉じる。

永遠とわの恋、故に君に焦がれ。

永遠とわの恋、故に君を待ち。

愛、故に君を想い。

愛、故に君を愛す。


もし路頭に迷ったなら、口づけを交わしましょう。

それが私達の蘇生術。

私は何度でも口づけます。

君こそが永遠とわの恋だから。


あなたは私にキスできますか?


愛、故に君を想う。」


しばらく、画面に現れた詩を読み、腕を組んだ。

シウは仕事などのサポートにAIサービスの契約をしている。

自分専用AI『ダボ』はこの契約から、誕生したのだが、

一カ月のデータ使用料によって支払い金額が決定する。

支払い料金は不問として、データ使用量が倍になった事に、

興味をもったのであった。

サランへ貸し出したノートパソコンとは、クラウドが繋がっており、

もちろんAI『ダボ』にもいつでもアクセスできる。

データ使用料の変化は、サランがAIを使い倒している事が原因なのは明らかなのだが、

問題なのは、作家の自分と同じデータ使用量を消費している点である。

『真緑』の脚本など、作家として忙しい部類の人間なのは自認していが、

その自分と同等のデータ使用量とは驚きであったのだ。

まして、今彼女はリアリティ番組出演と映画撮影の多忙な生活をしている。

そしてAI『ダボ』に尋問していたのであった。


「これ、全部サランが書いたのか?」

『はい。サランさんが書きました。』

「嘘つけ。お前も手伝っただろ?」

『いや。え。あ。はい。ちょっとだけ手伝いました。』

「手伝ってもいいけど。サランが何を書いているか、今後、連絡するように。」

『いや。それはダメです。サランさんに秘密にするように言われていますから。』

「おい!お前の主人。誰だと思っているのだ?」

『はい。もちろんサランさんです。』

え。

AIとはなんぞや。本当に優秀なのか?契約者を間違えるとは。

「まあいい。次の返詩をサランが読むように見せてくれ」

『はい。わかりました』


「『愛、故に君を想う』

心の泉が満たされて、想いが煌めき溢れた今、迷わず、あなたにキスをします。

その心の扉を開けてください。

永遠とわの恋、故に私は応え。

永遠とわの恋、故にあなたを迎え。

愛、故にあなたを想い。

愛、故にあなたを愛す。

たとえ暗い路頭に迷おうとも、君への想いが、確かな光。

それが私達の蘇生術。

私は何度でも抱きしめる。

あなたこそが永遠とわの恋だから。

私は今、あなたの心にキスをしました。


愛、故に君を想う。」


今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、

もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。

こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。


※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。


参考データ

※ユン・シウ…小説家25歳

※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳

※ソン・カナン...女優。カン・サランの芸名。ソン・インナに名付けられた。

※ソン・インナ…女優、シウの母親

※ユン・ジュンソ...シウの父。総合映像制作会社S.S.Iの会長

※ユン・ヒョヌ...シウの異母兄。ソヒョン・チョヨンの恋人。S.S.Iの後継者

※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス

※イ・ウジン...映画監督。『残酷な美しさ』『私にキスできますか?』

※パク・ドユン...映画監督。シウの親友。Juringエンタ常務。映像制作部部長。

※イ・ダイン...『私にキスできますか?』ヒロイン

※キム・ソヒョン...シウの元恋人『Love Hunt』プロデューサー。

※ハン・チョヨン...女優『私にキスできますか?』イ・ダイン役

※ハン・ジヨン...女流写真家。奇跡の1枚を撮る「アメイジングメーカー」

※虹の薔薇組...ドユンのハーレム軍団。精鋭撮影チーム。

※佐藤直樹...ユン・シウの祖父。伝説の投資家。

※佐藤志乃...ソン・インナの本名。

※天翔樹林...ソン・インナのシルフィード歌劇団時代の芸名。

※涼風小鳥...中村綾。サランの母親。

※中村綾...サランの母親

※トリニティG...韓国最大の財閥グループ

※S.S.I...総合映像制作会社

※Juringエンタ...芸能事務所兼資産管理会社。会長インナ。社長シウ。

※アトリエ・ノア...中堅芸能事務所。サランことカナンが所属していた。

※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組

※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説

※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説

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