制作発表記者会見
あらすじ
シウの作品を猛烈に読み込み、無意識に彼の思考パターンを習得していたサランにとって、このシンガーソングライターは脅威にはなり得ませんでした。さらにサランは、多忙で髪が伸びてミステリアスさが増し、アクショントレーニングで「イカすお兄さん」へと進化しているシウを観察します。心の中でシウの詩(「永遠の恋ゆえに君を想い…」)を反芻して微笑んでいたその時、取材陣から主演女優ソン・カナンへの質問が始まるのでした。
翌日。
映画『真緑の翡翠<グリーン・ジェイド>~最期の戦い~』
今日はいよいよ。制作発表記者会見の日である。
ソン・カナンことカン・サランは悩んでいた。
インナを通じてスタイリストからカナンの名前のイメージで、
赤紫のアメジストのアクセサリーを用意されたのだが、
自分の気持ちはシウからもらった小樽のアクセサリーをつけて、
行きたかったのである。
贅沢な迷いではあるが、人生で初めての主演映画であるし。
自分らしくあれで決めることにした。
私はソン・カナンだが、カン・サランなのだ。
だからシウから貰ったアクセサリーにする。
出発までの時間もなければ、準備もまだまだである。
しかも現在、恋愛リアリティー番組撮影中である。
他の参加者も、カナンがラブハントシャトーに居れば、
何か話かけなきゃいけないと思うらしい。
サランが参加しているのに、ほとんどその場にいないし、
寝る為に帰って来ているからでもある。
「すいません。もう寝ます。」
「すいません。もう出かけます。」
そればかり言っている気がする。
『お願い。今は話しかけないでね。余裕無いの!』
これはその時その時の心の声だが、
足音や人の気配を感じると、いつも緊張するのであった。
そうこうしている間にサランの携帯にメッセージが入った。
シウが車で迎えに来たのだ。
サランの準備のスピードが上がる。
インナの様に時間余裕、準備完璧で出かけるレベルになるには程遠い。
『トホホ女優』と自分で称号を与えて、自分を鼓舞すると。
いつものようにワタワタと身支度を終え、出かけて行った。
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映画『真緑の翡翠<グリーン・ジェイド>~最期の戦い~』
制作発表が始まった。
当事者達の予想を上回り、多くの取材が集まっている。
会場では制作発表会に合わせて、主題歌と劇中歌が流されている。
いずれもアトリエ・ノア所属で主題歌を歌うのはチェ・ハウン27歳。
気鋭の女性R&Bシンガーソングライターである。
社長のシウの要望で、『映画とタイアップしてなければ、恥ずかしすぎるくらい
情熱的な曲を』と要望された。彼女の書き溜めた曲の中から、
歌詞は新たに書き下ろし、要望にかなった楽曲になったと、後に語っている。
主題歌名『GREEN JADE』
ユン・シウは非常に満足している。
彼女に打診し、承諾をもらい、期間内に間に合わせてくれた。
チェ・ハウンには良い部下であって、よき戦友の様に好感をもっているが、
女性の立場では少々、見解が違うようだ、もっともユン・シウは鈍い男なので、
気が付かない事が多いが、ソン・カナンは彼女の目線を察知した。
会場で何かとシウを見ているのだ。
サランもゾクゾクするほど情熱的な歌だと感じるが、
これは作品をイメージして感情移入している声ではなくて、
リアルに恋愛感情を吐露している歌声に聞こえるのであった。
会場にいるチェ・ハウンの様子を見てそれは確信できた。
ただ、多少の嫉妬はすると思うが、
サランの知っているユン・シウという青年は、彼の思想を理解できる女性にしか心を開かない。
努力の結果でもなく、理解している振りでも不可能で、
AIの 『ダボ』のように当たり前にわかる女性にしか、彼は興味を示さないのだ。
サランがシウと相性が良いのは、
彼女が盲目的に彼の作品の信奉者で彼の作品を何度も熟読していたからである。
彼の思考パターンを無意識に習得していたのであった。
それは奇跡的な偶然でしかないのだが、
サランもシウも二人の出会いは運命と思っているが、
そう思っても仕方ない。
超常的な運命は存在しないが、必然的な運命は存在する。
サランが超常的な運命が大好きなので、
この独り善がりなシンガーソングライターは脅威にはならない。
そして、シウを見ているのは無論、一人ではない。
何とも周りの騒がしい男だ。
サランが分析するに。
彼はここ三カ月、忙しくて髪が伸びている。
ミステリアスな雰囲気が増しているのだ。
加えて映画の準備でアクショントレーニングし、
貧弱な文学青年から、イカすお兄さんになりつつあった。
「『ソウルの顔面犯罪』か。これでは『ソウルの完全犯罪』になりそう。
『永遠の恋ゆえに君を想い。『永遠の恋ゆえに君を待つ』」
サランは自分の心の声で微笑んだ。
ちょうどその時。
取材の方から、主演女優のソン・カナンへ質問が始まった。
「主演のソン・カナンさん。初主演おめでとうございます。今回初の映画・・・・・・」
今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、
もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。
こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。
※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。
参考データ
※ユン・シウ…小説家25歳
※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳
※ソン・カナン...女優。カン・サランの芸名。ソン・インナに名付けられた。
※ソン・インナ…女優、シウの母親
※ユン・ジュンソ...シウの父。総合映像制作会社S.S.Iの会長
※ユン・ヒョヌ...シウの異母兄。ソヒョン・チョヨンの恋人。S.S.Iの後継者
※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス
※イ・ウジン...映画監督。『残酷な美しさ』『私にキスできますか?』
※パク・ドユン...映画監督。シウの親友。Juringエンタ常務。映像制作部部長。
※イ・ダイン...『私にキスできますか?』ヒロイン
※キム・ソヒョン...シウの元恋人『Love Hunt』プロデューサー。
※ハン・チョヨン...女優『私にキスできますか?』イ・ダイン役
※ハン・ジヨン...女流写真家。奇跡の1枚を撮る「アメイジングメーカー」
※虹の薔薇組...ドユンのハーレム軍団。精鋭撮影チーム。
※佐藤直樹...ユン・シウの祖父。伝説の投資家。
※佐藤志乃...ソン・インナの本名。
※天翔樹林...ソン・インナのシルフィード歌劇団時代の芸名。
※涼風小鳥...中村綾。サランの母親。
※中村綾...サランの母親
※トリニティG...韓国最大の財閥グループ
※S.S.I...総合映像制作会社
※Juringエンタ...芸能事務所兼資産管理会社。会長インナ。社長シウ。
※アトリエ・ノア...中堅芸能事務所。サランことカナンが所属していた。
※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組
※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説
※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説




