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『君の想いが届いたから』

あらすじ

カナン(サラン)はパソコンの画面で、シウが書き綴った「フェザー・キス(羽毛のような軽い口づけ)」にまつわる詩を読み、最後の2行を自身の携帯アプリに保存します。それはあのドタバタだったキス撮影の裏で、シウが彼女の深い愛を誰よりも理解し、愛おしく想っていた本心の証明でした。カナンはシウから贈られた小樽の思い出である雪の結晶のピアスをつけ、鏡の中の自分を鼓舞して、シウが運転する迎えの車へと向かいます。

「僕はただ静かに目を閉じていて、君に体を預けていた。

君があまりにも華奢なので、支えてくれている脚も。

抱き上げてくれている、左腕も折れてしまわないかと心配していた。

君はゆっくり顔を近づけ、僕たちは初めて口づけを交わした

それは僕が最も望んだ、甘く至福の瞬間であり、

生きていて最も欲していた行為だった。

君の口づけは羽毛が軽く触れて、

またどこかに飛んで行ったような。

そんな誤解を周りに与えたのかも知れない。

君は悔しくて、その後、涙を流していたけれど。

僕は誰よりもわかっていた。

あの口づけは、君が僕を最も大切に、

そして最も愛してくれているからこその、

フェザー・キスだったのだ。

僕はわかっている。

だからもう泣かないで欲しいと願う。

永遠とわの恋故に君を想い。

愛故に君を想う。」

カナンはパソコンの画面から目を離すと、最期の2行を携帯のアプリに入れた。

ノートパソコンを閉じると鏡のまえで、シウからもらったピアスをつけた。

雪の結晶をデザインした、小樽の思い出の品である。

「今日の君。キラキラしているね!綺麗だよ!」

サランは鏡の中のカナンにそう言うと、立ち上がり、

キャリーバッグを引いて、出発した。

ユン・シウが車で迎えに来てくれているはずであった。


………………………………………………………………


『Love Hunt4~ブースト!』

専用アプリによるネット配信番組で、

『ダイレクトマルチ生配信サービス』と『編集済みスペシャルバラエティーサービス』の2コースが用意されている。

通常の恋愛リアリティー番組は編集済みで配信されるが、

『Love Hunt』は複数のカメラで生放送が見る事が可能になっている。

放送上、危険な映像はAI判定により、自動暗転や自動モザイクなどで処理されるようになっており、

露出しすぎてAI判定を多く獲得してしまった参加者は『モザイククイーン』や『暗転王子』などと、

不名誉な称号を視聴者に与えられる事もある。公式掲示板などもAIで管理されており、

あまりに目に余る投稿などは、24時間くまなく掃除される仕組みになっていた。

そのことから、非公式サイトや非公式掲示板の書き込みも活発である。

参加者は注目を集めた、またはよく視聴された視聴時間・視聴人数などもデジタルカウントで、

参加報酬に反映される仕組みになっており、寝室にこもるよりは公共スペースで多く時間をすごした人は、

報酬が多くなる。過去には徹底してリビングの床やソファーで寝る猛者もいた。

アプリにより、コイントスサービスやメッセージカードサービスなども充実している事が、

他の恋愛系リアリティー番組とくらべ頭一つ抜き出ている理由になるかも知れない。

『Love Hunt3』で参加者のユン・シウにカン・サランはメッセージカードを3度送ったのだが、

シウが返事は愚か読んでもいない事が発覚し、使用した9000ウォン分の掌底を胸に食らわせた。

アクション映画なら血糊を吐かないといけない場面であった。

ただし彼の場合。届いた数万通のメッセージカードを処理しきれなったに過ぎない。

未編集動画が面白いのかどうかは人それぞれの好みとして、商業的には大成功しているのは事実である。


今日は『Love Hunt4~ブースト!』初日。

11名の男女が合宿する日。

1人1人と入居していく。

カナンは最後から2番。11人も紹介されていれば10番目になると飽きられてくる。

誰かが悪意ありきで、カナンをこの順番にさせたのであった。

だが、そんなカナンはどこ吹く風である。

今の彼女は、何かを得て生まれ変わったような、硬質な魅力を醸し出していた。

誰にも真似できない、唯一無二の氷の美貌。

もし、これをユン・シウの言葉で例えると。

『ピンス・ビューティー』と表現するだろう。

透明感と鋭利な食感。

甘く美味しそうだが、油断すると歯に沁みるし、こめかみまでダメージを受ける。

そして、細かなバリエーションは、星の数ほどある。

最近、彼女自身、1段階美しくなったと、

感じている。

それは自身の恋心の成せる魔法で、

心の相互補完が成立しているからである。

魅了しつつも寄せ付けない状態なので、

恋愛リアリティ番組に、

今、最も不似合いな参加者なのかも知れない。

ソン・カナンは自分に課題をいくつか与えているので、その課題の為の合宿だと、自分に言い聞かせている。

母親の舞台の演技を鑑賞して、

自分には何も無い事を知ったのである。

涼風小鳥の欠片で良いので身に付けたい。

この身に纏った強い意志が、ドライアイスの様な鎧となって、

幻想的な美しさを見せながら、

近づくと危険な魅力を放っているのであった。


ソン・カナンは大きめのキャリーバッグを引きながら

ラブハントシャトーと呼ばれる合宿所に

到着した。


その服装は一目で、

既製品では無いとわかるオートクチュール。

長めのゆったりとしたロングスカーレットで、

白ベースに大胆なオレオカラーのストライプが、

デザインされている。

トップスはシンプルにややクリーム寄りの白くタイトなカットソーでウエストの細さを強調している。

ユン・シウから耳、首、手首、指のガラス細工のアクセサリーは華やかでありながら、清楚な魅力を引き出していた。

ヘアースタイルは多くのステンレスのヘアピンで無造作にアップした、個性的なヘアースタイルで。

産毛、後れ毛を効果的に見せつつも、

大人の服装に少女感を追加した妙を持たせている。

靴も他の多くの女性参加者と違い、

あえてカジュアルな白いスニーカーを採用し、

軽快でスムーズに歩く事を見せて、

爽やかさを振り撒いていた。


今ここで、

収録現場にソン・インナがいたとしたら。

ニヤリと、『してやったり』、そう思った事であろう。

彼女のアドバイスである、『地で圧倒しろ!』は、

初日から順調に滑り出しをしていたのであった


今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、

もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。

こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。


※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。


参考データ

※ユン・シウ…小説家25歳

※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳

※ソン・カナン...女優。カン・サランの芸名。ソン・インナに名付けられた。

※ソン・インナ…女優、シウの母親

※ユン・ジュンソ...シウの父。総合映像制作会社S.S.Iの会長

※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス

※イ・ウジン...映画監督。『残酷な美しさ』『私にキスできますか?』

※パク・ドユン...映画監督。シウの親友。Juringエンタ常務。映像制作部部長。

※イ・ダイン...『私にキスできますか?』ヒロイン

※キム・ソヒョン...シウの元恋人『Love Hunt』プロデューサー。

※ハン・チョヨン...女優『私にキスできますか?』イ・ダイン役

※虹の薔薇組...ドユンのハーレム軍団。精鋭撮影チーム。

※佐藤直樹...ユン・シウの祖父。伝説の投資家。

※トリニティG...韓国最大の財閥グループ

※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組

※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説

※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説

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