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『世界で一番美しい人』

あらすじ

インナは箱から取り出した1枚の写真を渡します。そこに写っていたのは、サランの実の母親である「中村綾」の姿でした。彼女は元東京シルフィード歌劇団の『涼風小鳥』であり、写真の中の姿は現在のサランと瓜二つでした。そしてその女性こそ、シウが幼い頃に写真で見て「世界で一番美しい」と心に刻んだ人物その人だったのです。

サランはユン屋敷に食事に来ていた。

以前と関係が変わり、所属事務所の会長と社長の家に変化したため、

今さらであるが、出入りが自由になった事と

明後日はいよいよ、『Love Hunt4~ブースト!~』の合宿撮影開始だからであった。

そして、この日。スキャンダルなニュースが発生していた。

「アジアの初恋。映画『私にキスできますか?』。主演女優のハン・チョヨン25歳。

映画製作会社、敏腕プロデューサーとお泊りデート。」

「お相手はユン・ヒョヌ氏28歳。『私にキスできますか?』」

パソコンでネットニュースを見ながら、シウとサランは顔を見合わせている。

「ヒョヌもたいしたものね。父親とそっくりだわ。」

ソン・インナはそう言いながら、2階の部屋から降りてきた。

「それに、あなたたちくっ付きすぎよ。子供でも出来たらどうするの?」

彼女は二人の近くに座った。

「くっ付いたくらいで子供はできないよ。」

シウはパソコンの画面から目を離さず答えた。

「あら。それ素敵ね!シウからもらったの?」

「はい。さっきもらいました。」

サランは自慢するようにインナに見せた。

ピアス、ネックレス、ブレスレッド、指輪がお揃いになっている。

これらは、二人が小樽で初めて出会った時。

シウがサランに内緒で購入したものであった。

サランが今、機嫌よくシウの隣にいるのは。このプレゼントのせいである。

宣伝動画の撮影で、今日の今日、唇が腫れるほどたくさんキスした事も関係無くはない。

「どんどん買ってもらいなさい。女優ならいくら、もっていても足りないくらいよ。

あ。そうそう。あなたたちに見せたいものがあるのよ。」

インナはそう言い。

持ってきた箱を開けて、写真を一枚渡した。

サランは驚いて、シウにもその写真をみせた。

「驚いたでしょ?驚くわよね。綾よ!あなたのお母さん。中村 綾。」

そして元東京シルフィード歌劇団の『涼風小鳥』である。

サランと瓜二つの女性がそこにいた。

この人はシウが幼い頃。写真で見た、世界で一番美しいと思った人だった。

その写真には、笑顔の二人の若い女性が写っていた。

若き日のソン・インナと『中村 綾』。舞台名『涼風小鳥』。

『光り纏う、風の妖精』、圧倒的な美貌を誇り、伝説の朱役トップ。

当時、『天翔樹林あまかけじゅりん(佐藤志乃』と『涼風小鳥』がいた時代は、

『シルフィードの奇跡』と呼ばれた。

「私と綾は星組のカップルだったのよ。そして親友だった」

ソン・インナはSDカードをシウに渡した。

「これ。パソコンで見せて頂戴。驚くわよ?」

シウが。パソコンに差し込み、フォルダーを表示した。

いくつかある動画ファイルから、

サラン・シウと名前の付けられたファイルを指示する。

サランは写真を見てもう泣いていた。

ファイルの再生が始まった。

中央に赤ちゃんが写っている。少年が赤ちゃんの頬を突くと、

赤ちゃんは喜んで笑っている。

「サランとシウよ」

シウは急いでティッシュの箱を持ってきたが、間に合わなかった。

サランは泣いた勢いで両方から鼻水を垂らしていた。

「驚いたでしょ?」

画面の外から自己紹介しなさいって言われている。

6歳くらいのシウが赤ちゃんに挨拶していた。

そして一人の女性が見えた。短髪に眼鏡を掛けた母親だ。

彼女がサランの母親、中村綾で涼風小鳥である。

写真とは全然髪型も違うので、シウは当時気が付かなかった。

可愛い赤ちゃんが家に遊びに来たとしか、記憶していない。

そういえば、初めてサランと出会って、『サラン』と名前を聞くと

とても心地良かったのである。

どこかに『サラン』の名を記憶していたのだろう。

サランが高校生の時に自分で坊主の様な短髪にしたと、

言っていたが生前の母親をまねたのだろう。

母親は人気スターを捨てて、妻であり、母親であることを選らんだ。

潔さも当然カッコよいが、坊主でも美しさを隠せていない。

シウが幼い頃。涼風小鳥の写真を見て、この世で一番美しい女性と、

思っていた。少年の淡い恋心であった。

だから、サランと小樽で出会った時に、運命の出会いであると疑わなかった。

サランが鼻をかみ、鼻をすする音が止まない。

「サラン。ごめんね。泣かせるつもりじゃなかったの。

でもいつか伝えなければって思っていたわ」

インナはサランの横に座ると抱き寄せて、頭を撫でた。

「あなたの顔を見た時、すぐにわかったわ。あなた、綾にそっくりでしょ?生き写しって本当にいるのね。あなたの両親が亡くなった時に、強引にわたしが引き取ればよかった。

悔やんでも悔やみきれなかったのよ。ずっとあなたを探していたのに、見つからないから。

運命って不思議ね。シウが突然、あなたを連れて来てくれて驚いたわ。身震いした。

それで本当にあなたが、私の探していた親友の娘で間違いないって確信した時は、

絶対に私のそばに捕まえて、私の娘にしようって思った。綾にかわってね。」

インナは愛おしそうにサランを引き寄せ撫でている。

シウに次の動画を促した。

画面に映し出されたのは、劇団の舞台映像だ、

これは星組オリジナル演目の『桜と風の月姫』であった。

ここではヒロイン涼風小鳥の独壇場である。

素晴らしい舞である。踊る。回る。ステップする。

素早く優雅に次々と共演者の横を擦り抜け、縦横無尽に駆け抜ける。

「これはすごい」

シウから感嘆の声があがった。

インナも頷く。

「サランにどうしても、これを見せたくてね。素敵でしょ?あなたのお母さん」

サランはじっとその舞台映像を見つめていた。

枯れない涙を流しながら。


今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、

もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。

こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。


※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。


参考データ

※ユン・シウ…小説家25歳

※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳

※ソン・カナン...女優。カン・サランの芸名。ソン・インナに名付けられた。

※ソン・インナ…女優、シウの母親

※ユン・ジュンソ...シウの父。総合映像制作会社S.S.Iの会長

※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス

※イ・ウジン...映画監督。『残酷な美しさ』『私にキスできますか?』

※パク・ドユン...映画監督。シウの親友。Juringエンタ常務。映像制作部部長。

※イ・ダイン...『私にキスできますか?』ヒロイン

※キム・ソヒョン...シウの元恋人『Love Hunt』プロデューサー。

※ハン・チョヨン...女優『私にキスできますか?』イ・ダイン役

※虹の薔薇組...ドユンのハーレム軍団。精鋭撮影チーム。

※佐藤直樹...ユン・シウの祖父。伝説の投資家。

※トリニティG...韓国最大の財閥グループ

※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組

※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説

※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説

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