『奇跡の1枚』と『THE救命女優』
あらすじ
カナンはさまざまな感情が混ざり合って悲しくなり、号泣しながら撮影を続けることになりましたが、その涙が功を奏して最終的には最高の『奇跡の一枚』が完成します。
8月。
芸能事務所のアトリエ・ノアが
トリニティーグループの傘下となるニュースが飛び込んできた。
前社長のパク・カンウ氏は辞任し、新たに会長取締役にソン・インナ氏。
新社長にユン・シウ氏が就任する事が発表された。
同日、アトリエ・ノア所属の男性グループ『ECIPSE』が、
活動再開し、『ソン・インナ&ECIPSE』として楽曲を発表することが決まった。
ソン・インナ氏は15年ぶりのカムバックとなり、
多くの関心が寄せられている。
ユン・シウの取り巻く環境もめまぐるしく、
スケジュールが津波のように襲ってくる。
映画『真緑の翡翠』のプレ撮影の日であった。
写真撮影なので、今日、パク・ドユンは見学兼アドバイザーであるが、
彼も仕事が込み合っているので、
こんなところで見学は時間がもったいないと、そわそわしていた。
イメージ共有は必要なので、全体的には監督なのでこの場にいるべきであった。
当然。『怪鳥・ボイス』や『オットセイ・ターン』は残念ながら見る事ができない。
今日、撮影するのは、写真家ハン・ジヨンである。
『奇跡の一枚』を切り取る『アメイジング・メーカー』と呼ばれている。
大女優ソン・インナの盟友の一人であり、
ソン・カナンの広告の為にインナが海外から呼び戻した。
『深山の縞絹』の広告撮影で、カナンの『神の美脚』を撮影した。
そのプレ撮影した生足の作品は公には出ていないが、
傑作とも囁かれている。ともソン・カナンが囁いているとも。
ウン・シウのパソコンの電源を入れると、最初に表示されるらしい。
ソン・カナン曰く、その写真は、
「細い脚だがちょうど良い曲線でアジア1エロティックである」と本人は主張している。
あくまでも本人の評価である。
撮影のモデルたちは、カナン、シウ、インナで、
最初は衣装メイク後、武器構えの写真。
次が、戦闘時の写真。
ラストは御玉と進次郎のキス写真を予定していた。
写真家ハン・ジヨンは一流であり、『奇跡の一枚』を求めるので難航したが、
残すところはあと1シーンの
『進次郎の最期に御玉が口づけする』構図である。
進次郎は死にかけの設定なので、
この写真は御玉が進次郎を抱きかかえ、口づける。
つまり、シウはカナンの『チュー』待っているだけでいいのだ。
カナンは緊張のあまり様子がおかしかったが、
この場はみんな見ていて、帰宅、退勤待ちなので頑張るしかない。
ハン・ジヨン一通り準備を終え、『奇跡の一枚』に狙いを定めた。
「はい。カナンさん。もう一度確認しますよ。進次郎は最期です。
別れを惜しんで、愛の口づけを御玉さんがリードして行います。
いいですか?」
「はい。」
カナンの左手は震え、動機もシウに聞こえてくる。
F1エンジン位の勢いで分速1万回転くらいしている。
「はい。カナンさんお願いします!」
シャッター音が連続し、少しの撮り残しも、しない気構えであった。
「ちゅ」
「ちゅ?リハ?エアー?ちゅ?」
ハン・ジヨンは目を丸くした。
「カナンさん。唇付いたらそのままでお願いね!」
見ていたソン・インナも口を開いた。
「カナン!最期の別れのシーンよ。強めにブチューしなさい」
「はい。」
「カナンさん。いいですか?もう一回おねがいしますね。はい。どうぞ!」
「ちゅ」
ハン・ジヨンはファインダーから顔を外した。
ソン・インナの行動が早かった。
「カナン。ちょっと除けなさい。いい?こうやるのよ。見てなさい」
『ブチュー!!』
「うっっ」
これは、シウが母親に唇を奪われた、うめき声であった。
100戦錬磨の大女優になると、星の数ほどの男の唇を奪ってきたわけだが、
さすがにブランクがあり、泉の水を飲んだ後のごとく、腕で口を拭ったのだが、
戦闘写真を撮ったあとなので、口に血糊が付いていたのが広がってひどい見た目だ。
シウも血糊が増えたがそれよりも、母親に唇を奪われた、
精神的ショックの方が大きかった。
だが、このまま死んだ振りを続けるしかない。
「じゃあ、カナンさん。もう一回お願いします!」
これらを繰り返し、カナンとシウのファーストキスはまるで、
人工呼吸の練習みたいになった。
カナンはいろんな意味で悲しくなって、号泣しながらの撮影になったので、
結局は『奇跡の一枚』が完成することになった。
サランとシウはこの日、
確かに口づけをかわした。
数十回交わしたが、それは決して甘美なものではなかった。
今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、
もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。
こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。
※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。
参考データ
※ユン・シウ…小説家25歳
※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳
※ソン・カナン...女優。カン・サランの芸名。ソン・インナに名付けられた。
※ソン・インナ…女優、シウの母親
※ユン・ジュンソ...シウの父。総合映像制作会社S.S.Iの会長
※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス
※イ・ウジン...映画監督。『残酷な美しさ』『私にキスできますか?』
※パク・ドユン...映画監督。シウの親友。Juringエンタ常務。映像制作部部長。
※イ・ダイン...『私にキスできますか?』ヒロイン
※キム・ソヒョン...シウの元恋人『Love Hunt』プロデューサー。
※ハン・チョヨン...女優『私にキスできますか?』イ・ダイン役
※虹の薔薇組...ドユンのハーレム軍団。精鋭撮影チーム。
※佐藤直樹...ユン・シウの祖父。伝説の投資家。
※トリニティG...韓国最大の財閥グループ
※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組
※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説
※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説




