『ダボ戦記』
あらすじ
日中のソヒョンの不審な視線から直感が働いていたカン・サランは、パソコンで『ダボ』に異常がないか確認していました。ソヒョンがクラウドにアクセスしていることを突き止めたサランは、逆にソヒョンのパソコン内から「シウとの別れの原因」が書かれたファイルを探し出して保管します。さらにサランは「ちょっといたずら」として、ソヒョンのパソコン内の重要なデータを『ダボ』に消去させました。最後に、大好きな『ダボ』を他の人に触られたくないという理由から、ソヒョンのアクセスを永久にブロックさせます。見事なカウンター攻撃で「AI戦争」に完全勝利したサランは、一人ガッツポーズを掲げるのでした。
キム・ソヒョンは自宅のパソコンに向かっていた。
ソン・カナンの部屋にあったノートパソコンに見覚えがあった。
あれはユン・シウが当時、「新しく購入したけど、小さくて使いにくい」と
愚痴っていたパソコンである。
ソヒョンがふざけてキャラクターのシールを貼って、シウがそれを雑にはがした後がある。
それで確信したのであった。
同時にある事を思い出した。
仕事の企画書で悩んだ時、
シウが契約しているAIの外部からアクセスできるパスワードと教えてくれた。
彼はこれ便利だから使ってみなよ。と軽い気持ちだったのだろう。
彼はその時兵役中で、料金支払っているけど使っていないから、
遠慮なく使えと言ってくれたのであった。
もし、あのパソコンがシウのパソコンで、AIのIDとパスが当時のままなら、
あのパソコンにアクセスできる事になる。
そしてその予想は的中した。
キム・ソヒョンは一人にやりとした。
『ダボ。久しぶりね。ソン・カナンの事を教えて』
反応を待つに数秒も要らない。
『お久しぶりです。ソヒョンさん。今さら何の御用でしょうか?』
AIに今さらとか言われ、妙に学習して生意気だ。
だが、今はAIに怒っても仕方ない。
『ソン・カナンについて教えて』
『絶世の美女ソン・カナンさんについてですね?かしこまりました。』
サランは『ダボ』に『絶世の美女ソン・カナン』と『世紀の美少女カン・サラン』と
呼ぶように言いつけてあるのであった。
これはソン・インナから「地で圧倒せよ!」との指令を受けて、自己暗示代わりに、
『ダボ』に鼓舞してもらおうと考えた結果であった。
だがそんな事は、キム・ソヒョンがわかるはずもなかった。
「なんだ?この糞AIは」
これが彼女の正直な感想だった。
『ソン・カナンは何者なの?』
『絶世の美女ソン・カナンの本名、世紀の美少女カン・サランさんです。』
「本名長い。」
『カン・サランとユン・シウはどんな関係?』
『世紀の美少女カン・サランさんとユン・シウさんは、お互いを思いやる恋人同士です。』
『気に入らないけどもっと教えて』
『気に入らないのですね?かしこまりました。二人は6月に日本・北海道・小樽市で知り合いました。すぐに居候を開始し、ソン・インナ様より『養女』の称号を授与されています。
二人で再び北海道に旅行に行っています。参考の情報はこちらです』
関連文章ファイルから『ダボ』が抜粋した記述をまとめたファイルである。
キム・ソヒョンは迷わず開いた。
『2度目の北海道が嬉しくて、初日はミニスカートとキャミソールにしたけど、
シウは朝から機嫌が悪かった。札幌で彼は突然、お店に入って大きなカーディガンを買って私に着させた。サンダルで靴擦れになってしまって、大通り公園で足に絆創膏を貼ってもらった。この日はいろいろ迷惑かけちゃった。お寿司がとってもおいしかった』
「エロビッチがシウに迷惑かけたんだな。足のケガ、手当させるなんて何様だ。なーにがお寿司だ。キンパでも喰っていろ」
『2日目。ニセコに向かう途中、支笏湖に寄った。キラキラしていて素敵な湖だった。
スープラレー初挑戦して。ハリスホークの小太郎と遊んだ。いよいよインナさんの待つニセコに到着した。すごい、豪華なホテルで驚いた。インナさんは抱きしめて歓迎してくれた。
夜は白老和牛のステーキを食べた。お風呂でちょっと失敗しちゃったけど、
トリプルベッドでシウと一緒に寝た。夜中目を覚ました時、寝ている彼に抱き着いて再び眠りについた。和平条約上、異常なし。不可侵条約上、合意なので問題なし。不平等条約上、問題なし。」
「お風呂で失敗?糞ビッチが風呂でシウを誘惑しやがったな。トリプルベッドだと?二回戦目要求したってか?」
ソヒョンは嫉妬で半狂乱になった。言葉では説明不能な顔でのた打ち回った。
シウとソヒョンは付き合ってはいたが、男女の関係はなかった。
シウの親友イ・ソジュンがシウの事を『大韓民国一の奥手男』なり、『奥手すぎて両手の無い芋虫』と評するのはこれが起因している。
シウの本音はソヒョンと付き合ってはいたが、時折感じる不一致感で深い仲にならない方が良いと思っていたからであった。
何か意見が合わないとか、平和じゃないとか、ひとくくりにすると理想の女性ではなかったのである。
『ずっと僕は君を友達のままにしておけばよかった』
これは彼が書いた小説『ずっと僕は君を』の隠しテーマであり、実際そう思っていたのだが、
キム・ソヒョンが知るはずもない。
彼女はシウが『ずっと僕は君を好きだった』と解釈しており、
浮気して別れておきながら、こうして未練たらしく過ごしているのであった。
この事から二人は長く続かない運命であった事は想像できる。
お互い分かり合えていないのであったのだから。
その一方。同じ時間に別の場所でパソコンを眺めている人物がいた。
カン・サランである。
サランは『ダボ』に『今日、何か異常無い?』と問い合わせしていた。
勘が働いたのは日中に、キム・ソヒョンがこのパソコンを凝視していたからである。
サランはこのパソコンがシウから借りたものだと彼女は知っているに違いないと踏んだ。
「なにか。今日あるはず」
そして、サランの予想は的中した。
『キム・ソヒョンさんがクライドにアクセスしています』
『ソヒョンさんのパソコンにシウさんの事を書いてある何かを探して欲しいの。
別れた原因とか見つかるかな?』
『見つかりました。』
サランはその文書ファイルを読まずに保管した。
『ちょっといたずらお願い。ソヒョンさんのパソコンの中の何か無くなったら困るようなデータの消去をしてあげて。おねがい。』
『かしこまりました。消去完了しました。』
『最後に、ソヒョンさんが2度とダボにアクセスできないようにしてほしい。
私、ダボが大好きなの。他の人に話しかけられたら嫌だから。』
『かしこまりました。サランさんにそう言って頂いて、私も嬉しいです。強制ログアウトおよびログインブロック完了しました』
『ありがとう。ダボ』
サランはガッツポーズをとった。
AI戦争の勝利者となったからである。
今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、
もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。
こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。
※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。
参考データ
※ユン・シウ…小説家25歳
※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳
※ソン・カナン...女優。カン・サランの芸名。ソン・インナに名付けられた。
※ソン・インナ…女優、シウの母親
※ユン・ジュンソ...シウの父。総合映像制作会社S.S.Iの会長
※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス
※イ・ウジン...映画監督。『残酷な美しさ』『私にキスできますか?』
※パク・ドユン...映画監督。シウの親友。Juringエンタ常務。映像制作部部長。
※イ・ダイン...『私にキスできますか?』ヒロイン
※キム・ソヒョン...シウの元恋人『Love Hunt』プロデューサー。
※ハン・チョヨン...女優『私にキスできますか?』イ・ダイン役
※虹の薔薇組...ドユンのハーレム軍団。精鋭撮影チーム。
※佐藤直樹...ユン・シウの祖父。伝説の投資家。
※トリニティG...韓国最大の財閥グループ
※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組
※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説
※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説




