表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
31/66

『ハバネロ大君』と『木の葉飛び』

ユン・シウが保有するソウル郊外の洋館で、激辛スナック『ハバネロ大君』のCM撮影が行われることに。少女、幽霊、泥棒、変質者が絶叫するホラーコメディです。撮影はパク・ドユン監督と、そのお抱えの映像制作チーム『虹の薔薇組』。カン・サランはその演技から『絶叫女優』と称賛されるのであったが。

「こっちの映画作った方が良いんじゃ無いか?」

イ・ソジュンはいつもと違う真顔でありながら、

いつも通りの超重低音の声でパク・ドユンに前のめりであった。

ドユンは彼の地鳴りの様な声にたじろぎ、

仰け反った。

「面白いか?」

「アジア通貨危機の際に伝説の投資家が、

巨大財閥を救ったんだよ。そしてその資産は25年後に200倍になった」

ソジュンはまるで自分の事の様に得意げだ。

「そして!その伝説の投資家は、パンデミックの時に底値で買い戻して、この世を去ったのであった」

ソジュンは片手を握りしめて、遠い目をしたのであった。

「相続税で半分、持っていかれたとさ。めでたしめでたし」

コーヒーを淹れて戻って来た、ユン・シウが2人の所にマグカップを並べた。

1990年代後半、アジア通貨危機(IMF危機)により、

韓国最大の財閥『トリニティ・グループ』もまた、倒産寸前の壊滅的な打撃を受けた。

トリニティの会長が三拝九拝して日本から招き入れたのが、ユン・シウの祖父。

佐藤直樹だった。

当時「兜町の生ける伝説」と呼ばれた、投資家佐藤直樹は単なる株式の買い手ではなく、

企業の未来の価値を見抜く「神の目」を持っていた。

トリニティ・グループは彼を、『グループ最高投資責任者(CIO)兼 経営戦略特別顧問』という、

創業家すら不可侵の特別地位で招聘。

彼は当時まだ「安かろう悪かろう」だったトリニティ電子に対し、

数千億円規模の「半導体(DRAM)への超強気な先行投資」を提言。

この佐藤氏の投資決断が、後にトリニティ電子を「世界の覇者」へと押し上げる決定打となったのである。

父親がトリニティ・グループの最大の救世主であったため、娘である志乃ソン・インナは、

幼少期から韓国の政財界のトップオブトップ、

すなわちトリニティ・グループの一族と家族同然の付き合いをして育った。

彼女が韓国芸能界で「誰も逆らえない絶対的な女王(大女優ソン・インナ)」として君臨できた背景には、

彼女自身の圧倒的な才能だけでなく、

バックに控える『トリニティ・グループ』という国家レベルの巨人の影があったからである。

この城北洞ソンブクトンのユン屋敷とソウル郊外の洋館は、佐藤直樹がトリニティから譲り受けたものである。

ソウル郊外の洋館で今回、CM撮影を行おうとしていた。

内容はホラータッチのコメディで、引っ越してきた家主の少女と、男幽霊、女幽霊、泥棒、変質者が

すったもんだして絶叫するシナリオである。

激辛スナック『ハバネロ大君』のキャッチコピーは『絶叫するほど辛くて美味しい』である。

スタジオ代わりの洋館が、ユン・シウの保有物件である為、

このCMプロットを流用して、様々なタイアップで展開して行こうと目論んでいた。

監督はパク・ドユンで、彼の後宮『虹の薔薇組』が撮影を支える。

『虹の薔薇組』は『Juringエンターテイメント』所属の映像制作チームで、大半が同性愛者、もしくは女装愛好者で

構成されていると、もっぱらの噂である。

パク・ドユンの『可愛い愛人達』と言われているが、誰も真実を知りたがろうとしない。

ユン・シウとイ・ソジュンのような最も身近な人物達でさえ、見て見ぬふりを決め込むのであった。

パク・ドユンと『虹の薔薇組』の真骨頂は『芸術的な映像美』と『神速』であるが、

それは監督パク・ドユンの『怪鳥・ボイス』と『オットセイ・ターン』から生み出される。

「アークショッ!!」

「カーァッ!!」

パク・ドユンの掛け声は甲高く『まるで不気味な鳥のような声』との評判であった。

また『オットセイ・ターン』とは現場を鼓舞する際に前のめりになって、股間の付近で手を叩きながら、

徘徊する姿がオットセイに似ている為に名付けられた。

ターンは1回から3回までバージョンがあり、『オットセイ・ターン』3回になると、

『死ぬ気で全力を出せ!』という合図になっている。

『虹の薔薇組』の面々は、

この時の監督の雄姿が『オスのオットセイの求愛』を感じさせて非常にセクシーだと、

声を揃えて言うのであるが、シウとソジュンのような常人には理解できない世界のようである。

かくして、激辛スナック菓子『ハバネロ大君』の撮影は順調に進み、

カン・サランも大活躍で『薔薇組』のお姐様達は、

「あの子。顔と絶叫はピカ一ね」などと『絶叫女優』の称号を授与されるに至った。

ところが最後の一コマ。洋館の2階の吹き抜け部分からカーテンに捕まって、

1階の降りるスタントで事故が起きてしまった。

スタントマン無しでカン・サラン自ら挑戦したのであるが、

後に定番となる『ソン・カナンの木の葉飛び』が発生してしまったのであった。


今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、

もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。

こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。


※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。


参考データ

※ユン・シウ…小説家25歳

※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳

※ソン・カナン...女優。カン・サランの芸名。ソン・インナに名付けられた。

※ソン・インナ…女優、シウの母親

※ユン・ジュンソ...シウの父。総合映像制作会社S.S.Iの会長

※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス

※イ・ウジン...映画監督。『残酷な美しさ』『私にキスできますか?』

※パク・ドユン...映画監督。シウの親友。Juringエンタ常務。映像制作部部長。

※イ・ダイン...『私にキスできますか?』ヒロイン

※キム・ソヒョン...シウの元恋人『Love Hunt』プロデューサー。

※ハン・チョヨン...女優『私にキスできますか?』イ・ダイン役

※虹の薔薇組...ドユンのハーレム軍団。精鋭撮影チーム。

※佐藤直樹...ユン・シウの祖父。伝説の投資家。

※トリニティG...韓国最大の財閥グループ

※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組

※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説

※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ