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『 無影真空拳』と『シャイニスト』

あらすじ

ユン・シウとカン・サランは車中で化粧品CMのコンセプトについて話し合っていました。サランは番組出演を控えてシウが別々のマンションを用意したことに拗ねており、不機嫌な態度を見せます。しかしシウは、そんなサランに深く心を奪われており、彼女の周囲に寄る虫を仕留める「無影真空拳(ただのハエ取り)」の技を磨くほどでした。シウはこの現実の技を、自身が執筆中の映画『真緑の翡翠』の脚本にも忍者の必殺技として組み込みます。その後、シウ、サラン、そしてシウの母であるソン・インナの3人で、内輪のCMプロット発表会が行われます。若々しく街へ繰り出すカナンのパートから、大人のパーティー会場で優雅に微笑むインナのパートへと繋がる化粧品「ファイン・グロス・シャイニスト」の絵コンテが実演されます。大女優インナの見事な演技とシウの優秀なプロデュースにサランは大喜びし、3人は和気あいあいとした雰囲気の中で絆を深めるのでした。

ユン・シウはサランと車の中にいた。

サランは何か考え中のようだ、

<Love Hunt4>の出演を辞退したいと思っているのかも知れない。

シウはシウでCMのコンセプトに行き詰っていた。

「ねえ。サラン。冬に女の子ってどこに行きたくなるのかな?」

『しまった。炬燵で丸くなりたい人に聞いてしまった。』

「どこかに連れて行って下さい。どこへでもついて行きます。」

サランはどこかうつろだ。

「南の島とか海は?」

「いやです。」

どこへでもついてくるのではなかったか? 北がいいのか? 寒がりなのに。

「台湾」

「キープ」

「長野」

「ノー」

「ドバイ」

カン・サランはゆっくりこちらを向いた。

「イエース!」

『破産します。どうぞご勘弁願います。』

「化粧品のCMの話なのだけどね。今から進めて12月に映像できるとして、

どこにでかけて、どんな思いがしたいのかって、それによって

パワーワードが見えるのだと思うけど」

「登別」

意外な所が出てきたな。

「登別?」

「うん。地獄谷」

「地獄谷?どうして?」

「後ろから突き落としてやりたい人がいるから」

『なんて恐ろしい。いったい誰を?ひょっとして?』

「俺??」

「なんで!! 違う!」

『そうだろうとも。』

「誰?」

「もういい!!」

サランがシウに拗ね、悪態が増えたのは、番組出演を前にして、

シウが新たなサランのマンションを用意して、準備した事から始まっている。

恋愛番組に出るのに、同棲がリークされてはややこしい問題だからであって、

シウがサランを追い出そうとするはずがない。

シウにとっては、見栄の利くマンションを用意して、八つ当たりされているのだから、

散々な所であった。

だが、もうすでにユン・シウは恋なのか愛なのかわからないほど、

サランに心を奪われていた。

サランに近づく蚊や蠅にも嫉妬して、得意であった技、

『無影真空拳』は究極の域までに達していた。

親友の映画監督パク・ドユンに言わせれば、「ただのハエ取り」である。

シウが映画『真緑の翡翠』の脚本を書いている際に、

山賀の忍びである進次郎の得意技の一つにしては?と思い立った。

御玉みたま』が『ほむら』からとどめを刺されそうになり、

進次郎が割り込む。その時、空斬刺鏡を弾かれて、飛んでいく。

進次郎が、この技を披露した時は、焔に槍を刺されるも、

『無影真空拳』を同時に繰り出し、焔は胸を突かれ、

重傷を負い。撤退する。

進次郎は『御玉みたま』を守り切るも、別れを告げ、息絶えてしまう。

実際の『無影真空拳』、つまり空中蠅キャッチは成功すると、

カン・サランだけが両手を叩いて子供のように大喜びしてくれる。

ソン・インナなどは大女優らしからぬ老眼が始まっており、

老眼鏡を掛けていても、無影の名が示す通りまったく手の動きが見えないのであった。



………………………………………………………………………….


可愛らしい女性の部屋。

学生以上、社会人1年目くらい、若いがちょっと大人の女性。

ドレッサーの前にカナンがワンポイントメイクをして、セルフチェック後、

微笑む。

ミュージカルステップで夕方の街に繰り出していく。

場面は変わって、夜の豪華なイルミネーションの公園でミュージカルターンし、

「今日の君、かわいいよ!キラキラしている!!」

場面は変わって。

大人のパーティー会場。

時間はパーティー開始直後じゃなく、中盤からやや後半。

ソン・インナが向かって右枠外から、グラスを持って中央へ。

ファッションはパーティー用、大人かっこいいでジャケットを両肩に引掛けた感じ。

中央のカウンターに肘付き前のめりで寄りかかり、微笑む。

「今夜のあなた。とっても素敵よ!みんな見ているわ」

ラストナレーション「キラキラが止まらない!ファイン・グロス・シャイニスト」

カン・サランは我慢できず、立ち上がりステップ後、

くるりと一回転した。

「今日の君、かわいいよ!キラキラしている!!」

「キラキラが止まらない!ファイン・グロス・シャイニスト」

ソン・インナも立ち上がって、優雅にダイニングテーブルの向こうにまわる。

文句の言いようがない。さすが大女優である。

「今夜のあなた。とっても素敵よ!みんな見ているわ」

「キラキラが止まらない!ファイン・グロス・シャイニスト」

「わー。わー。素敵―!!」

カン・サランが大喜びで拍手する。

ソン・インナも親指立ててウインクで返した。

「あらー。こんなところに優秀なプロデューサーがいるわね?

美男子で有能で。いったい誰が生んだのかしら?」

カン・サランは両手の人差し指で、ソン・インナを指さした。

「YOU!!」

ソン・インナは両手の人差し指で、自分を刺して言った。

「ME?」

「イエース!」

二人はハイタッチした。

カン・サランはシウの腕に絡みつき、シウも笑顔で返した。

内輪でのCMプロット発表会であった。


今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、

もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。

こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。


※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。


参考データ

※ユン・シウ…小説家25歳

※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳

※ソン・カナン...女優。カン・サランの芸名。ソン・インナに名付けられた。

※ソン・インナ…女優、シウの母親

※ユン・ジュンソ...シウの父。総合映像制作会社S.S.Iの会長

※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス

※イ・ウジン...映画監督。『残酷な美しさ』『私にキスできますか?』

※パク・ドユン...映画監督。シウの親友。Juringエンタ常務。映像制作部部長。

※イ・ダイン...『私にキスできますか?』ヒロイン

※キム・ソヒョン...シウの元恋人『Love Hunt』プロデューサー。

※ハン・チョヨン...女優『私にキスできますか?』イ・ダイン役

※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組

※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説

※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説

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