キム・ソヒョン
あらすじ
ユン・シウの元恋人であり、ヒット番組のプロデューサーでもあるキム・ソヒョンは、複雑な未練と嫉妬からシウの動向を追い続けていました。彼女はかつて自らの保身のためにシウの異母兄(現在の恋人で会社の次期社長)との関係を受け入れ、シウを裏切った過去があります。ある日、ソヒョンは番組のファンサイトで、シウが仁川空港で若い美女と一緒にいた写真を入手し、激しく動揺します。その後、自社が制作する新番組『Love Hunt4』に、大女優ソン・インナと思われる絶対権力者からの直々の指示で、新人女優の「ソン・カナン」がキャスティングされます。そのプロフィールを見たソヒョンは、彼女こそが空港でシウの隣にいた女性であると確信し、苦々しく舌打ちをします。
薄暗い部屋の中。
マウスのクリック音だけが、不規則に鳴り響く。
机で前のめりになり、顔面だけがPCモニターの光で、照らされていた。
彼女の名前はキム・ソヒョン25歳。
総合映像制作会社S.S.Iの社員であり、
恋愛リアリティー番組『Love Hunt』シリーズの若きプロデューサーである。
小説『私にキスできますか?』の原作者であり、ベストセラー作家。
ユン・シウの元恋人でもある。
彼女が部屋の電気も灯さずに、夢中で漁っていたのは、
『Love Hunt』シリーズの第三弾。
『Love Hunt3』非公式ファンサイトであった。
『Love Hunt3』は元恋人のユン・シウが出演した番組である。
ユン・シウが自ら出演を希望した訳ではない。
彼自身も思っている事であるが、キム・ソヒョンが仕向けたのが正解である。
二人は大学の同期で、知り合って交際がスタートした。
大学卒業後、キム・ソヒョンはユン・シウの父親が経営する、
S.S.Iに就職した。
ユン・シウは大学卒業で、兵役の為、入隊していったのであった。
1年ほどした頃に、キム・ソヒョンは同じ社内の先輩であり、上司であるユン・ヒョヌと
男女の仲になってしまった。
酒の勢いもあったのではあるが、彼女にとっては本意ではなかったと、
思いたい出来事であった。
そして、ユン・ヒョヌは恋人ユン・シウの異母兄だったのだ。
キム・ソヒョンは不同意であったと、訴える事も考えたのだが。
成功した番組の栄誉と会社。諸々、失ってしまう事を恐れてしまった。
訴えるとすべてを失い。受け入れるとユン・シウを失うが、すべて残るのである。
ユン・ヒョヌは総合映像制作会社S.S.Iの後継者で、次期社長である。
普通の女性なら、パートナーとして非の打ちどころがない男性であった。
だが、キム・ソヒョンは事情が事情なだけに、幸せではなかったのだ。
ユン・シウに対しての、愛情も申し訳なさも、消化不良のままでいた。
結果。ユン・シウに何か起きれば、自分の罪意識が和らぐと思ったのだ。
S.S.Iの会長であり、父親のユン・ジュンソと兄のユン・ヒョヌに、
ユン・シウが『Love Hunt3』に出演した際の、効果とメリットを力説した。
ユン・シウは兄ヒョヌの説得により、『Love Hunt3』に出演したのであった。
かくして、キム・ソヒョンは思惑通りに進んだ訳だが、
自分自身の心が成熟していなかった。
ユン・シウはもう自分の恋人ではなく、自分にはもう恋人がいるのだが、
面白くないのだ。
ユン・シウが誰と話をしても、仲良くしても、嫉妬の炎が燃え盛る。
他の女性とデートしたものなら、身もだえて眠れないほどであった。
シリーズは自然な恋の行方を見届けるコンセプトなのだが、
キム・ソヒョンはプロデューサーの立場で許されるかぎり、
暗躍してしまった。
おかげで、参加者同士の関係はドラマティックに展開し、
番組はシリーズ最高の大成功となった。
キム・ソヒョンの気持ちは最後まで、今に至っても晴れないのは、
理由がある。
相手が強敵過ぎたのだ。
ユン・シウは今をときめく、ベストセラー作家である。
物語の創造者なのだ。自分のストーリーも素人よりは思い通りに描けてしまう。
彼はもう自由であり、キム・ソヒョンはもう彼の大切な女性ではなかった。
6月のある日。
恋愛リアリティー番組『Love Hunt3』の非公式ファンサイトに、
ある投稿がされた。
『Love Hunt3』の参加者であり、『ソウルの顔面犯罪』であり、
『乱心プリンス』のユン・シウが仁川空港にて、
若い美少女と一緒にいたという投稿である。
その一文とともに複数の写真が添付されてあった。
非公式ファンサイトとはいえ、一般人の顔を晒すのは問題がある。
この手の投稿はすぐに削除されるのだ。
後は、興味ある人同士、個人的に情報を共有していく。
キム・ソヒョンはすぐさまメールを送り、写真を入手した。
相手の女性は大学の知り合いでもなく、『Love Hunt3』の参加者でもない。
清楚な美人であるが、若い。20歳が妥当であろうか?
国際線ターミナルなのだ。10代は考えにくい。
キム・ソヒョンは数日、ひたすら悶々としていた。
新番組『Love Hunt4』の準備が始まっている。
だが、仕事が手につかないでいた。
ユン・シウの女問題は、予想に反して早く展開が訪れた。
きっかけは、神の手と鶴の一声である。
総合映像制作会社S.S.Iの最上階。
絶対権力者様より、直々に番組担当者に通達が下りたのだ。
新番組『Love Hunt4』の参加者に、
新人女優のソン・カナンをキャスティングせよとのお達しである。
「ソン・カナン??」
新人とはいえ、誰も知らない。
ネットで検索をかけるしかない。
だが、珍しい名前の為、すぐさま最上位に表示されてきた。
中規模の芸能事務所だが、勢いのある所ではない。
キム・ソヒョンの手はプロフィールを表示したところで、手が止まった。
「この女。間違いない」
ユン・シウの空港写真は、家のパソコンでしか見られないが、間違いない。
「ソン・カナン。2006年4月22日生まれ。20歳。A型。
経歴、日本化粧品メーカー藤咲広告モデル。日本繊維メーカー深山広告モデル。」
キム・ソヒョンの舌打ちは、誰にも聞こえていないかのようであった。
今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、
もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。
こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。
※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。
参考データ
※ユン・シウ…小説家25歳
※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳
※ソン・インナ…女優、シウの母親
※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス
※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組
※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説
※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説




