F.G.S
あらすじ
ユン・シウとイ・ソジュンは、カン・サランをモデルに起用する具体的な仕事を進めます。対象となるのは、日本の老舗化粧品メーカー「F.G.S」の薬用ハンドクリームと、日本の深山編織株式会社の極薄ストッキング「SHIMA-KINU」のWEBバナー広告です。いずれもパーツモデルの仕事ですが、サランは経済的な理由からも意欲を示し、ソジュンによる宣材写真の撮影に臨みます。また、サランが所属事務所『アトリエ・ノア』で放置状態にあると知ったシウは、彼女のレッスン役として、現在北海道にいる「ラスボス的な人物」に協力を仰ぐべく動き始めます。
「それより、仕事の話だ。あの、手のモデルの件。進めてほしいんだ」
『藤咲モイスト・バイオ・シルク(和花摘み -WAKAZUMI-)』
「シルクの潤いと、ほんの少しの休息を」がキャッチコピーの商品だ。
大正時代から続く藤咲の皮膚科学と、日本の伝統的な天然成分を詰め込んだ、超実力派の薬用ハンドクリーム。
物はよさそうだが、やや大人の商品のようだ。
今回はWEBのバナー広告の手だけのモデルである。
カン・サランに確認すると彼女は喜んで、モデルをやるとの事だった。
「お前の母さんからも電話来ていたよ、プレゼン用の写真撮って行くよ。
全身、両手、胸上、顔かな。一応、両方の側面も。
手のモデルだけど、クライアントに説得力あるようにね」
ユン・シウはやや考えたが、カン・サランに提案した。
「芸名。考えた方がいいかも知れないと思うのだけど。
サランはどう思うかな?」
芸名。仕事携帯。SNSの公式アカウント作成を
やってはどうかとの提案である。
プライベートと一緒の人もいるが、
過去の投稿や個人情報が漏れやすい。
今後、本格的にするなら、考えるべきなのだ。
「移籍の事、事務所に相談してみます。今は家の事で頭がいっぱいだけど」
イ・ソジュンをカメラマンにして、カン・サランは写真撮影中である。
今日、もう一回カン・サランに必要な物を取りに連れて行って、
引き上げは来週になる。新しい部屋がすぐ見つかれば、
そのまま、引っ越しすればいい。
犯人の隣人は逮捕されたものの、結局は同じマンションに帰ってくるかも知れない。
そのまま、住み続けるのは苦痛であろう。
小樽旅行の不在中に壁に穴をあけられたので、
以前から覗かれながら生活していた訳では無い。
それは唯一の救いと思った方がよい。
「ストッキングの広告もあるけど、進める?
足の写真撮れたら、とって行くけど」
イ・ソジュンはニヤリとした。
シウはサランを近くに呼んだ。
「深山編織株式会社のSHIMA-KINU(縞絹)っていう日本の会社のストッキングの広告でね。SHIMA‐KINUプレミアム・シアー10(テン)っていう商品の広告だけど、
極薄が売りみたい。今度は足だけのモデルだけど、いいのかどうか。
足のモデルだから、宣材写真って言って、今、生足の写真をとらないといけないけど」
サランはうん。うんうんと話を聞いている。
「それとね。今、スカートだから、捲って写真撮るのは、格好悪いから。
2階行ってショートパンツに履き替えてきて欲しい。」
「はーい」
気乗りしない返事でサランは立ち上がった。
「仕事、無理強いする訳じゃないから、嫌なら嫌っていつでも言って。
我慢しなくていいから」
「お仕事。やります。私、貧乏なのです。仕事頑張ります。頑張る。私。頑張る」
カン・サランはミュージカルスターの様にオリジナルのメロディーで嘆きながら、
2階へと着替えに向かった。
「磨けば光る。すごい原石見つけたね。私。びっくり。私。びっくり」
イ・ソジュンはカン・サランのメロディーを真似していった。
しかもとびっきりの重低音だ。不気味な気分になる。
「あの事務所。どうして消極的なのだろうね?」
ユン・シウは首を傾げている。
サランの所属事務所は『アトリエ・ノア』。
所属タレントは50名くらいの中堅事務所である。
事務所は江南の一等地にある。
「あそこはさ。ボーイズグループの何とかでこけて、苦戦しているらしい。
今さら後に引けないのだろうね。」
『ECLIPSE』、男性5人組のグループである。
初期投資が多くて、デビューは成功したが、その後すぐ、
トラブルがあったグループである。
それで経営難との噂になっていた。
「サランちゃんは犠牲者だね。」
サランは契約でキープだけされており、放置状態なのである。
自分でオーディションに行き、自分で仕事を探す状況であった。
「せめて演劇系の大学でも、行っていたらな。
自費でレッスンなんて破産するからね。
自分より収入多い人を1時間2時間雇う訳だし」
「イ・ソジュン」
「ん?」
「いい事教えてくれたね。一人いるよ。教えられるけど授業料必要ない人が」
「あー。いるねー。ラスボス的なのがね。ところで今、どこにいる?」
「日本だよ。北海道のニセコにいる」
「ヒグマを飼っているとか。ヒグマと戦っているとか、いないとかかな?」
シウはソン・インナにメッセージを送った。
「藤咲のモデルやる事になった、カン・サランって女の子がいるけど
後押しお願いします」と。
今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、
もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。
こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。
※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。
参考データ
※ユン・シウ…小説家25歳
※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳
※ソン・インナ…女優、シウの母親
※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス
※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組
※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説
※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説




