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土曜の夕方の勉強会 「アミノ酸って?」

晴れた土曜日.病院は救急と外来はやってないのだが、検診センターは営業していて、検査やレントゲンも一応平日に準じた体制である.


午前8時半までに出勤して、午後0時半まで仕事ということになっている.


一回り回診して、当座必要な処方をしたり、紹介状の返事とか、転院の紹介状を書いたり.急ぎの退院総括を書いたり.


病棟の仕事を一通りして、医局に戻って勉強して、日記を書いたり、書きかけの物語の、資料の整理したり、関連の勉強してから、昼過ぎに病院を脱出!


この前Amazonで買った本、ビニール袋に入れて、持って帰る.結構分厚い本でびっくりした.


最近は日が当たっている中を歩いてもそんなに汗をかかない.

あれ、いつの間にか、金木犀の匂い、しなくなったかな・・・・


しかし、日本列島の南には、大型の台風30号が控えていて、来週あたり、列島に近づいて来るらしい.


天気予報を見ると、来週は雨の日が結構ある.土日は、曇りか雨か・・・


簡単な昼ごはんを外で食べてから帰宅.

カバンの中の本とかパソコンを出す前に、まずすることは、


「布団干し」

そして、洗濯、

部屋の掃除.


勉強をするテーブル、お菓子を食べたりするから、床に食べかすとかたまってくる.

モップで拭いて、掃除機で埃を吸い取る.


風呂場の脱衣ば、落ちた毛を綺麗に掃除するのは週に一回.

余力があれば、顕微鏡とか本棚に溜まった埃を、拭き取るのだが・・・


なんか眠くなって、布団を取り込んで、横になって寝てしまった.

朝起きるの、3時とか4時だからな・・・


なるべく夢で見たことは、すぐに書き留めて置けるように布団の脇には、メモ帳とボールペンを置いてあるのだが、なかなか書き取り、できない.


「あれ、なんか面白い夢見たと思うんだけど、内容をうっかりメモしなかったら、忘れてしまった」


勉強したり、執筆したり、本を読んだりしないで、ぼけっと、過ごす.

こういう日には、海丸君とかルシフェルが遊びに来るのだが・・・・・


(ピンポン!)

「ほらきた!」


知らない人ではないことを確認して、ドアを開ける.

「いらっしゃい・・・・」


おや今日の来訪者は珍しい.


海丸くんはいつもの通り.

「あれ、ルシフェルは?」

「あ、おじさん、今日は珍しく、別館の夕ご飯の支度の手伝いしてますよ.」


「!」

な、なんとルシフェルが、夕ご飯のお手伝い!


「買い物行ったり、テーブルの上にお皿並べたり.アテナも、なんか昼から落ち着きなかったな.おじさんとアテナが色々、ご飯の準備手伝ってると、なんか悪いことでも起こるんでないかと・・・」


「へー珍しいね・・・」海丸くんがいない時には、彼はそうなのかもしれない.


あとは、これは珍しい、

アンテロスくんと、菊理媛のおばさん.「いやお姉さん?」


「呼ぶとしたら、おばさんとお姉さんのどっちがいいですか?」

「まあ、どっちでもいいさ.わたしゃ、どうせ、イザナギ、イザナミと直接会ってる、国が生まれてからすぐの、生き残り、だからね・・・」


そして、アンテロスの方を向いて、「それにあたしゃ、この子の母親だ、いつまでもお姉さんではいられないさね」


(なるほど、そうでした、菊理媛様は、アンテロスと養子縁組をしてその義母『はは』ということになったのだ!)


あとは、大年神様と、ははきちゃん.


この頃は、ドクトルと大年神様は、大の仲良しである.


ドクトルは、大年神様の、ふにゃふにゃしたような優しさが嫌いでないし、そのくせ、悪を憎む、一本筋の通った男であるところが好感が持てる.身内を大事にされるところもポイントが高い.身内を大事にするのは、ドクトルにはない美点である.


大年神様は、ドクトルの、のほほんとしていながら、たえざる探究心、学識の深さ、いつも学ぶ姿勢を忘れないところが気に入っている.そのくせ、色々話をしてみても、観察してみても、杳としてその正体が知れぬというのも魅力かもしれない.


「それにしても、須佐男様の息子さん、なんで、”できた人”が多いのでしょうか?


大年神様しかり、

五十猛さんしかり、


乱暴者、荒ぶる神、須佐之男命の、息子さん、反動、なんでしょうか?」


「身内以外の方にそう言われるとちょっと照れますね.

まあ、私なんか喧嘩ができない、優しいだけのただのヘタレですけど、


五十猛(いたける)兄さん、あの人、本当にできた人だから・・・


国土緑地化運動の中心かと思えば、

亡命者に匿ってくれと言われれば、それが、義とみれば、

自らの危険も顧みずに、力の限り、その人の身の安全を守ろうとする・・・


しばらく会ってないけどね.どっか森の中、また木の苗植えてるのかな?」


「ははきちゃんもいらっしゃい.昼間、掃除したけど、どうかな?ちゃんとできてる?」


黙って、部屋の中を見て回ったははきちゃんは、


「リビングの床と、洗面所はまあまあ、でも台所と廊下と本棚はまだまだね・・」

お掃除の神様のチェックは厳しい.


「はは!お見通しで・・・」


「ねえねえ、ドクトル、紙にいっぱい書いてあるのは何?この頃の勉強?


グリシン

アラニン

バリン

ロイシン

イソロイシン

・・・・・・・・


その後には本のページと思われる数字が書いてある.


「あ、それはね、タンパク質の原料になる、アミノ酸.20種類ある.


L型・D型の区別、グリシンにはないですけどね.他は皆、

L型アルファアミノ酸で、生き物の体でタンパク質の原料になるアミノ酸は、

このほかに、


セリン

トレオニン(スレオニン)

フェニルアラニン


システイン

メチオニン


グルタミン、グルタミン酸

アスパラギン、アスパラギン酸


ヒスチジン

トリプトファン


アルギニン

リシン


プロリン


全部で、20種類あるんですよ.毎日書き出して、抜けてないか見て、関連する、生化学とか、内科の教科書のページを書き出しているのです.毎朝、血圧測ってからするから、普通に書き出しできるようにはなりましたけどね.


「ドクトル、一つ抜けてますよ、これだと.19・・・」海丸くんがめざとく見つけた.ちょっとだけ紙を一瞥しただけで、ドクトルは、即座に、

「あ、ほんとだ、チロシン忘れてました・・・」


ドクトルがいうには、

「構造式は、まだもう少しでしょうかね.でもね毎日、関連ページを開いていると、合成とか代謝、代謝の異常による病気の仕組みなんかがなんとなくわかるようになってくるんですよね.こういう勉強法、いいかもしれないとこの頃思います.なんせ年取ったら、一回読んでもなかなか覚えられませんからね」


「ほお、これは、生化学、というのですか、ハーパー・・・」

(原著 20版、上代淑人監訳、丸善出版)

大年神様、やや分厚いその本を手に取ってみてみる.最初の方のページがパラパラと落ちてくる.


「あ、ごめんなさい、ページが取れて、バラバラになっちゃった」と大年神様が、直してくれる.


「いえいえ、私、テープで修理するの忘れてましたから、お気になさらずそのままで・・・」


ドクトル学生の時に買ったこの本.40年も前か・・・・


「なかなか面白そうな学問ですね、是非、今度妹のみたまにも教えてやってくださいな.あいつの授業の参考になるだろうから・・・」


みたま先生は家庭科の先生でこの頃は、栄養とか食事に関する授業の準備で忙しいらしい.


大年神様、この神様は、誰に対しても優しい.そして、妹思いでもある.


「ええ、そのつもりで今、私も色々勉強しているところです.

でもね、人様に話して聞かせるところまで、なかなか、なかなか・・・・」


「ねえドクトル、この本は?」

アンテロスくんが、テーブルの脇に無造作に置いてある本を手に取って、ドクトルに質問である.


本は、 ジョン・ロールズ著 「正義論」である.Amazonで買ったばかり、病院から今日持って帰ってきた、まさにその本である.


海丸くんもすごい子供だが、アンテロスくんも、すごい子供だ.


「これはね、この前、みたま先生の授業の予行練習であったでしょ、その時に、楽しく食事を食べるために、大人が、色々、義務を果たさないとダメで、それができる親とできない親、子供に食べさせることができる国とそうでない国、でもできる国に生まれた人が、できない国に生まれた人たちを、だからお前たちはダメなんだということはできないという、大年神様の意見、突き詰めていうと、この人が書いた、正義の問題だという話を聞いて、早速買ってみたのですが・・・」


「僕も、読んで読んでみたい・・・」

「そうだね、今後別館の図書室に置いときますよ.私なんか読み込んで、理解するのは、半分諦めてますから、アンテロスくんが、よく読んで、内容を教えてくれると、私も嬉しいですよ、あ、そうだ、アンテロスくん別館の図書室に持っていってくれますか」


アンテロスくんはニコニコして、頷いて、本を脇に持っていって早速ページをめくり始めている.

その様子を菊理媛は目を細めてながめ、ははきちゃんは、アンテロスくんが読んでいる本を一緒に見る.


「ああ!そうだ、忘れてた!」海丸くんが、叫ぶ.

「おや、海丸くんどうしたのですか?」ドクトルがきくと、


「今日はですね、別館で、夕食、焼肉パーティだから、ドクトルのことお迎えに来たのでした、大変です!ぼやぼやしていると、焼肉、アテナと四天王と、おじさんが全部食べてしまいますよ!」


「そうだった、忘れてた!」

「みんな急いで、急いで!」

「肉、なくなる前に早く帰らなきゃ!」


皆がそそくさと支度して、ドクトルのうちを後にした.


皆が息を切らして、別館に戻った時、

幸い、まだ、夕食は始まる前であった.












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