月を読み、星を読む・・・・
夏のある日、アテナと、アルテミスが留守番をする、別館にひょっこり現れた、
三貴子のひと柱である、
月読命・・・・
彼のその後がどうなったのか、を追ってみたい.
ちょっとその前に、別館における、神々と、人の部屋割りについて.
ギリシャの古い神で、その最高神であるゼウス.
そして彼自身と、多くの人は彼をルシフェルと呼ぶ.
神に反乱を挑んだ、堕天使の、頭目のことである.
その彼が、居候を始めるめた、はるなの家.居候は一人増え、二人増え、
そのうちにそこは、地獄の堕天使が集う宮殿「万魔殿」.
その、annexという意味で「別館」と呼ばれるようになった.
太古の昔、高天原に国譲りをした後、建造された、出雲大社.
高天原と、葦原中国、国家間の協定により、天津神々のいます、天上の宮殿よりも、壮麗にして、広大な屋敷としてそれは建設された.
もちろん部屋数など、数えたところで、わかるものではない.
実際に現在の家主である、はるなにしても、その兄たちの、事代主も、建御名方も、
この邸宅にいくつの部屋があるかは、知らない、らしい.
しかし、毎朝、隅々まで掃除をして回る、子供たちには、わかる・・・・
はずだが.
「えと、99、100、100の次って、お兄ちゃん、何?」愛ちゃんは健ちゃんに聞くが、
「え、100の次の数・・・あれ僕もわからない・・・アンテロスわかる?」
「え、それも数え方工夫したらわかるのだろうけど、でもそれを知る必要が今の僕たちにあるのだろうか?たとえそれが、523であろうと、897であろうと、僕らはひたすらその膨大な数の部屋を残らず掃除して回るのみ・・・」彼の物言いはえてして哲学的になるから、あまり別館の部屋数が、いくつかという議論の際には役に立たないらしい.
「部屋が、100あると仮定する.その99の部屋を掃除したとする.それくらいなら、我々には数えることができる.それをもって、半ばであると考えるとすると、全部で、198個の部屋があるという、超数学が成り立つ世界が別館ということになる.しかし、それでは初めに部屋が100あったという過程と矛盾するゆえに、部屋の数は数え切れるものではないという・・・」アンテロスは簡単なことをむづかしく考える癖があるようである.
この小さな哲学者、実は算数は苦手で、まだ九九もマスターしていないという噂である.
「かの文豪ゲーテや、大哲学者のカントですら、ガウスに言わせれば、あいつら数学できねえんだよな・・・」と、嘲笑の対象であったという噂も聞く.
「・・・・・・」と、後輩たちの議論を、海丸くんは、黙って聞いていた.
彼は、別館の部屋数を知っているのかもしれないが・・・・
「アンテロス、今日午後から空いてるかい?ちょっと算数の勉強するか」
海丸くんに言われて、
「ええ・・・」アンテロスはちょっと嫌そうな顔をした.
「それでね、部屋数のこと考えたら、気が遠くなるから今回はその議論はしません.
今日の問題は、月読様のお部屋をどうるすか・・・」
いうまでもなく、別館に住まう神々、その高貴な順に部屋が割り当てられている、らしい
話は最初に戻る.
別館の最上級の部屋は、もちろん、おばば様の部屋である.
あと、アフロディーテたち、愛染一家が住む部屋は、家族の住居と、会社の事務所が同じ場所にある.かなり広いスペースを貸してもらっている.いつか話したかと思うが、家賃はいらないみたいである.
神として高貴な順に、神々の部屋が並んでいるかというと必ずしもそうではないらしい.
その証拠に、須佐之男命の部屋は、健ちゃんや、愛ちゃんの部屋の向かい、両隣、は奥が海丸くん、そして玄関側が、はるなの部屋である.
食堂近くに、アテナの部屋、その向かい側が、四天王が4人で一部屋だし、
図書室の近くに、ドクトルと、ルシフェルの部屋が、並んでいるという感じである.
なんと彼らは、それぞれ、4畳半か、6畳くらいの部屋で、別館にいる時、寝るためだけ借りている感じである.
そもそもドクトルは、ここの住人のような顔をしていて、自分の家が別にある.
愛ちゃんと、健ちゃん一家もそうだ.数日、滞在する時に一家が過ごして泊まれる部屋を借りるのだが、実際には、家族が暮らす家は別にある.
はるなの部屋の隣がヘスティアおばさんだし、庭にすぐに出られるところが、デメテル母さんの部屋だし、その3LDKの部屋の中に、里帰り中のペルセポネの部屋がある・・・そんな感じであろうか?
神々の序列ではなくて、部屋割りは、機能的に考えられているようである.
「月読さま」の部屋.しずかなところということで、おばば様の部屋の向かい側が割り当てられた.
「私が暮らすには、起きて半畳、寝て一畳・・・昼ひなかは、瞑想して過ごす故.
夜も、1ヶ月の半分は、私は寝ずに過ごす..1畳のもあれば充分・・・」
父である、伊弉諾大神からは、「夜の食国を知らせ・・・」と命じられた、月の神は、そのようにいう.
でも一畳の部屋ってこの家には、クローゼットと物置ばでもないから、ちょっと広くて申し訳ないのですが、20畳くらいある部屋の中、居住する空間だけを1畳の畳の部屋のように区切って使っていただくことになった.
それも、部屋の隅っこの方ではなくて、真ん中に.
それはそれで結構おしゃれな部屋になっている.
部屋の中央だけがライトアップされるように居住空間があり、
周りは、夜の暗黒のように、虚空が広がっている.
広大な夜空に、ぽつんと月が一つ浮かぶが如くに・・・・・
月読命が、「別館」に入居したその夜.
初めて、この高貴な神を、食堂にご案内する.
はるなをはじめ、女性たちは、皆ヒヤヒヤしながら・・・・
「くれぐれもご無礼のないように・・・・・・・・」誰がいうとはなく.
食事の準備を担当する、皆がいつになく緊張の面持ちである.
昼間応対した、アテナとアルテミスは、どこかにいってその場にはもちろんいない.
食堂の、最も上座に当たる席についた、月読のもとに、さまざまな山海の珍味、贅の限り尽くした料理が運ばれる.
皆、
「ははあ・・・」である.
その席には、須佐之男命も並ぶ.
隣に、座った、ルシフェルが、須佐男に耳打ちするように話しかける.
「須佐之男の師匠は、月読み様とは何年ぶりですか?久しぶりっすか?」ルシフェルがかーるい気持ちで、兄弟の再会どれくらいぶりか聞いてみた.
いつになく硬い表情、
緊張の面持ちの須佐男
少し顔が蒼いように見えなくもない
少し震えた声で彼が答えていう.
「いや、俺は、兄貴と会うのは、これが初めてだ!」
「えええええ・・・・!!!」
皆の驚愕の、これまででも最大級の声が、別館中にこだました.




