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筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原・・・

ものの、10分そこらで、宮崎県の上空まで、一行は飛んできた.

おそらく航行速度は、ジェット戦闘機並みなのだろう.

マッハ1.5の最新鋭のジェット戦闘機で、東京ー宮崎30分とあるから、それよりも少し早いのか・・・


乗っている人は、大丈夫なのか、とか、色々な問題は、ここでは、不問にする.


「あ、あれ、宮崎県だ・・・」

橘の小戸の阿波岐原・・・


「あ、あそこ!」ははきちゃんが指さしたところに、一行は降り立った.

「ここが阿波岐原?」


ははきちゃんは、首を傾げるだけで、わからないらしい.

皆であたりをキョロキョロしていると、ものすごい大男が声をかけてきた.

異形のものと言っていい.


まず背丈が高い.

そして、顔が赤い

さらに、鼻が高い、というか、異常に長い

歯が一枚の高下駄を履いて、そして楓のうちわを腰につけている

山伏のような衣装を着ている・・・・


「わ、天狗さまだ!」愛ちゃんと、健ちゃんが、嬉しそうに、近寄ろうとする


「ちょっと待った!知らない人にそんなにすぐに近づいていったらダメ!」


ウカノミタマ・みたま先生は引率の責任者として子供たちに注意した.


「ひょっとして、あなたは、天狗さま・・・ではなくて、猿田彦さまでは・・・」


はるなが恐る恐る聞いてみた.


天狗さまは、ギロリと下の方を見て、はるか足元の一行を睨みつけたかと思うと、満面の笑顔になっていう.


「いかにも!私は猿田彦、皆を阿波岐原へ行く道を案内しに参った.

聞けば天孫邇邇芸命様の、お妃のそのまた、姉上にあたる、大歳御祖神さまの祭りのために禊に来られたとか.


お待ち申し上げておりました」


「阿波岐原って一体どこにあるのですか?地図に載ってないし、Googleで検索しても、場所全然わからなくて、困ってたんですよ」海丸くんも、大天狗の猿田彦が全然怖くないらしい.


「阿波岐原は、我ら国神くにつかみにとっても、天照大神さまはじめ、天津神あまつかみの全ての神々にとって、聖地であるので、この世の人間は私の案内がなければゆくことができない.


私のように、高天原、葦原中国、そして根の堅洲国、自由に行き来することは、特別な神にしか許されぬ」


高天原から、葦原中国に下る、道.

その道案内は、猿田彦のような、岐神ふなどのかみにだけ許される.


「へえ、じゃ、私たちのとこの、ヘルメスみたいな感じかな.

プシコポンポス・魂の案内人.

でもあんた、もうちょっと愛想良くしたら?

ヘルメスは、すごく愛想がいいよ.

そんでさ、早くその禊の会場案内してくんねえかな、

あたしたちそんなにゆっくりしてられねえんだよね」

アテナは、礼儀と遠慮のないいつもの話し方をする.

隣で、アルテミスがうんうん頷いているのをみて、

ヘスティアのおばさんがちょっと慌てていう.


「ああ、すみません、姪っ子たちが礼儀知らずなもんで、あの、道案内お願いいたします・・・」


猿田彦に先導された一行は、阿波岐原に到着した.


「さあ、皆様、ここで存分に禊たまえ、

それがし、ここで番をしておりますゆえ・・・」


猿田彦は、水辺の大きな岩の上にどっかと座り込んで、皆を見守るという口実で、

ちゃっかり、女性たちの水浴びを、覗こうとしている.


「あの、おじさん・・・」アンテロスが、遠慮がちに、猿田彦に話しかける.


「私は、アフロディーテと、アレスの息子のアンテロスともうします.

今は、菊理媛のおばさんの養子になって、魂の仲介者として修行をしています」


「うん!」と猿田彦は、尊大に頷いて威厳を示そうとする.


「あの、悪いことは申しません.女性たちの裸、みられない方がよろしいかと思いますけど・・・・」


健ちゃんと、海丸くん、アンテロスは、岩陰に隠れて、女性の水浴びは極力みないようにしている.背中を向けて、アイマスクで目隠しをして、さらにその上を両手で覆い隠している.


「うん?なんで、みてはならんのだ?」


アンテロスが内緒話のようにひそひそ声で教えてくれた.


「あのね、おじさん、アテナとアルテミス、ヘスティアおばさんは、ギリシャの有名な処女神で、その裸を見ると、


 目が潰れたり(←アテナを見ると)

 鹿になったり(←アルテミスを見ると)

 身体中が炎で包まれて焼け死んだり(←ヘスティアを見てこうなった人は、神話に

 は残っていない.多分、そうなるだろうということで・・・・)


結構大変みたいですよ・・・・

これらはギリシャに伝わる古い神話である.


はるなと、みたま、ははきちゃんの裸を見た時にどうなるかは、残念ながら、古事記や、日本書紀には記録がないようである.


愛ちゃんと、ははきちゃんがキャキャとはしゃぎながら服を脱いでいるようである.

そのあとはピチャピチャと水の掛け合いをしている・・・・

のだろうか?


大人の女性たちは、お互いの裸体の褒め合いをしているようである.

その後、

「きゃー」とか

「いやーん」とか

聞き様によったら、変な声を発する.


海丸、アンテロス、健ちゃんは、自分の耳も塞いだ.

目隠しが少し手薄になるのだが.

猿田彦も男児たちに倣い、背中を向けて座り、耳を塞いだ.

残念ながら彼にちょうどのアイマスクはなかった.

だから、硬く目をつぶって・・・・


とにかく、禊がどのような作法によって行われたかは、門外不出ゆえ、普通は知り得ないことなのである.詳細をあえて知りたい方は、後で、みたま先生か、はるなに聞いてみるとよろしかろ.

教えてくれればの話だけどね.


女性の皆さま、つつがなく、禊を済ませて、心も体も清々しく、別館に戻られたということは、今に伝わる話である.








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