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肥満

肥満とは、「体に脂肪が過剰に蓄積した状態である」

(内科学 第11版 朝倉書店)


「ほお、じゃ、俺は、肥満じゃねえってことだな!」

いつも兄弟姉妹からは、太っていることをいじられる、ポセイドンがいう.


「俺の体、これは皆、鍛え上げた筋肉だからな!」

今日は珍しく、別館の医学勉強会に参加である.


腕まくりをして、力コブをつくって見せる.

愛ちゃんが、その腕にぶら下がり、

健ちゃんとアンテロスは、そのお腹をくちゅくちゅしていた.

最初のうちは指で触るだけだったが、そのうちにゲンコツで思い切り叩くのだが、

流石にびくともしない.


父上、試しに、体脂肪率と、BMIを測ってみましょうか・・・

海丸くんが、すかさず、どっしんのおとしゃんのBMIを計算する.

これは、人の世界に紛れ込んでいるときのポセイドンの仮の姿から算出したものである.


「父上の身長 198cm、体重125kgとして・・・・・」


BMIを算出.

計算式: 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

計算: 125 ÷ 1.98 ÷ 1.98 = 31.88...


判定: 日本肥満学会の基準では「肥満(2度)」に該当します(BMI 30以上35未満).


BMIによる肥満度分類  

 18.5未満:低体重やせ

 18.5以上25未満:普通体重.

 BMI 22は、統計的に最も病気にかかりにくいとされる理想的な標準体重

 

 25以上:肥満

 25.0以上30.0未満:肥満(1度)

 30.0以上35.0未満:肥満(2度)

 35.0以上40.0未満:肥満(3度)

 40.0以上:肥満(4度)


「はい、肥満の仲間入り!」とドクトルが嬉しそうにしている.

「BMI25以上の方は、別館・肥満友の会に自動的に入会となります.ようこそ・・・」


「ドクトルちょっと待ってください、父上の体脂肪率、測ってみます・・・」


成人の体脂肪率による一般的な分類は、次のようなものがある.


判定 男性        女性

低い 10%未満      20%未満

標準 10~19.9%     20~29.9%

軽度肥満20~24.9% 30~34.9%

肥満 25~29.9% 35~39.9%

重度肥満30%以上 40%以上


この区分は体組成計などで広く使われており、男性25%以上、女性35%以上を

「明らかな体脂肪過剰」とする.


ポセイドンの体脂肪率は、27.4%と出た.まあ筋肉が多いが、腹筋が割れているわけではないから、脂肪もそこそこあるということだろう.


「やっぱり.肥満の友の会ご入会おめでとう!」ドクトルはなんとしてもポセイドンを仲間に引き入れたいようだが.


今のところ、会員は・・・・

「まあそれは、読者の皆様の想像にお任せするとしましょうか・・・」

ドクトルは、こういう個人情報の保護にはちょっとうるさい.


「医者の守秘義務ってやつか、じゃ、俺の個人情報はどうなるんだ、うん!」

とちょっとポセイドンはムキになる.


さらに海丸くんの反論である.

「父上は、自由に太ったり痩せたり、時には巨大化して、身長が20mにもできますから、この際、個人情報として、特に公表は問題ないということだと思いますよ・・」海丸くんが父上を宥めるようにいう.


「まあ、それもそうだな、姉ちゃんたち、ヘスティアやらデメテル、身長体重、公表すると問題だな.はるなに静香、アテナにアルテミスも、どんな体形か、なんて・・・」ポセイドンがまだ不服そうなのだが.


「そういうことは、今後・・・・」

(シー!)というように、アテナは口をへの字に結んで、指を一本立ててポセイドンに警告する.


「お、おお・・・・」以後、ポセイドンは口を閉ざした.


そもそもおばば様にしても、元々はチタン族の神様なので、本来の身長は、何十メートルなのだろうし、海丸くんもリバイアサンに変身したら、それこそ、体重何トン、体長何十メーターということになるから、彼らのBMIを云々すること自体に意味があるとは思えない.


BMIは、あくまでも人に適応する指標であるということだろう.


改めまして、今日の勉強会のテーマは、「肥満」という.


肥満は、原因となる基礎疾患の有無により、明らかな原因がない、単純性肥満(原発性肥満)と症候性肥満(二次性肥満)に分けられる.


肥満の90%以上を占める、単純性肥満は、摂取及び、消費エネルギーのバランスが崩れ、余分なエネルギーが脂肪として蓄積されることによって生じる.


エネルギー過多の原因として、

過食や、間食といった食物摂取の過剰がある.


エネルギー消費系としては、


基礎代謝      60から75%

運動(身体活動)   15から30%

食事誘導性熱産生  10%


の割合で関与している.エネルギー消費系の問題としては、運動不足が最も重要である.

基礎代謝や、熱産生による消費系は、ホルモンや自律神経系で、自動的に調節される.


以上がエネルギーの摂取と、消費のバランスが崩れて起こる場合.


他に、「遺伝性」に肥満になる場合がある.

レプチンの異常による、遺伝性肥満が少数例であるが報告されている.


肥満遺伝子(ob gene)は、脂肪蓄積に伴って脂肪組織で特異的に発現が亢進し、レプチンを産生する.


レプチンは、

視床下部の食行動調節中枢に働いて摂食を抑制するとともに、

末梢では、エネルギー消費を亢進させる.


レプチンの産生異常、あるいはレプチンの受容体異常に基づく、肥満症家系が少数だが報告されている.


一般の肥満患者では、レプチンの産生や受容体の異常がなく、脂肪蓄積増加に伴って血中レプチンが増加している.レプチン値が高いにもかかわらず肥満が是正されないため、肥満症患者には、レプチン抵抗性があると考えられている.


β3アドレナリン受容体は脂肪組織に存在し、交感神経系を介する熱産生と脂肪分解に重要な働きをしている.ミスセンス変異が人では比較的多く存在することがわかっている.


あとは、摂食行動の異常に伴う、肥満.

前にも勉強したことがある、視床下部を主とした、摂食行動の異常に伴うものである.


摂食中枢.視床下部外側野(LHA).破壊で痩せる.

満腹中枢.視床下部腹内側野(VMH).破壊で太る.


室傍核(PVN)CRH、MC4R、レプチンにより促進性の制御を受ける.


弓状核(ARC)の、

AgRP/NP-Y、は摂食を促進し、

POMC/CARTは摂食を抑制する.


グレリンは、摂食を亢進させて、レプチンは摂食を抑制する方向で、それぞれに刺激を加えたり抑制したりして神経回路を調節する.


代謝動態

肥満に伴うインスリン抵抗性には、脂肪組織より分泌されるTNF -αやレジスチンなどのアディポサイトカインが関与している.


肥満症で増加する遊離脂肪酸も、脂肪毒性を介して、インスリンの作用を抑制する.

インスリンの作用低下は、やがて、耐糖能異常、糖尿病の発症へと結びつく.


アディポネクチンは脂肪組織特異的に発現するタンパクで、抗動脈硬化作用、抗糖尿病作用を有する.


「神経性過食症」とか視床下部過誤腫とか・・・


肥満の原因となりうる疾患



肥満に伴う合併症.


まず、メタボリックシンドロームから.

血圧、糖尿病、脂質異常症が問題になる.


そのそれぞれが、動脈硬化性疾患、つまり

脳卒中

虚血性心疾患

大動脈疾患

腎障害

末梢動脈の閉塞性動脈硬化症

・・・・・

などのリスクになりうる.


教科書の記載を引用させてもらう.


メタボリックシンドロームを伴う、肥満は腎機能低下とアルブミン尿の危険因子であり、摂取エネルギーの制限などによる体重減少、内臓脂肪組織の減少により腎機能低下の進行を抑制するため、積極的に治療介入する.しかし、CKD4,5の進行した腎障害ではこの関係は明らかになっていない.


肥満による直接の腎障害という概念も提唱されているが、肥満に合併することの多い高血圧

糖尿病

脂質異常を介した動脈硬化はいずれも腎障害を独立に進行させるため、どのステージにおいても是正する必要がある.


次にメタボに伴う、肝臓の異常.


以下も教科書の引用である.

脂肪肝の中では、肥満に伴う症状の頻度が最も高く、誘因で最も重要なものは過食と運動不足である.


「脂肪肝の最大の危険因子は、肥満・・・」ボソリと海丸くんが呟き、父のポセイドンのお腹に目をやる.普段あまり感情をあらわにしない彼も、一瞬心配そうな目をしたのをドクトルは見逃さない.しかし何も言わないで、勉強会を続ける.


脂肪肝

BMIが、22以下の症例では罹患頻度が、10%以下であり、

25を超える肥満症例では、罹患率が、60%を超える.


次に心臓・血管系の異常

肥満患者の高血圧の発症率は、非肥満者に比べて、2から3倍である.

メタボリックシンドロームは腹部肥満に伴う病態であり、高血圧の合併も多い.


これらの病態では、糖代謝異常、インスリン抵抗性、脂質異常症などを含め、複数の心血管リスクを合併することが多く、生活習慣の改善により、血圧低下のみならず、減量や、腹部肥満の解消を目指すことが重要である.


降圧薬の選択は、降圧目標達成が優先されるが、糖代謝・インスリン抵抗性改善の面から、ARBや、ACE阻害薬が望ましいとされている.


肥満には睡眠時無呼吸症候群の合併も多く、評価と対策が必要になる.


約4kgの減量で、収縮期血圧が、4.5mmHg低下することが報告されている.


ハリソン内科には、いみじくも書かれている.


When needed ,the triglyceride is rapidly broken down to free fatty acid and glycerol,which provide an energy source to other sites throughout the body.

However,in environment where food is abundant and when indivisuals tend to be sedentary,the choronic excess of energy intake over expenditure leads to obesity.


「必要になると、蓄えられていた中性脂肪は速やかに遊離脂肪酸とグリセロールへ分解され、全身の各組織で利用されるエネルギー源となる.しかし、食物が豊富で身体活動が少なくなりがちな環境では、摂取エネルギーが消費エネルギーを慢性的に上回り、その結果、肥満に至る.」


そして、その有り余る脂肪は、現代問題となる多くの病気の原因となる・・・・


適正な食生活、どうあるべきか、今度は、また、みたま先生の講義を聞きたいものである.




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