みたま先生の授業③「必須アミノ酸」
高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説
索引はない.
調理の項目、調べてみたが、栄養に関する記述はないみたいである.
「私が中学校の時の家庭科の先生、栄養のところで、必須アミノ酸のこと、生徒に覚えさせていましたけどね」と、ドクトルが言うと、
「じゃ、言ってみて、必須アミノ酸.」
家庭科のみたま先生のテストである.
ドクトルは指を折りながら、ひとつずつ挙げていく.
リジン
バリン
メチオニン
フェニルアラニン
トリプトファン
ロイシン
イソロイシン
スレオニン
・・・・・・・・・・・
「私が習ったのはこれだけかな」ドクトルが言うと、
「うーん、今の高校の家庭科の教科書にもう一つあるんだけどな・・・・
だからね、人間にとっての必須アミノ酸は、あと一つ・・・」みたま先生はもったいぶる.
「ヒスチジン?」はるなが小さい声で、自信なさそうに言った.
「ピンポン、ピンポン、ピンポン!!」みたま先生が嬉しそうにいう.
「正解!さすがはるな.よくできました.」はるなは、久しぶりに先生に褒められた.
「ヒスチジンは習わなかったけどな、なんでだろ?」ドクトルは納得がいかないというように言った.
おめおめと引き下がるのは悔しいので、ドクトルは娘から譲り受けた高校家庭科の教科書を確認してみた.
「あ、確かに必須アミノ酸、9種類、ヒスチジンが入っている・・・」
「でしょう!」
それには、以下のような歴史的な経緯があります.
ヒスチジンが、必須アミノ酸に含まれる、 歴史的な経緯と国際機関の基準
1980年代までの認識: 長い間、人間の必須アミノ酸は「成人=8種類(ヒスチジン抜き)」と教えられることが一般的だった.
「ドクトルが中学生、1976年から1979年.
だから、教えられた必須アミノ酸は、8種類・・・」
海丸くんはドクトルがいつ中学生だったかと言うことは把握済みである.
ヒスチジン欠乏による不具合を、KoppleとSwendseidによる1975年の研究が明らかにしたらしい.
1985年の転換点.FAO・WHO・UNU合同専門家報告では、成人についてもヒスチジンの必要量が示された.
こうしてヒスチジンは、乳幼児だけでなく成人にとっても必須、すなわち食事から摂取すべきアミノ酸として扱われるようになった.
「だからドクトルが中学生の頃、ヒスチジンは、必須アミノ酸に入っていなかったと言うのは、正解です.それにしても中学の時の勉強よく覚えてますね・・・・」
みたま先生は、できる生徒を、惚れ惚れと、見るようにドクトルを見て言う.
「さすがです!」
ドクトルも久しぶりに先生に褒められた.
みたま先生は、生徒を褒めて育てる教育方針らしい.
須佐之男命の娘で、大年神様の妹だけはある、と言うことだろうか.
「褒めて伸ばす」と言うのがこの家の家風らしいから.
もっとも、須佐男は褒められて調子に乗ることを、この娘は、よく理解して、しばしば父親のこの性質を巧みに利用するのだが.
アミノ酸の話題の続きである.
「人間以外の動物も、この9種類が必須アミノ酸なんでしょうかね?動物ごとに合成酵素あったりなかったり、共生している微生物なんかが合成するような時は、もっと他のアミノ酸も自分では合成できないなんてことが起こるかもしれませんね・・」海丸くんが、しごくもっともなことを言う.
「うーん、そういうことになると、家庭科の授業をかなり、超えてしまうかな・・」
みたま先生がいう.続けて、
「そういうところは、医学とか生理学とかになるのだと思う.機会があったら、ドクトル、海丸くん、それとルシフェルのオトシャンに講義してもらいましょう」
「みたま先生、授業の予行演習しますか?」
(大講堂で・・・)とはるなは言いそうになったが、黙っていた.
「図書室でなら、ちょっと聞いてもらってもいいけど・・・」とみたま先生、軽く、承諾したのだが・・・・
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そして後日、授業の予行演習の予定の日.
みたま先生は図書室に行こうとしたら、海丸くんが声をかけてきた.
「はい、先生、図書室ではなくて、大講堂、行きましょう、さあ!」と海丸くんに手を引っ張られて、行ってみてびっくり、
大講堂の前のドアでは、アテナに、静香、はるな、愛染の母ちゃんに
健ちゃん・愛ちゃんのママが待ち構えている.
講堂中からは、何やら大勢の人がざわざわ話をしている声が聞こえる.
みたま先生は、訳が明からないままに、あたふたするだけだった.
「じゃあーん!」静香がドアを開けて、はるなとアテナに背中を押されて、講義室の中に入ってびっくり、
例によって、聴講者、200人の大講義になってしまった.
演壇の正面には、垂れ幕があり、
「宇迦之御魂神先生 大講演会」
「栄養学事始め.現在の必須アミノ酸について」
座長席には、ドクトルと、ルシフェルが座っている.
最前列は子供席で、健ちゃん、愛ちゃん、アンテロスに海丸くん・・・・
「これは・・・謀られたか・・・」
みたま先生、気がついた時には遅かった.
舞台の袖では、須佐男に大年神様、ははきちゃんに、はるなが
「うししし・・・」と笑っている.
覚悟を決めて、みたま先生は、必須アミノ酸の話題を、面白おかしく、そして伝えるべき情報はきちんと盛り込んで、話し切った.
タンパク質を作るアミノ酸は、約20種類、
その中で、必須アミノ酸と呼ばれるアミノ酸は現在9種類知られていて、
それらは、食事として、摂取しなければならない.
他のアミノ酸は、人間は、体内で合成できるが、酵素の異常などでできない人もいる.いわゆる代謝性疾患だが、それは家庭科の範囲を超えるから、また誰かが講義してくれるでしょう.
「必須アミノ酸」について.
座長のドクトル先生が中学の時にはヒスチジンは含まれていなかった.
必須アミノ酸、9種類
含まれる食品は・・・・
話題は、食品ごと、たとえば、米、肉、魚、卵、大豆のタンパクの栄養価、
アミノ酸価へ.
タンパク質の補足効果の例
ご飯一杯 70g、アミノ酸価=61(リジン)
補足後、
ご飯一杯+あじ(80g)で、アミノ酸価=100になる.
アミノ酸価の計算式
食品タンパク質の第一制限アミノ酸含有量(mg/g:タンパク質)÷アミノ酸評定パターン当該アミノ酸含量(mg/g:タンパク質)×100
計算式に出てくる「第一制限アミノ酸」、これは最も不足している必須アミノ酸の事を指す.
そして「アミノ酸評定パターン」とは、必須アミノ酸の中で、どれが第一制限アミノ酸なのか、いくつあれば良いのかを調べる為に表として表されたものの事.
「アミノ酸評定パターン」は、国際機関のFAO/WHO/UNUによって定義されている.
日本人はタンパク質の20%を魚介類から取る.魚には、「旬」が大事.旨味成分のイノシン酸が多い時の魚が美味しい.それはしめてから、24時間後.
卵は、アミノ酸価が高い、優れた、タンパク質源で、ビタミンC以外のビタミンが豊富.
大豆も、アミノ酸組成が、動物性タンパク質に似るので、「畑のお肉」と呼ばれる.
しかし消化吸収が悪いので、加熱したり、加工して食べることが重要になる.
大豆の加工食品、味噌、醤油、納豆、きなこ、豆腐、おから、湯葉・・・・
牛乳も優れた、アミノ酸組成のタンパク質を含みます.重要なのは、吸収の良いカルシウムを多く含むことです
・・・・・・・・・
などなど、家庭科で重要な話題を提供していただいた.
後日、みたま先生の授業が学校で行われた.
別館の大講堂の講演で話したこと、図書室で皆で勉強したこと、そのまま話したのだが、生徒さんたちにはすごく評判だったらしい.
アンケートが取られたらしい.そのいくつかを紹介しよう
「僕は、医学の道に進みたいと思っています.
みたま先生の授業を聞くまで、家庭科は、受験には関係ないと、思っていましたが、受験に必要だから勉強するのではなくて、将来何を学ばないとダメかという勉強の指針を与えていただいたことを感謝いたします」
(みたま先生は、小さく、「頑張れよ!」と呟く)
それにしても、中学生のコメントにしては大人かも・・・
「管理栄養士を目指している私に、栄養学を勉強する、大事さを教えてくれました.
ためになりました・・・
絶対なるぞ、管理栄養士!」
(お、いいねえ!)
「僕は動物のことに興味があります.タンパク質、アミノ酸、栄養のこともっと知ると、動物のこともっとわかるかもしれません.これからも色々教えてください」
(色々勉強することおおいぞ、がんばれ!)
「私は、勉強がはっきりいって苦手です.
国語、英語、数学、社会、理科・・・・中間テストの結果、見て、あちゃーです.
将来の夢となると、あまり勉強に関係ないこと、という感じになるのかな.
でもね、先生の授業を聞いたら、家庭科が、私が、好きで、そして得意な勉強なんだ、と気がつきました.
教科書の目次なんかこれまで見たことなかったんだ、私.
家庭科って、どんな勉強、するのかなって見てみてびっくり.
へーこんな勉強もがっこにあるんだって感じ・・・・
私の夢は、大好きな彼と結婚して、子供ができて、子供が大きくなって、歳をとっていく、普通の人生.
家族の幸せと健康を守るために、世の中のこと、法律とか、保育とか、介護とか、食べ物のこと、栄養を考えた、料理したり、洗濯したり、お裁縫したり、おうちの掃除をしたり.
そういうことをしっかりして、いい奥さん、いいお母さんになろう、そう思いました.そういう生徒、いてもいいですよね・・・」
(みたま先生は思わず、「よっしゃ!」とガッツポーズをしていた.)
みんなのアンケートを全部読み終えた、みたま先生は満足げに
「うししし・・・・」
ドクトルやら、ルシフェルの笑い方がうつったようである.
褒めて伸ばす先生は、自分が褒められるのが一番嬉しいらしい.




