鮮やかなる叱責、鮮やかなる反省
「ナマハゲ」に森の奥深く、連れ去られた、ははきちゃん・・・
その運命やいかに.
別館の人たちは、皆、庭に出て、ははきちゃんの声が消えた、森の方を注視する.
しばらくすると、女の子の笑い声.そして、お父さんと思しき優しいおじさんの声が近づいてくる.
「ねえ、お父さん、ははき、お腹すいちゃった」
「うん、そうだね、はるなとヘスティアおばさんになんか、作ってもらおうね、
今日のおかずはなーにかな・・・」
「なーにかな・・・」
二人は、歌うように
「今日のご飯はなーにかな」と
言いながら、手を繋いで、
るんるんと歩いて、森の闇から出てきた.
いつの間にか、ナマハゲは武装解除して、いつもの優しい大年神様に戻っている.
超神ネイガーに変身した、アキタ・ケンが、敵をやっつけた後に、元に戻った如しで、あまりにもあっさりしすぎでは?
ご存知でない方のために申し上げる.
超神ネイガーは、秋田県のご当地ヒーローである.ネイガーは、ナマハゲをモチーフにしているようだ.
豪石!(ゴーシャク) が変身の合言葉.秋田で、「ごしゃかれる」というのは叱られるという意味だそうな.きりたんぽの剣を振るう.敵はなんと言ったか?ハンカクサイとか、ダジャクと言ったか.
ちなみに、新潟県のご当地ヒーローは、超耕21ガッターという.朱鷺象ったヒーローは、コンバインタイプのタイムマシンに乗ってやってくる.敵は、ツタンカーメン虫とかだって気がする.誰が変身するとかは忘れた.(確か、えいちごう?)
皆が、呆気に取られてみていると、大年神様は、
「あれ、皆さん、どうなさったんですか?」
「いえ、どうなさったんですか、ではなくて、
大年神様こそ、どうなさったのですか?
ははきちゃんのお説教というか、折檻は?」
「ええ、今の時代、自分の子供とはいえ、折檻とか体罰なんか加えたら、
大問題ですよ.
今の法律、親の子供に対する懲戒権みたいなの、断固として、認めてませんからね.」
親の子供に対する「懲戒権」は、かつて民法(旧第822条)に認められていたが、2022年の民法改正により削除されたらしい.
従って、現在は親といえども、法的な懲戒権は認められておらず、しつけと称する体罰も明確に禁止されている.
「私はただ、娘を担いで、えっさ、ほいさ、そこらを走り回って、
そんで、言い聞かせるだけですよ.
例えば、
お友達を泣かすような、きつい性格の女の子は男の子にモテないよ、とか、
怒ってばかりいると、顔がシワになるよ、せっかく、ははきちゃんは可愛いのに、
ぶちゃいくになったらどうするの.
みたいなことをいつもの調子で、話して、そんで庭を一回りして帰ってきただけですが・・・」
「ははきちゃん、ブチャイク?」心配そうに、ははきちゃんはパパに聞く.
「ニコニコした、ははきちゃんは、世界一可愛いよ!」
とか話したらしい.
「そんでね、お父さん、もう疲れたから、ははきちゃん降りてくれない、っていうから、ははき降りてあげて、一緒に手繋いで、お話ししながら帰ってきたの・・・
ねえ、はるな、お腹すいちゃった、今日のご飯、何?」
ははきちゃん、けろりとした顔ではるなに聞く.
「あ、そうそう、健ちゃんにドクトル、さっきはごめんね、きつい言い方だったかもね.今度からもっと優しくしてあげる.でもお掃除ちゃんとしてね.」
と、ははきちゃんは優しい笑顔で言う.
掃除の鬼、ナマハゲ娘の顔が、すっかり、優しい女神様になった.
きた時の硬さが取れて、ははきちゃんは、ニコニコ笑いながら、
皆にお掃除のことを教えている.
夕ご飯を食べながら、皆で楽しく、お掃除談義をしたそうな・・・
さっきまで、おっかない、ナマハゲだった大年神パパと、須佐男爺さんもニコニコとははきちゃんのお掃除教室を聞いていた.
「せば、今日の晩飯さ、きりたんぽ鍋さ!」
「だんごさ、こねかたこんな感じでいいべか?」
「うだな・・・・」
秋田の方、読者にいらしたら、方言の指導お願い申し上げます.




