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天沼矛(あめのぬぼこ)⑦「アトラスをその重荷から解放せよ」

元々ジブラルタル海峡は陸続きだった.それをヘラクレスが、棍棒で破壊して、地中海と、大西洋の間に水路を作ってしまったというのが、ジブラルタル海峡の始まりだと.


「すると地中海とか黒海は、海ではなくて、湖だったってこと?」海丸くんは、ヘラクレス本人に聞いてみたが、


「さあな、どうだろね・・・」ヘラクレス、色々活躍があったが、よく覚えていないらしい.


ヘラクレスの支柱は、ジブラルタル海峡の、イベリア半島側と、アフリカ側の残った山のことを言うらしいのだが.


天沼矛・試作一号機、地面を「こをろこをろ」とかき回して、生み出した混沌の雫をヘラクレスは棍棒で掬い取り、それを大地に垂らしたところ、天にも届くのではと思われる巨大な、岩の支柱が聳え立った.


皆は呆然と眺めるだけであった.


ここで、最初に「は!」と自分のすべきことを思い出したのは、アテナだった.


「ねえヘパ、あの支柱いくつか作って、天空を支えておいて、その隙に、アトラスの支柱の実験やってしまわない?そうすれば、アトラスの両手が空いて、天沼矛、振り回しやすくなるでしょ!」


「うん.まあ正論ではあるが、ヘラクレスの作る岩石の支柱が、果たして天空を支えるのにどれだけの強度を維持できるか、って問題だよな・・・」


「親方、ヘラクレスの支柱は、5本もあれば、今アトラスが支えてる、天球の重さに十分耐えられるようです.計算によるとですが・・・」現時点で得られてデータを元に即座に計算した、玄武がいう.


「それで、5本の支柱で、どれだけの時間天球を支えられるかってことが問題だわな・・」ヘパ社長が言うと一同


「確かに・・・」


「ヘラクレスの支柱で天球を支えているうちに、アトラスに天沼矛・試作二号機、(アトラスの支柱)を振り回してもらって、同じような、支柱ができたらさっさと計測して、天球の支持力が十分だったらアトラスの爺さんはこれまでの重荷から解放してやって、それで残ったヘラクレスの支柱を使って、耐震性能とか、そのほかのパラメータの検討をするって言うことで行きますか.」


まあ、データとるには一番、手っ取り早い方法かもしれない・・・・


「よし!」ヘパイストスは、マイクでヘラクレスに話しかける.


「なあ、ヘラクレス、今みたいな、要領で、支柱を、5本くらいおったてて、それで天球を支えるってのはできそうか?」


「おお?今みたいな要領で良ければ、できると思うぜ.支柱でダメだったら、俺も、自分で担いだことがあるから.あまり長い時間にならないんだったら.なんとかなると思う」ヘラクレスがいう


アトラスがヘスペリデスのリンゴを取りに行って戻ってくるまで、実際に何分くらいだったのだろう.まさか、何日とかではないだろう.残念ながら神々の時間感覚、人間には理解できない.

何と、ヘラクレスが、アトラスに天球を返そうとした.


アトラスは受け取りを色々と難色を示して、拒否しそうになった.


「ああでもないコオでもない」とか

「ああ、もうちょっと待ってもらえると、明日、明日だったら絶対受け取れる・・」とか

「今日は縁起が悪いし、明日は娘の結婚式だし・・・」


ヘラクレスは、無理矢理、アトラスに天球を突っ返して、

爺さんの手元から、黄金のリンゴを引ったくって帰ってきた.

そのように「神話」は語っている.


「あん時、アトラスの爺さんがトンズラしたら、ひょっとしたら、今も俺が支えてなきゃダメだった、ていうくらいですからね」とヘラクレスがいうと、


「それもそうだったな・・・」


「よし、ヘラクレス、支柱をさらに4本立てて、そのあと、ちょっと天空担ぐ、マネだけでもいいからしてくれねえかね、その間に爺さんの手が空いて、実験してしまえるから」


「了解!」


ヘラクレスは指示の通りに、天沼矛を使って、岩石の支柱をさらに4本おったてた.

天空を支えるエンタシスのようなものだと思ってもらえば良いか.


「こをろこをろ・・・・」

大地をかき混ぜて混沌を生み出して、その雫を、先程の支柱を中心として、周りに新たに正方形に配置して垂らしてみた.


瞬く間に、天球にまで届く、岩石の支柱がそそりたった.


「おや、ちょっと軽くなった・・・」アトラスの爺さん、いびつにかがめていた首が伸ばせる.片手を天球から外してみた.

その手をちょっと添えて、もう一つの手も天球から離してみた.


「落ちてこない!」アトラスが、天球から離した両手を、こちらに向かって降ってみせた.そして、長年曲げたままの首をくりくり回してみた.


「ふー」と、ため息をつく.そのため息は、開放感からか?


「よっしゃ!」コントロールルームの皆が同時に叫んだ.

「ここでヘラクレス、念の為に天球に手を添えて崩れ落ちてこないか、注意してもらってていいか!」


「はい、わかりました」


「それで、爺さん、あそこに転がってる、爺さんのための天沼矛って、見えるか?」

「おお、この建築機材見たいな・・・」


「そお、それをちょっと手に取って振り回してみてもらえるかな」


「おお、わかった・・・」

それにしてもこれまで、担いでいた天球はどれだけ重かったのか、


「肩の荷が降りる」というのはこんなに開放感のあることなのだ、とアトラスは改めて思った.


そしてアトラスの爺様、自分用の天沼矛(アトラスの支柱)を片手で持ち上げてみた.


まあ、決して軽くはないが、片手で持てるし、天球に比べたら、まあそんなに重くもねえか、ということだった.


「そんでこれを持って振り回せばいいんだな・・・」

アトラスは右手で掴んだ、「アトラスの支柱」を軽々と振り回してみせた.


「おおお!」


海丸くんが龍神の群れを何百匹引き連れてやっとオリンポスから持ってきたものを、アトラスは片手で振り回して見せるのだから.


チタン族恐るべし!とルシフェルは改めて思ったかもしれない.顔には一切出さないいのだが・・・・


「じゃ、実験を始めますよ、爺さん、いいですか」アテナが声をかけた.

「おお、わしは何をすればいいのかな?」


アトラスの爺さんもパスワードを音声にて入力した.


そして彼が、「こをろこをろ・・・」と唱え始める.

巨大な天沼矛・試作機第2号である、「アトラスの支柱」が、ヘラクレスの棍棒と同じように怪しく光り始めた.


「じゃ爺さん、その矛を、地面に向けて、軽く回してみてくれますか?」

「おお?こうかい・・・・」

支柱を、アトラス軽く、二、三回地面に向けて回し始めた.


ヘラクレスの時よりも広い範囲にわたり、地面の「混沌状態」が出現した.


「次に色の変わった地面の中にその支柱を突っ込んで、中をかき混ぜてみてください.呪文、わかりますね、それを唱えながら・・・・」


「おお、わかった!」


こをろこをろこをろ・・・・・・


唱えながらアトラスは、地面に出現した混沌をかき混ぜ始めた.


「それでその支柱を持ち上げてみてください.混沌の雫、ついてますか?」

「うーん、よくわからんが、なんかドロドロしたのがついてはいるみたいだな・・」


その雫を地面に垂らしてみてください


「こうかい?」


天沼矛から数滴の雫が滴り落ちた.


見るとそこには、ヘラクレスの時の何倍、いや何十倍も巨大な岩石の支柱が聳え立った!


ヘラクレスの立てた岩石の柱が、持ち上がった天球のせいで、かなり揺れたようである.


コントロール室でみていた皆は、腰が抜けそうになった.


ヘラクレスと、アトラスがおったてた、巨大岩石の支柱・・・


「強度を今のうちに測定指定しまいましょう!

耐火

耐風

耐震


いろんな強度を測っておけばこれからいろんなことに応用が可能になるだろうから・・・


さまざまな物理量が測定された.

支柱の進展性、収縮性、反発力、硬度、電動性、音に共鳴するか、共鳴周波数は・・・・


「ポセイドン、おめえ、あの柱の一本だけ、地震で折り曲げるってことできるか?」ぼそりとルシフェルが聞く.


「できなくはねえぜ・・・」

その地震の強さ、調節できるか?

「ああ、できるぜ.」


「じゃ、最初に立てた、支柱はそのままにして、ヘラクレスにアトラス、ちょっと離れた場所にまた、同じような支柱を何本か立ててくれ、それをいろんな耐性の実験に使うからよ」


ヘラクレスとアトラスは、さらに何本かの支柱を立てて、それを、いろんな、指標を測定する実験のために使った.


「おお、いいね、いいデータが取れた.これは改良なしで、実用に使えるか・・・」

「この後、三号機・・・・さらにその後も行っちゃいますか?」朱雀が言うと、


ヘパイストスは、ちょっとだけ考えて、

「行っちゃいましょう!」


オリンポスの本社に帰ると彼は、


天沼矛、三号機.

「トライデント(三又の鉾)」(!)

これは言うまでもなく、ポセイドンが使うことを想定している.


その、製造を行うと、ヘパイストス社長は書類に、決済のハンコを押した.








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