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天沼矛(あめのぬぼこ)④「天空の支柱をジブラルタルへ」

天沼矛、試作機1号、2号が出来上がり、早速実験をすることになった.


ここで一つ、大きな問題があった.

ヘラクレスの棍棒型の1号機は、ヘラクレスが持っていけばそれでいい.


問題は、アトラスの支柱である.


「いやさ、こんなでかいの、オリンポスから、どうやってジブラルタルまで運ぶんだ!」


ヘパイストスが、今更のようにいうのだが.


「どうする、ポセイドンにでかい船貸してもらうか、イアソンにアルゴー出してもらうか」


「だめだだめだ、あんなデカくて重いもの、とても地中海の東から西まで運べない.それにオリンポスの山の上から、どうやって、海岸まで運ぶんだ!」


「そだな、チターンの奴ら、だいたい地下に閉じ込めちまったからな・・・」

その張本人のルシフェルが今更のように後悔する.


「いっそのこと、アトラス本人に取りにきてもらうか?」ヘパイスの意見だが

「いやさ、親方、俺がその間天空支えねえとだめになる.この前のヘスペリドスのリンゴ、ちょっと探してくる間、どころの騒ぎ出ねえから、ちょっと無理だぜ!俺、あん時ほんとに押しつぶされそうになったぜ.しばらく腕と足痛くて動かせなかったし・・」アトラスの代わりをしたヘラクレスの意見である.


みんなが頭を抱えている時、海丸君が恐る恐る申し出た.


「あのー・・・」


「おう、なんだ海丸?」ルシフェルが聞く.


「僕で良かったら、運びますが」

「なんだ海丸、だいたいあんなでかいのどうやって運ぶんだ」ヘパイストスがちょとイラついて聞いた.


「いや、僕がリバイアサンになって、他に、螺龍とか雲龍をそれぞれ、100匹も作れば、空から運べると思うんですが・・・」


皆、海丸君をみて、「その手があったか!」と手を打った.


地下工場から、地上に搬送した、「天沼矛」試作機、1号機、2号機.

1号機は本来の持ち主であるヘラクレスが背中に担いでいく.


2号機は、アトラスが、その巨体を駆使して使うことになる.とにかく大きい.

通常の搬送手段が使えないので、リバイアサン配下の龍神たちの総出である.


ヘルメスは、アトラスの孫でもあるので、久しぶりに爺様に会うためと、実験に立ち会うために同行する.あとは色々と事情の説明を、最高神の使いとしてするのも彼の役割である.


「じゃ、海丸、準備はいいか!いくぞ!」ルシフェルが、海丸君に声を掛ける.


「はい、ぼくはいつでもOKです.お願いします」


「よし!じゃいくぜ・・・」


「リバイアサン、リバイアサン、リバイアサーン!」ルシフェルが、拳を突き上げて、呪文を叫ぶ.


海丸君は、、巨大な龍神に変身する.


愛ちゃん、健ちゃんは海丸君の背中に乗り、同行する.

役目は、タブレットを操作して、螺龍の群れのオペレーターである.


「よし、じゃ螺龍、まずは、7回分裂で、128匹!」海丸君が、健ちゃん・愛ちゃんに指示する.


幼い兄妹は、海丸リバイアサンの背中で、タブレットを操作する.


プライマー龍やら、小型ロボットドロンが飛んできて、瞬く間に、128匹のロボットドロンの龍が出来上がった.


「じゃ、雨雲を起こしますね!」というと、海丸君のリバイアサンは天高く舞い上がり、それに続いて沸き起こる入道雲から、数百匹の雲龍が生まれた.


夥しい、龍の群れを、編成して、リバイアサンは、網目のような、天空のハンモック?を瞬く間に作り出した.


雲龍と螺龍が作る網目のハンモックの上に、アトラスの天沼矛を静かに乗せた.


雲龍と、螺龍が、アトラスの天沼矛を持ち上げたのを見届けて、海丸君のリバイアサンは再び地上に降りて、ヘルメスと、ヘラクレスをその背中に乗せる.


「目的地は、ジブラルタル海峡!じゃ、これから、行って参りまーす!」

という言葉が最後まで聞こえないうちに、海丸君のリバイアサンは、遠く、アドリア海の向こう、シチリア島の辺りまで飛んで行った.


「アトラスの支柱」を乗せた、龍のハンモックもリバイアサンの後を、同じく目にも止まらぬ高速で従った.


「おい、海丸、そんなに急いで運ばなくても・・・・」とルシフェルが伝える間もなかった.


「おっことさないといいですが・・・」ヘパイストスがいう.


オリンポスの山頂から見送った、アテナと静香、みたまも心配そうに頷いた.

ヘスティアおばさんとヘラ様は、じっと西の空を瞬きもしないで見送るだけである.


ヘラクレスもアトラスも知らない仲ではない.

ヘスペリデスのリンゴを探しにいく時、アトラスに探しに行ってもらってその間、天空を支える仕事を肩代わりしたことがあるのだから.


「アトラスの爺さん、元気だろうか・・・」ヘラクレスも久しぶりでなんかワクワクしている.空のたび、彼にとっては初めての経験である.





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