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天沼矛(あめのぬぼこ)③ 「ホワイト企業の昼休み返上!」

四天王たちはさっさと食事を終わらせて、お茶を飲んでいる.

多聞天玄武が、メモ帳に何やら計算式を書いている.


何かを思いついたように、「は、そうか・・・」


「親方、ジャなくて社長にお嬢、俺ちょっといいこと思いついたんで先に、研究室の方に戻ってます.」とヘパイスとストアテナにいうと、さっさと研究室の方に戻っていった.


「おーい、昼休みいっぱい休んでからにしたらどうだ!」

そう、普段なら、午後1時まで中庭でキャチボールをしたり、昼寝をしたりするのだが.今日は昼休みに入るのが早かったのだが、まだ12時前である.


「あ、そんじゃ俺も実験の続きしてこよかな・・・」と広目天白虎も研究室に行く.


俺も、俺も・・・と増長天朱雀も、持国天青龍も食堂を出ていった.


「あいつら、いいのか・・・昼休みはちゃんと取らねえといい仕事できねえぞっていつも言ってるんだけどな.なあアテナ・・・」とヘパイストスが、振り向くと、アテナもすでに研究室に戻った後のようだった.


「やれ、やれ、俺の会社、ブラック企業みてえで、恥ずかしいんだがな」


どんなに研究が忙しくても実験がうまくいかなくても、職員たちは、大体が、仕事を5時までに終えてアフターファイブは、それぞれの生活をエンジョイするというのが、この会社の社是とでもいうべきものである.


研究室に篭った、玄武は何やら計算式を書いている.ボールペンを使い潰して、封筒の計算用紙を何百枚も使って、ものすごい勢いで計算問題を解いているらしい.


増長天、持国天はキュクロプスの鍛冶場で、金属の特性データをとっている.

そして、広目天は、その膨大なデータを記録して、解析の仕事を、次々に多聞天に回す.


各々がものすごい集中力で、仕事を進めた結果、


多聞天ばぼそり、と呟いた.


「これだ・・・・」


青龍、朱雀、白虎に計算結果を見せて、早速検証実験を行う.


廊下を走って、ヘパイストスとアテナのところに計算と実験の結果を持っていく.


「ほお、すごいな・・・」ヘパイストスがいうと、

「全く、これが、古代日本の力・・・・」アテナも同意する.

「ですよね、計算式解いていて、びっくりですよ、まさかこんな式から、解ける問題だなんて・・・」多聞天玄武も実際計算してみて、まさに瓢箪から駒的な事実に突き当たり、少し戸惑っている.


「いや、まあのんびりしているわけにいかない.玄武、この計算結果を、すぐにキュクロプスの工場に回して、四天王手分けして、試作モデルを作るんだ.急いで!できたら今日中に、できそうか?」ヘパイストスの指示は一見無理難題のように聞こえるが、


「まあ、なんとかなりそうでさあ」玄武の答えである.


アルゲース(落雷)、

ステロペース(電光)、

ブロンテース(雷鳴)

の3兄弟.


彼らがオリンポス工業株式会社の生産部門を統括して、それぞれが、第一、第二、第三工場の工場長ということになっているが、今回のような短期で、しかもやや面倒な、作業の時には、工場を統合して、3人一緒に仕事に当たる.


玄武ら四天王からもたらされて、データを元に、彼らが「天沼矛」の、試作機を製造する.


工程についてはもちろん、企業秘密であるので、部外者にはわからない.

しかし、みて、撮影したからといってもそれはやはり、部外者には理解はできないようである.


昭和の頃にはやった、産業スパイ、実際部外者が入り込んで、複雑な工程、脇からちょろりと覗いたくらいで何ほどのことがわかるかということであろう.


しかし金庫に保管してある、試薬、手順、製品の成分分析等に関するデータ等のファイルが盗まれると、大変だ.しかしそれも、全て、古代ギリシャ文字で描かれていて現代の産業スパイには解読不可能である.


ドクトルと、ルシフェルは、工場の天井の窓から、下の作業を見ることを許された.

赤く熱して溶けた金属が、鋳型に流し込まれる.


ヘパイスとスト、アテナは、工場と、見学室を行ったり来たりで時々差し支えのない範囲で解説してくれるのだが、よく理解できなかった.


「なあ、ヘパよ、天沼矛って、いろんな神に持たせて使うわけだろ、

ヘラクレスみたいに、怪力、ムキムキの野郎も使うし、

イアソンみたいなヘタレ色男も使う、

アテナや四天王、須佐男や、武甕槌の師匠連中も使うことになるだろう.


それぞれの神々の力、あるいは神威というか、本来の神としての能力に合わせた、調整ってできるもんなんか?」ルシフェルの質問である.


「親方、珍しくまともなこと聞いてきますね、実はそのことが、あっしらも一番問題だったんで、ヘラクレスの棍棒を、イアソンが振り回すなんて土台無理で、ヘラクレスの棍棒も、アトラスの旦那が持ったら、それこそ日本刀を、爪楊枝かなんかみたいに扱うってことになってしまう.だから、神々の大きさ、体力、本来持てる神力ってのか、その神様本来の力を残らず、無駄なく、効率的に使うような工夫、それを今考えているとこでさあ.


そんでね、今とりあえず、

ヘラクレス、とアトラス用を試作中でさあ.

もうちょっとで完成なんだが・・・・」


時計を見ると、午後4時10分.


「終業時間の5時までにできるかどうか・・・」


「!」ドクトルは驚嘆した.なんというホワイトな会社だろうか・・・

あれだけ濃密なカンファランスを行って、昼の休憩はしっかりとる(社長はギリギリまで休めと言ったが)そして午後はちょっと早めに仕事を開始したら、あっという間に試作品が出来上がりそうなところまで来ている!


「天沼矛」試作機、1号、2号


ヘラクレスの棍棒型

アトラスのジブラルタル天空の支柱型


が出来上がったのは、終業時刻が目前の、4時45分だった.








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