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全てに、命がある.だから、その全ての命には神が宿り、名前がある

「おばばしゃま、あいちゃん悪い子・・・」


おばば様が「全ての命には、名前がある」という話を終えた後、図書室の中は、しばしの静寂が支配したのだが、それを破ったのは愛ちゃんだった.


「おや、愛ちゃんどうしたんだい?」


「あいちゃん、お友達の名前、全部覚えてない.仲良しのゆき(雪割草たちのこと)たちも、他の、草さんも、トンボも、ちょうちょも、田んぼのお米も、お花さんたちも・・・」


「そう言えばそうだね、皆、毎日お話ししているのに、名前、覚えてない」健ちゃんも 申し訳なさそうにいう.


大人たちは、何のことだかよくわからないでいると、


「命に名前がある、というよりも、全てには命が宿る、日本の人たちの心・・・

そうでしょ、くくりのおばさん・・・・」アンテロスがボソリという.


「おや、アンテロス、また難しい哲学の話かね?」と言いながら菊理媛は、満面の笑みで、しゃがみこんで、アンテロスのほっぺたをくちゅくちゅする.


「この、可愛らしい哲学者は、また、何を言ってるんだい?」可愛くってしょうがないという仕草で、菊理媛が、アンテロスのほっぺたをくちゅくちゅする.


「あああ!わかった、大変だ、これは物凄いことですよ!」と急に大きな声を出したのは、海丸くんだった.


「おや、海丸もどうしたんだい?」おばば様は、孫が何かまた発見したのか、興味があったので聞いてみた.


「全ての命には名前がある、ではなくて、本当は、全てには、命があって、そして、日本の人たちは、それが全て神々だと考えていた、そしてその神々の一つ一つには、名前がある!そういうことだろ?アンテロス!」海丸くんが興奮気味に話す.


「うーん、僕にもよくわからないけど・・・・」アンテロスはボソボソというだけである.


全てには命が宿る.

その全ては神々で、

すなわち名前を持つ、

とこういうことらしい.


「愛ちゃんと健ちゃんのおともだち、何も花や、草木や、虫たちや、動物、だけではない・・・」


「このおうちの、屋根も、壁も、門も、台所のお箸に、お皿、お茶碗に、コップや湯呑み・・・」


「土も、石も、川も海も・・・・」

「お空の星、おひさま、お月さま、雲に、雨、雪、雷さま・・・・」

「そよそよとほっぺたを撫でて通る悪戯者の風の神様・・・・・」

「あいちゃんの着てるおでかけの服に、寝巻きにパジャマ、パンツにシャツ、帽子、鞄にノートに色鉛筆、消しゴムも・・・・」


「みんな、お友達、いつもお話しするよ!」とあいちゃんの説明である.


「でも、あいちゃん、みんなのお名前、全部は覚えられない.あんまりいっぱいだから・・・」


「ああーなるほど!」

大人たちは納得である.


「そして、日本の神話、古事記によると、神々が、日本の国土をうみ、そしてその後、数多の神々を産んだ.

この国も神の子供!国土そのものが、両親が同じ神々の兄弟!


国土に続いて生まれた、神々


まずは家屋、その土台から.門をうみ、そして、屋根を作る

続いて、

海の神が生まれ

風の神

森林の神、

山の神

・・・・・・・・・

火の神が生まれ、

火傷を負ったイザナミからは、金属加工・鍛冶屋の神、水の神、陶器の神・・・・


黄泉の国から戻った、イザナギは禊から、多くの神々を産んだ・・・・


まず投げ捨てた、衣服や杖、手袋、冠からも神々が生まれ、

そして、水に入った、禊で、底の方からから順に住吉の三兄弟の神様が生まれ、

最後には、三貴神みはしらのうずのみこが生まれた・・・・・」


キューピーの説明である.


「全ては、神の子・・・」

「全てには神が宿る、だから全てには命が宿る・・・・」

「そして全ての命、つまり神々には、名前がある!」


「これが、日本の心、ですよね、ドクトル!」海丸くんはドクトルの方を向いて、

子供たちの発見を意気揚々と発表する.


「いや、皆、本当に、すごいことに気がつきましたね、私も、その話聞いて、全く目から鱗っていうか、これまで、もやもやしていたこと、霧が晴れたみたいな、

そんな気がしました」


「おうよ、おめえら、よく気が付いたじゃねえか、俺はなんとなくわかってたぜ、若い頃に須佐男師匠さまに色々教えてもらったからな、

ねえ、師匠、そういうことでしょ、

草花とか木々の話を昼寝しながらきけってのは!」


「お、おお、俺もそこまではっきりとは気が付いていなかったけどな.いや、全く、ここの子供達は大したもんだな・・」

須佐男も子供たちの発見には少しびっくりである.

自分もなんとなくわかっていても、ここまで明瞭に言語化はできなかったことである.


ニコニコしながら、皆のやりとりを聞いていたおばば様が、姿勢を正して、いう.


「ドクトルにゼウス、須佐男さん、それにみんな.よく子供達を立派に育ててくれました.私の話、命を大切にという話以上のこと、子供たちが、自分で考えて、自分で感じて、それを皆にわかるように話ができる・・・・


そこまで賢く立派に育てたこと、私の誇りでもあります.

どうか、これからも、皆で、よく学んで命を大切にする心を育ててください.

お願いしましたよ・・・・・」


おばば様が改まって皆の前で講話をするということはこれが最初で最後だった.


そしてその夜、菊理媛が、アフロディーテの一家が居住している部屋を訪れた.






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