「ウズメ」
ヘルメスが、別館の須佐男の元を訪れた.
レトからの伝言を.ヘルメスはそのまま伝えた.
ルシフェルに、事代主、建御名方も同席している.
「レト、やはり鋭い.星の動きから、この世の不穏に気がつくとは・・・」
「確かにな.俺らが数年前から秘密裏に準備をしていたこと、いよいよ、天球の動きに現れたか・・・」
「お方様は・・・」ヘルメスが、レトのことを呼ぶときには、敬意を込めてこう呼ぶ.
「お師匠様から、天照大神様、月読様にお目通り願えないか、頼んでもらいたいと仰せでございました」
「レトは他に何か言ってなかったか?」
「あとは、おばば様と、おじじ様とも会いたいと仰せで・・・」
「・・・・・・」
ゼウス・ルシフェルが自らタルタロスに幽閉した、父、クロノスを、一時地上に呼び戻すということか!
「時間を・・・・」ゼウスがヘルメスに確認する.
「時間をどうにかしないととか、言ってなかったか?」
「確かにそう仰せであったと、アルテミスから聞きました.」
「そうか、そこまで切羽詰まっているか・・・・」ゼウスが絶句する.
「切羽詰まっているとはどういうことだ、ゼウス説明しろ.」須佐男も、落ち着きがないようである.
「大きな力が、天体の運行に、細工を加えて、天変地異を起こそうとしている、とまあそんな予想をしていると思うんですよね、レトは・・・・」
「それに、姉貴が関わっているってのか?流石にそこまでは・・・・」須佐男が言うのだが.
「天の岩とのこともありますしね・・・・」事代主が言うと、
「まあ、あれは全部俺が悪かったんだが・・・」須佐男が認める.
「天照様の意思、ご機嫌、ここに大きな意思とか、力が働いているとしたら・・・」
事代主らしい分析である.
「その意思とか、力、誰のものか・・・」
「あいつらだとすると、面倒だ・・・」
「師匠、ここは一刻も早く、天照様に会っていただいて、ことの次第を伺った方が良さそうですね」ゼウスが須佐男にアマテラスとの面会を急ぐようにいう.
「うーん、でもな、姉貴、一旦引きこもると、なかなかなあ・・・」
「高天原では、どのようにお過ごしなのですか?この前、武甕槌の師匠に伺ったところによると、側近の話もあまり聞かなくなっているとか・・・・」
「そお、姉貴はこう言うときに話を聞くのは、ウズメとウケモチだけなんだよな・・・」
「ウケモチの神様を、月読様がえらくいじめたとき、大神様、ひどく怒って、もう2度と、月読には合わない!とえらい剣幕だったそうですね」事代主情報である.
古事記や、日本書紀には、ウケモチの神様、食べ物の出し方が気持ち悪い、と月読命に斬り殺されたことになっているが、なんぼ短気な月読みでも、そこまで非道ではない.殺されないまでもひどいいびられ方をしたのは、確かなようである.
元々仲良しの、ウケモチ、引きこもり体質が似ているから、天照は、なんでお心を許す、女官の一人が彼女であった.
そして、もう一人、天照大神が心を許してなんでも話し合える女官がいた.
それが、ウズメ、
つまり、天宇受賣命.アメノウズメノミコト.
『日本書紀』では天鈿女命と表記する.
天の岩戸の奥深くに引きこもった、天照大神をして、楽しく、セクシーな独特の創作ダンスで、誘き出し、岩戸を開けさせることに成功した第一の功労者、よって、この世に光を取り戻すことに成功した、第一の功労者と言っていい.
ダンサーで、女優で、しかも、邇邇芸命の天孫降臨の時には、その行手を塞いだ、巨大な天狗である、猿田彦神に、
「天孫が天下る、行手を塞ぐその方は何者だ!」と 堂々と、問いただした、女傑でもある.
真面目な人だ.
ダンサーとか、女優さんとか私生活が派手な人が多い、かもしれないが、
仕事以外ではおとなしくしている、それが「ウズメ」が天照大神の信任を得ていた大きな理由である.
「ウズメに、とりなしてもらうか、姉貴との面会・・・・」
「しかしそのウズメさん、どうやって、コンタクトを取りますか?
なんせ、日本最古の大女優、そうそう会いに行けるものでもなさそうですけど・・・・」事代主が現実的な話をする.
「誰か、忘れちゃいませんか・・」
別館の図書室のドアが開き、そこに入ってきたのは、菊理媛だった.
「ウズメ、私友達だから、私から頼んでみるよ、天照と会えないかどうか・・」
「!!」
皆ぶったまげた、と言うかおで、菊理媛を凝視した.




