細菌学② 消毒法
ゼンメルワイス (1818年7月1日 - 1865年8月13日)
パストゥール (1822年12月27日 - 1895年9月28日)
リスター (1827年4月5日 - 1912年2月10日)
ちなみに、
西郷隆盛 (1828年1月23日- 1877年9月24日)
大村益次郎 (1825年6月18日ー1869年12月7日)
岩倉具視 (1825年10月26日- 1883年7月20日)
消毒法の開発にまず名前の上がる三人.
日本の三人、同じ頃に生きたというほかこれといった共通点はない.
ただし大村益次郎は、暗殺者に足を切られて、切断手術を受けた後、敗血症で亡くなっている.(NHK大河ドラマ「花神」の知識だが.司馬遼太郎の原作の本も持っている・・・・)
明治維新から、日本の戦争の時代、「消毒法」とか抗生物質、あったら死ななくて済んだ人は多かったのではないだろうか・・・・
「これも歴史のifでしょうけどね」ドクトルがいうと
「いろんな問題、その時代時代に一つずつ解決するしかなかったのが、人類の歴史だ」とルシフェルは例によって知ったような断定をするのだが.
産褥熱、細菌感染か?
解剖室から分娩室に直行する医者.その手をちょっと消毒しただけで、産褥熱が激減する.
彼には細菌の概念はなく、何をやったかといえば、解剖室から持ち込んだ、未知の「死体粒子」を次亜塩素酸カルシウムできれいに洗い流す、ということだ.
しかし、ゼンメルワイスの報告は当時の医学会に無視された.
パストゥール、「腐敗」が細菌によるものであることに閃いた.そして、パストゥリゼーションという消毒法を生み出した.
イギリスのリスター卿、フェノールで手術の道具やら何やら、「消毒」することで術後の感染を激減させて、手術法に革命をもたらした.
彼はのちに貴族になり、死後は、ウェストミュンスター寺院に埋葬されることが提案されたが、生前の本人が断ったらしい.
葬儀はウェストミンスター寺院で執り行われたが、奥さんの眠る、ハムステッド墓地に葬られたと.
「そもそも、感染症の原因、細菌であることが、今から200年前には分かっていなかった・・・」
「抗生剤の発明は、20世紀を待たないとダメだった・・・」
「恩恵のはず、だった、抗生物質の適正でない使い方、腸内正常細菌叢の破壊から、偽膜腸炎、薬剤耐性菌の猛威、院内感染・・・」
「そして、21世紀、善玉腸内細菌との共存が叫ばれる!」
「細菌発見」の世紀であった、19世紀の終わりには、病気は何でもかんでも細菌が原因か?
と医学者は考えがちになった・・・・
なんと日露戦争の頃、脚気はタンパクなどの栄養不足か、細菌感染か?
陸軍と、海軍で見解が違った.未知のタンパク?正体不明の物質?
彼らには、まだビタミンという概念ない.
未知のタンパク、その物質が含まれる、麦ご飯・・・・
海軍では「兵食改革」脚気対策として行われた.麦ご飯の導入である.
脚気の予防に麦ご飯が有効というものである.
明治18年(1885年)3月28日、高木兼寛は『大日本私立衛生会雑誌』に自説を発表した.しかし、高木の脚気原因栄養説(タンパク質の不足説)と麦飯優秀説(麦が含むタンパク質は米より多いため、麦の方がよい)は、「原因不明の死病=脚気」の原因を確定するには、根拠が少なく医学論理が粗雑だった.
特に同年7月、大沢謙二(東京大学生理学教授)は、消化吸収の観点から麦はタンパク質の吸収が悪いことを示し、食品分析表に依拠した高木の説は机上の空論であることを明らかにした.その大沢からの反論に対し、高木は反論できず、大日本帝国海軍での兵食改革の結果をいくつか公表して沈黙した.(Wikipediaから)
しかし理論的根拠は間違いだったとしても、海軍は麦ご飯の導入で兵士の死亡率が下げられた.
一方の陸軍は・・・いまだに脚気は細菌感染と考えられて、食事の改善はなかった.結果、陸軍軍医総監の森林太郎は、敵兵よりも多くの自軍の兵士を死に追いやった・・・
「まあ、それは鴎外先生に対して失礼なものいいかもしれませんけどね.
当時の医学界、
イギリス医学の海軍 脚気はタンパクの不足と考えた.ビタミンの存在はもちろん知らない.
ドイツ医学の陸軍 医学の本場の理論はやはり、病気の原因の多くは、細菌という考えに自然と向かざるを得ない.
病気の原因、なんでも細菌、と言う当時の医学の主流の考えに乗っかった、あるいは流された、陸軍の軍医たち.
当然脚気も原因は細菌だ、玄米とか麦のご飯、カッケに効くとするのは、理論とエビデンスが不足では・・・」
ドクトルは続ける.
「ビタミンB1を知ってる後世の我々からみたら、結果として、陸軍は多くの兵士が脚気で命を落とした.それだけで見れば、海軍の判断が正しかったことになる.
でも、当時はまだビタミンという概念すら存在しなかった.歴史を後から裁くのは簡単だが、その時代を生きた人々は、見えないものを相手に必死にもがいていたんでしょうね・・・」
「陸軍と海軍で、食事の内容が違うというのも、横の連携というか、同じ国なのに、セクションに分かれていて、なんとかならなかったの?って思うわね」アフロディーテの意見も最もである.
「新しい発見が、事実を正しく判断する妨げになる?」海丸くんがいう
「そういった面もあると思う」ドクトルも同意である.
「すると、何を足場に、どの知識を前提にして、先に、上に進めばいいかわからなくなる・・・」静香もちょっと沈鬱な表情である.
「それにしても、
ビタミンB1を知らなかった海軍、麦ご飯の、高木兼寛先生、
手を洗って、産褥熱を予防できると考えた、しかし、未知の(死体粒子)は確かにあるらしいが、細菌の存在は知らなかった、
ゼンメルワイス先生・・・・
なんか、お二人、少し似ていますね」海丸くんがいう.
「理由は正しく説明できなくても、目の前で人が助かるという事実をつかんでいたという点で・・・」
「理論が事実に追いつくまでには、時間がかかることがあるんでしょうね」
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細菌学の授業2回目は、「滅菌消毒」である.
ノートには、いきなり芽胞のことが書かれている.
さらりと飛ばして、殺菌・消毒のこと.
滅菌 sterilizationは全ての生命体を完全に滅殺すること
消毒は、disinfection は病原微生物を滅殺すること
「滅殺ってすごい言葉ですね、考えてみれば・・・」海丸くんはしみじみいう.
「確かにな、一神教の神が、人類丸ごと、焼き尽くすとか、洪水で海に沈める、みたいな・・・」口元に皮肉な笑みを浮かべてルシフェルがいう.
皆が寒気を感じた.
「おめえらには、聞こえないかい?細菌たちの悲鳴がよ!
俺には聞こえるぜ、いじめないで、仲良くしてくださいってな・・・」
一同は黙り込んでしまった.
「細菌の声、耳を傾けようとしたこと、すら、ないですね・・・」やっと言葉を絞り出したのは、ドクトルである.
防腐 antisepsisはちょっと優しい.大事な食べ物、発酵で腐ってしまわないよう.に.
「発酵と腐敗は細菌学の教科書ではっきりと別物だと言う見解だけどね.
細菌が酵素で、アルコールや、乳酸の酸性を行うのが発酵、腐敗も細菌の酵素反応だが、動物、そのもののタンパクを分解して破壊してしまう.」
防腐は、細菌による食品の構成するタンパクの破壊を防ぎ、食品としての価値を損なわせないようにする処置.
パストゥリゼーション pasteurization(低温滅菌法).62度、30分.
(これは古典的な低温長時間殺菌法(LTLT)として正しいですが、現在の牛乳では72℃・15秒(HTST法)が広く使われている.)
「ねえドクトル、このことを一言添えると、昔と今をつなぐ描写になると思うよ・・」なんとこれは、別館図書室にいる、AIの妖精の意見であり、その場にいる皆に聞こえる声である.
皆、「おお!」と、AIの意見を神の啓示の如くに聞く.
「牛乳、ヨーグルトにしないため?わざとヨーグルト作ったり、お漬物つけたり、発酵技術、よくしれば、それを起こさせないこともうまくできるということ?」はるなが疑問を述べる.
ヘスティアおばさんと、みたまはしきりに頷いているのだが.
「まあその辺は、人と、細菌の知恵比べみたいなもんでしょうかね?発酵と腐敗を、絶妙のコントロールしてきた歴史が、食品加工の歴史、ということでしょうか?」
ドクトルの生半可な知識である.
「細菌たちの声を聞いて、彼らと共存の道を探るのは私たちの仕事、かも・・・」はるなも思う.
ここでまた芽胞 sporeの話に戻る.
なんと、芽胞は、100℃で三日三晩熱し続けても死なないことがあるらしい.
細菌の死に方の、kineticsはどうなっているのか?
対数関数が関係するらしい.
オートクレーブは、加圧蒸気滅菌
121℃ 15分あるいは20分
ただしタンパク質に富んだ培地では変性してしまうから使えない.
電磁放射線による滅菌.粒子放射線は energyが小さ過ぎて、役に立たないらしい、と、講義のノートにはあったが、紫外線とか、電離放射線を用いた、滅菌法は今では当たり前らしい.
電子線滅菌
ガンマ線滅菌
・・・・
「これらの方法はいつからやられるようになったのでしょうね?私の学生の頃にはなかった方法なのかもしれませんね.あるいは評価が、オートクレーブよりも低いとみなされたか?」
そのほかのアルコールの消毒とか、フェノールを使うとか、そういうことは、授業では言及されなかったらしい.
「今行われている、消毒・滅菌の方法についてはまたいずれ、勉強しましょうか」
ということで細菌学の勉強は今日はここまで.




