細菌学① 構造、生理
「つまり、その面構え、と生き様」
ドクトルが学生の頃の、細菌学の講義ノートを皆で読み解きながら勉強している.
鉛筆ガキのそのノートは、ルーズリーフに書かれている.今のドクトルからは考えられないような、丁寧な文字で書かれている.決して、美し文字ではないが.
medical bacteriology「なぜ学ぶか?」という問いかけから始まった
「それ(つまり細菌等の感染源)は、infection(感染)を起こし、infectious disease(感染症)」を起こすから
「だから、はなっから殲滅の対象・・、そこに共存の余地はない・・・」海丸くんがボソリとつぶやく.
「まあ、あながち、そこまでとは言えないと思いますが、そもそも、殲滅というのは人間の驕りで、我々はその敵のことを、ほとんど何も知らない・・・・」ドクトルはいう.
「じゃ、さ、どういうことから敵のことを知ればいいのさ.」おや、珍しく、キューピーの一家.なんと、キューピーにアンテロス、愛染の母ちゃんならわかる、そこに今日はアレスも加わって勉強会に参加である.
「そお、敵を知ることは大事、そして、あまりに強大な敵と、正面からの戦争は避けるべき.共存の糸口を見い出さなければ.敵に対抗する力を持つまではな.」
戦争の神様の御託宣としてはあまりに正しい.
「おめえ、なんでもいいから、敵殺して、突き進む戦争が好きじゃなかったっけ?」父親である、ゼウス・ルシフェルが息子を揶揄う.
「いや、いや俺もそんな粗暴なだけの戦の神ではありませんよ、おやじ.まあアテナほど頭を使うわけでもないけどな」
「で、細菌のことでしょ、今日のテーマ.早く先を聞きたい」アフロディーテ・愛染の母ちゃんも、ギリシャの出身だけあって知的なことについて興味を示す.実は勉強家なのだ.
そして、仕事がら.
水商売出身の人、意外とこういう人多い.そして、理解が素早く、しかも適切に自分の知識にする.そして、次のお客で、面白おかしく、話題に盛り込む.
そお、細菌のこと、
「まずは分類学は、これは、ラテン語の二命名法は細菌の分類にも使われている.
属 Genus
種 species
コレラ菌は、Vibrio choleraeという具合だ.
細菌の分類は主に、
形態学 morphology .これにはGram染色も関係する
生理学 physiology
生化学 biochemical
分子生物学 molecular biology.DNAの遺伝子の、グアニン、シトシンの割合や、DNAの相同性など.
細菌の構造と機能.
細胞膜は、脂質二重膜.その中のタンパク質は高等生物よりも多い、と授業のノートには書かれている.高等な生き物では、細胞質の中で行われる機能を、細胞膜状の蛋白で行う必要性かららしい.
物質の選択的な透過性
電解質・イオンの運搬
酸化的リン酸化
細胞壁(これは細菌に特有の構造)の合成
代謝物の運搬
グラム陰性菌の大腸菌 E.coliはなぜ長細くて、
黄色ブドウ球菌のような、グラム陽性菌はなんで丸っこいか・・・
そこで関係するのが、細胞壁である.cell wall.
バクテリアの細胞内圧は非常に高い.形態を維持というか保持するためには硬い、金属の網目のようなものが必要になる.
「ビルの鉄筋みたいなものかな?」工学部系の静香の質問である.
「まあそうかも・・・」
細菌の形、丸いか、長細いか、は細胞壁で決まる・・・
細胞壁の機能
細菌の形状の維持
毒力、病原性を発揮する
細胞壁の構成は
peptideglycan,mucopeptide
この構造は、すべての細菌に共通しているらしい.しかし古い細菌には見られないというから進化の産物なのだろう.
peptideglycanの縦糸
それを橋渡しする横糸のタンパク
それが織物のように、網目用の強い構造を作る.
涙の中にある、lysozyme.これは、細胞壁の横糸を切断して細菌を崩壊に導く・・
つまり生体の防御に関与しているが、グラム陰性菌では、なかなか細菌にまで到達しない.
抗生剤のペニシリンは細胞壁の合成を阻害する.しかし細菌が耐性を獲得すると、抗生剤の攻撃を交わして生き残る.
テイコ酸teichoic acidはグラム陽性菌にのみ存在する.
抗原性が高い.グラム陽性菌で敗血症とか、免疫の暴走が起こる原因らしい.
細かくいうと、もうちょっと複雑らしいが.
ちょっとカンニングで、AI教えてもらったことを追記する.
テイコ酸やリポテイコ酸は炎症を誘導する
しかしグラム陽性菌の敗血症では、それだけでなく
ペプチドグリカン
スーパー抗原(黄色ブドウ球菌や化膿レンサ球菌)
各種毒素も関与する.
グラム陰性菌にはテイコ酸がない代わり、細胞壁と似ているがちょっと違う、LPSの層がある.LPSは、「内毒素」と呼ばれるグラム陰性菌が、感染症を起こしたときに患者の具合を悪くする元凶である.
「人類の敵である、細菌、グラム陽性か、陰性で、どうやって敵を破滅に追い込むか、決まっているなんて、進んでるね.兵学の流派みたいだ・・・」
アレスの息子のキューピーがいみじくもいった.
「おお、流石に俺の息子だけあっていいこと言うな」父のアレスが目を細める.
グラム染色、
グラム陽性菌、細胞壁の厚いそう・・・
クリスタルバイオレットが取り込まれて、その後、アルコールで洗っても、細胞壁はびくともしない、細胞内に紫色が残る.
アルコールにつけるとLPSの層は、溶けて、クリスタルバイオレットが流れ出してしまう.
細胞壁の構造、LPSの厚い層が形成されているかどうかで、細菌の顔つきを大きく二つに分類するというのが、「グラム染色」なのです.
参加者の一同は「おお!」と感動の声をあげた.




