囚われの、大いなる龍
別館の皆は、テレビのニュースを見ている.
「このごろ地震が多いですよね」海丸くんがいうと、
「日本はもともと地震が多いところでしたけど、世界中で、大規模な地震で被害が出ていますね」とドクトルも心配そうな面持ちである.
「おじいちゃん、何かの前兆、かな?」はるなが須佐男に尋ねる.
須佐男は何も答えない.黙ってテレビの画面を見つめるだけである.
遠くで、風に吹かれる鈴の音、耳を澄ませると、子供の話し声のように聞こえる・・・
雪割草たちのささやき、歌声である
裁きの神の荒ぶる時・・・・
天津神、国津神、八百万の神々、
こぞりて、
天沼矛もちて、
大いなる龍をその固い戒めから
解き放たんとする
されど、時、未だ、みちず・・・・・
「師匠、聞こえましたか?雪割草の歌声・・・」
ルシフェルが、須佐男に尋ねる
そこにいた皆が、須佐之男の方を見る.
「・・・・・・」しばらく沈黙ののち、須佐男がボソリと小声で呟く
「兄者よ、なぜにそのようにイラついておるのだ、
我らには、まだ、兄者の戒めを解くことは、できぬ・・・」
その須佐男の呟きの意味するところ、その時は誰も理解できなかった.
「大国主よ、お主らの仕事、どこまで進んでおるのだ、
間に合わせることができるのか・・・・」
事代主と、建御名方は、はっとした表情で、改めて須佐男の顔を見直した.
「お父さんの仕事?なんのこと?」
もちろんはるなには理解できないことだった.




