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酒と、料理と、男と女・・・

菊理媛は、日本酒をグラスで飲む.もう何種類飲んだかもわからないくらい.    全種類を制覇しているかもしれない.


しかし、顔は全く赤くない.呂律も悪くないし、理路整然と話をする.むしろ、普段よりも、しっかりした感じかもしれない.


(この女、本当にウワバミか・・・)須佐男は、日頃の鬱憤というか、いきがかりじょうの色々を、酒で勝負をつけたいという、魂胆があったらしい.


「あたし、ちょっとお手洗いに・・・」

菊理媛が、トイレに立ったあと.


「うしししし・・・」

須佐男が何やらよからぬことを企んでいるらしい.


何やら懐から取り出して、

「ティっティリーー・・・・」

続けて、一昨年亡くなった大山のぶ代さんの声と喋り方を真似して


「八岐のストロー、八塩折之酒フィルター付き!」


「これはな、八種類の酒をいっぺんに飲むことのできるストローで、しかも、途中に8つの折れ目があるだろ、ここで、特殊な装置で、アルコールを濃縮する作用があるんだ、こんなこともあろうかと、ヘパイストスに密かに開発を頼んでいたという寸法さ・・・」


皆が、ギョッとして須佐男の手元を注目する.

「まあ、みてろって、これさえあれば、あの八岐大蛇も、グテングテンに酔っ払って・・・」

そうこうするうちに菊理媛がトイレから戻ってきた.


須佐男は下を向いてまだ、

「うしししし・・・」と笑っている.この日本の最強の荒ぶる神、一体精神年齢は何歳だ?と皆が思った.


「なあ、くくりの姐さんよ、日頃無礼を働いている、お詫びというか、なんというか、今日は俺から、姐さんに贈り物がある・・・」


と言って須佐男は、八岐のストロー、八塩折之酒フィルターつきという、ヘパイストスの新製品を菊理媛に献上した.


「お、なんだい、これは、何々、吸口は一つ、こっちが口だね、そんでこっちの、8つの口を、ほおほお、これをグラスに入れて、おお、すごい、グラス8ついっぺんに飲めるてか、そんでなになに、こっちのフィルターで、ほおすごい、アルコール濃度を濃くできる!いや、須佐男、あんたなかなか気が利いているよ」


早速、菊理媛は、その、須佐男の贈り物で酒を飲んでみた.


新潟の酒だけでなく、ワインやら、焼酎やら、ブランディやら、何種類かの酒を、8つのグラスに並々と注いで、それを何回お代わりしたかわからない.

日本酒

焼酎

どぶろく

なんでもこい.これで日本は制覇だ!

いよいよ次は世界だ、とばかりに、


ワインにビール、

老酒

ウイスキー

ブランデー

ウォッカ

テキーラ

・・・・・・・

世界中のお酒、店にあるだけ、

「どんどん酒、持ってこーい!!」

ただの酔っ払いおばさんである.


「おや、菊理媛さん、ちょっと顔が赤いかも・・・」

「おや、なんか泣いているな・・・」


「くすん、くすん・・・須佐男、あんた、私のせいで、辛い思いしたね、ごめん・・・」


なんと、菊理媛がないている.そして須佐男に謝っている.


「え、ねえさん・・・・」須佐男もちょっとジーンときたのかもしれない.


「俺も、なんか姐さんのこと逆恨みしたみたいで・・・」


そして、二人は、お互いに抱き合って、号泣し始めたから、ちょっと皆が困った顔になった.しかし号泣は、すぐに収まり、


「あれ、この酒ちょっと強いと思ったけど、まあ、あんまり強くないね、あ、奥さん、おんなじのもう一つ、お代わり・・・」なんと菊理媛はいつの間にかシラフに戻っている.


「え、菊理媛さん、全然酔っ払っていないの?」

「まあ、ちょっと酔っ払ったけどね、でもすぐに醒めちゃった・・」


「おめえ、こんだけ、濃い酒飲んで酔わないって、どういうことだ?」仕掛け人の須佐男も完全に負けである.


「まあわたしゃ、樽で奉納される酒、大体は、その日のうちに残らず飲んでしまうからね、なかなか酔えない身体、になってしまった、ってそういうことなんだろうかね・・・・・・」


こんなお酒の飲み方、ハタチを過ぎた、良い子は、真似をしないように.


ウワバミと、そのウワバミをなんとか退治しようと言う日本の荒ぶる神との狂宴に気を取られていたら、


なんと料理のことを書くのをころっと忘れてしまっていた.


今回予約のコース、メニューのあらましは以下の通りである.


アミューズ

前菜1

前菜2

スープ

魚料理1

魚料理2

肉料理1

肉料理2

デザート

食後のお飲み物

小菓子


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あれ、お酒は飲んでいないのに、なんか記憶があやふやになってきた.


「最初は、豚のタンをサイコロ状に切って焼いたの、だったかな・・・」

「なんかお花が添えれられてたような・・・」はるなの記憶もやや曖昧である.


「じゃがいものポタージュ、中に枝豆入ってなかったっけ?」ミタマの記憶である.


魚料理、オマール海老周りに千切りの何かがついて、上げてあったか?

鯛・・・

「まさか塩焼きではないだろうし・・・」


オナガダイ、顔が金目鯛みたいだった.その料理は、なんだ?ムニエル?


肉料理は覚えている.鴨肉のロース

次がニュージーランド牛のヒレ肉の上に、鴨のフォアグラが載っていて、キノコが添えてあった.マッシュルームに、椎茸に・・・


プリンのカラメルを焼いたの?それともちょこ?それにバニラアイスが添えてあったかも・・・


マカロンが、カカオ豆を砕いて焼いた上に乗せられたのも出てきた.

カカオ豆、甘みのないチョコ風味の、炒り豆の感じか・・・


すみません、食レポをするには、私は勉強不足のようです.


楽しい食事会と宴会がそろそろ終わりになった時、


「あ、勘定を・・・」

店に提示された金額を、見たドクトルは、ぶったまげてひっくり返りそうになった.

くくりの姐さんと須佐男の師匠が、店にあるお酒をほぼ全て飲み尽くしたからだ.


「いや、これはちょっと、払える額では・・・・」


そこにくくりの姐さんがやってきて、勘定の値段を書いた紙をひょいと引ったくっていった.


「いいよ、ドクトル、今日は全部私の奢りだから、・・・」


安心したらドクトルの意識は次第に遠のいていった.

 ・・・・・・・・・・・・・・・

「お父さん、お父さん、ねえ、けいちゃん、起きて、そろそろ支度しないと、お父さん!!」


ドクトルを目を開けると、奥さんがいる.

「あれ?どうしたん?なんでいるん?」


「何言ってるかね、もお、今日は、あの子が彼氏連れてくる日でしょうが!」


「ああ、そうだった!」




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