日本列島は、龍神が治めたまう島
別館の庭で、子供たちが「螺龍」を使って、遺伝子の複製とか転写の勉強をしている.
海丸くんが操作をして、愛ちゃん、健ちゃん、アンテロスは、ドロンロボットたちの動きを細かく観察して、スケッチブックに絵を描いている.この頃はタブレットの操作を皆が順番でするので、取り合いをしてタブレットを落として壊してしまうようなことはない.
菊理媛のおばさんと、ルシフェルのおじさんと、どっしんのオトシャン、つまりポセイドンが、見にきていた.
「へえ、やっぱりギリシャの神様は、すごいね、物質文明の西欧の科学精神の起源と言われるだけのことはあるね」
「そお、俺も開発に関わったんだぜ」とルシフェルが自慢して見せるが、それは無視して、くくりのおばさんは、いう.
「やっぱり、ヘパイストス、アテナはすごいね.こんなすごいもんをちゃ、ちゃて造っちまうんだからね・・・」
「くくりの姉さん、うちの子の海丸のアイディアがかなり入ってるんですぜ、すごいでしょ!」
ポセイドンの息子自慢である.
「ああ、流石に、雪姫の血を引いているだけはあるねえ.雪姫は私とは、越後のスケバんの不良仲間だったから.喧嘩はちょっとだけ私の方が強かったけどね.あの子は学問できた子だからね.一体あの山の中、どうやって勉強したんだろうって思うけどね.」
やはり、ポセイドンのことも褒めてはくれなかった.
「それにしても、発想がすごいね、遺伝子っていうのかい、これが、なんか、昇り龍と、降り龍が、反対方向からやってきて合流して、絡み合うっていうのだからね.自然がそのようにできているのだろうかね・・・こんな、考えてみれば、暗号を、複写するのには一番頭の良い方法、なんとわかってからまだ100年経ってないってのが驚きでもあるね・・・」
「しめ縄もそうでしょ、向かい合わせにより合わせて、藁の縄を編んであんな形にする・・・」なんと、アンテロスくんが、菊理媛に話しかけている.
「おや、また可愛い子が、お利口さんだね・・・」
菊理媛が、満面笑顔になって、しゃがみこんで、アンテロスのポッペタをくちゅくちゅした.
小さな、哲学者、アンテロス.キューピーの弟.
物静かな子だが、すごく頭がいい.口数が少ないだけに、たまに喋る言葉の一つ一つが、深く、そして重い.
「そお、しめ縄」
太陽の女神が再び、岩戸にこもってしまわないようにするための結界
「紐を捻って、棒につけて、火おこしの棒を回転させるというのは?」お、それもなかなか面白いことに気がついたな.
「手を上下させる、直線的な動きを、火起こしの棒の回転運動に変換する・・・」
海丸くんがいうが、菊理媛のおばさんはそんなに物理には詳しくないらしい.
「あたしにはわからないよ・・・」
インドの神話の乳海攪拌.曼荼羅山に大蛇のヴァースキを巻きつけて、デーヴァと、アスラに綱引きさせて、曼荼羅山をぐりぐり動かしていたら海の中から魔法のドリンク、アムリタが生まれたという話.
海底に沈んでいたのが浮かび上がったということかもしれない.
実はこの大蛇の、ヴァースキ、菊理媛の化身の九頭龍で、悪神と、善神の仲を取り持って、初めての共同作業をさせましたということらしい.
「火起こしの棒と同じ原理なんでしょうかね?」
一同、「さあー?」
螺龍を使った遺伝子の勉強がひと段落してから、皆で、図書室で、日本列島のことを勉強することにした.
地図帳を開く.
「ほら、日本列島、太平洋に向かって、龍の形で南北に長いだろ」
「あ、本当だ、龍の形だ・・・」
「広大な大陸を背にして、この龍は、巨大な大海原に対峙するが如し・・・」
静かに呟いたのは、これまたアンテロスくんである.
大人たちは、「!」
本当は、天才詩人が、子供の格好をして、いつの間にか別館に降り立っていたのかもそれない.
「そこにいろんな、向きから海流が流れ込んで、渦を作る・・・」
「昇る龍、降る龍、さまざまに渦を作って、親玉の龍にまとわりつく、まさに螺龍の化身の国!」
「北から来る海流が、太平洋側、南に来る海流が日本海側、だけだとわかりやすいんだがな」ポセイドンがいうと、
「ダメダメ、猟師のあんたが何言ってんだい!そんなんじゃ、いろんな海流でできた、潮が混ざるところの豊かな漁場ができないじゃないか、だから、海流は太平洋側、日本側、一方通行じゃだけじゃ面白くないってことさね」
「ほおほお」
『古事記』では、日本列島全体を表す代表的な呼び名は「大八島国(おほやしまのくに/おおやしまのくに)」.
これは、古事記の国生み神話で、伊邪那岐命と伊邪那美命が生んだ島々を指して用いられる.
「蝦夷ヶ島(北海道)は入っていないか、まあそうだろうな」
蝦夷に倭国の者たちが、大挙して入り込んだのは、
古事記よりもずっと後の時代・・・・
そして、キタキツネが本州に渡ってきたのは、青函トンネルができてから・・・
「ち、ち、ち・・・」
キタキツネが青函トンネル伝いに本州に渡ってきたというのは、都市伝説らしい.新幹線やら、貨物列車やら、野生の動物が、歩いて歩ける環境ではないらしい.
最初に生まれる八つの主要な島が「大八島」と呼ばれる.
淡道之穂之狭別島=淡路島
伊予之二名島=四国
隠伎之三子島=隠岐諸島
筑紫島=九州
伊伎島=壱岐
津島=対馬
佐度島=佐渡島
大倭豊秋津島=本州
興味深いのは、「八つ」と言いながら、現在の四大島とはかなり異なる区分になっていることです。四国・九州・本州を一島と数える一方で、壱岐・対馬・佐渡・隠岐も独立した島として数えられている.
「秋津島」という呼び方もある
『古事記』では、本州そのものを、
大倭豊秋津島
と呼ぶ.
後の時代になると、この「秋津島」という名称が、日本全体を指す雅称としても使われるようになった.
「そしてこの龍の島、なんと面白いのは、山の神と海の神、両方の血を引く、神々が納めてきた・・・」菊理媛が、ニヤリと意味ありげに笑う.
「子供たち、天孫降臨の話、知ってるかい?」
「うんうん・・・」
国譲りで、葦原中国は、高天原の天照の子孫が収めることとなった.
五伴緒(いつのとものお:5人の閣僚級の参謀)を引き連れて、邇邇芸が天からやってきた.
「東からお日様が登り、西からお日様が沈む、綺麗な国だ!私はこの国が気に入った!」
と、占領軍の最高司令官は、「国褒め」をしておいて、統治を始める.
ちょっとすたもんだの末に、瓊瓊杵尊は妻を娶った.
奥さんの木花咲耶の姫、
「妊娠するのが早すぎる.前の彼氏の子供・・・」
それではあなたの疑念を晴らして見せましょう.
誓約・・・・・
産屋に火を放ち、安全に出産できたら・・・・
「この子供は正真正銘、あなたの子供と認めてくださいね」
当時活火山だった富士山の神様の娘だけあって、無実の証明に行なう、
誓約、やることが火山の噴火レベルに情熱的だ.
瓊瓊杵尊と木花咲耶の姫、間にできた、3人の息子たちは、
(三子だったのだろうか?)
ホデリ
ホスセリ
ホオリ
という.
またの名を、
長男が、海幸彦、
末っ子は、山幸彦である.
「真ん中の子は?なんと古事記には記録がない!」
キューピーが、いつの間にか、参戦である.
真ん中のホスセリ、海でもなければ、山でもない・・・・
該当する事実は、三子が生まれたが、真ん中の子供は幼くして亡くなったか・・・
あるいは海の子供と、山の子供のどっちかに味方したか・・・
あるいはオリンポス流に冥界の支配を任されたか・・・・・
これから何かわかるかもしれない.




