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「ねえ、お父さん、お願い!」

アテナが、ルシフェルを「お父さん」と呼ぶときは大体がおねだりの時である.


「お、おめえがおとうさーんなんて呼ぶ時は、碌でもねえお願いの時だろ、

何だ、要求は?」


「お、親父、やっぱり伊達に最高神してねえな、なあ、親父、ここ、いったことねえフランス料理屋見つけたんだけど、連れてってくれねえかなーなんてね」


と言いながら、アテナは父であるルシフェル=ゼウスにかわいくウインクをして見せた.


オリンポスで最も最高神に可愛がられたと言われる、見た目も性格もかわいい、アテナの頼みである.ゼウスの返事は、決まっている.


「お、いいぜ、久しぶりにフランス料理か・・」


「やった!親父やっぱり話がわかるぜ!」

「ううん? 親父と呼ぶような娘と、フランス料理にはいけないな・・・」


「あ、そうそう、ねえねえ、お父さん、アテナ、嬉しい!」と言う感じであった.


「じゃ、海丸、悪いけど、予約、してくんねえかな・・・」アテナの頼みは、海丸君には断りにくい事情が一つや二つではないらしい.


それでも、海丸君はちょっとだけ難色を示す.


「えー、僕が予約するんですか、だって子供は連れてってもらえないでしょ、フランス料理・・・」


「そうだ、そうだ、子供もフランス料理行きたい」

キューピーとアンテロスと、愛ちゃんと健ちゃんも文句を言った.


「ごめん、ちゃんとどんな料理だったか、覚えて感想教えるからさ、お願い、海丸くん.」とハートマークの絵文字が入るような話し方で、海丸くんに予約をお願いした.


「子供達は、お留守番で、ママたちが、おいしい、みんなが好きなご馳走を作ってあげるから、フランス料理は、大きくなってからね」


「はーい」子供達は不平たらたらなのだが、愛ちゃん・健ちゃんのママの言うことには大人しく従う.


実はこのママ、ものすごい怪力で、健ちゃんと愛ちゃんなど両脇に抱えて、テーブルを飛び越えるほどの身体能力がある.怒らせると、どんなお仕置きが待っているか、しれたものではない.([アフロディーテ論]、参照.ここでアフロディーテに関する演題を聞こうとしていた、愛ちゃんと健ちゃんをママが会場から排除した話である.)


「確か、『食べごろ』、とか言う食レポサイトで、フランス料理の予約できるんですよね・・・」海丸くんはサクサクっとレストランの予約サイトを開いた.

 

「いつにしますか?」

「今週の土曜日、夕方6時頃から・・・」


「二人、おじさんと、アテナで・・・・」

「お、いいですね、フランス料理、私も加えてもらおかな・・・」ドクトルが加わった.


「え、人数は3人・・・・」海丸くんは慌てて、人数を変更する.


皆のやりとりを、ちょっと離れたところで見聞きしていた、みたまが羨ましそうな顔をする.


「・・・・・・・」


そこに、ご飯を食べに、須佐之男命が入ってきた.


「ねえ、パパ・・・・」

「!!」

ゾゾっと、背筋に冷たいものが走り、須佐之男,身体中の毛が逆立ち、冷や汗が流れてでた.


「おめえ、パパって誰のことだ?」


一応、須佐男は娘のみたまに聞いてみた.


「みたま」とは、「宇迦之御魂神うかのみたまのかみ」つまり、お稲荷さんのことである.

皆さんご存知とは思うが、念のために.

彼女は須佐男命の娘である.


みたまは人差し指を一本立てて、その指を、宙に泳がせた後、 須佐之男の鼻先に突き付けた.


「アテナはいいな、優しいパパで、みたまもフランス料理、行きたいなー、でもうちのパパは連れてってくれないだろうな・・・・」

とちょっと潤んだような目で、上目使いに須佐之男の顔を見上げた.


日本の神話における荒ぶる神の代表のような須佐之男命としたことが、顔が赤くなってしまった.


「あ、いや、その、おめえよ、フランス料理なんて、ちゃんとした服着でいかねえとダメなんだろ、それに行儀よくしないとダメだしよ、俺なんか、店先でお断り・・・だろ?」


「そんなことないって!お父さんなら大丈夫、乱暴に見えて、お父さん、日本で最初に和歌を詠んだ文化人だもの、それにお父さんは、愛妻家だって評判だよ.8重の防御フェンスで敵の侵入から、奥さんを守るって、お父さん、かっこいい!」


これは須佐男が詠んだと言われる和歌のことで、


「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」

と言う、歌のことを言っているらしい.


「そおかあ、照れるな・・・」

「お父さん、さいっこお!」


よし、ほんじゃ、俺たちも行くかと言うことで、娘の攻撃に、

あっさり須佐男は八重垣を突破されて陥落して、


「おお、海丸、俺と、みたまも数に入れてくれい!」


「え!」みんなが須佐男とみたまを見た.


「え、じゃ私も行こうかな・・・」はるなも乗っかった.

「私には、いろんな料理を食べて、みんなに作ってあげると言う義務がありますからね.毎日勉強だから・・・」


「え、3人から、二人増えて、さらにはるなも加えて、6人・・・」海丸くんはまた人数を変更する.


「ねえ、ねえ、海丸、私も数に入れといてくんねえかな・・・」


「げ!」


「なんだおめえ、いつの間に!このヤマタノオロチ!」

菊理媛がいつの間にか、皆の間に入ってちゃっかり、フランス料理の仲間に加わろうとしていた.


須佐男が十握剣で、菊理媛に切りつける.

その斬撃のそれぞれを、

「はい、ほ、それ、よ、」と巧みにかわして、


菊理媛は逃げ回る.さらに、顔の横に指を広げて、

舌を出して、レロレロと挑発する.


さらに、菊理媛がふざけた口調で、

「おとうさーん、乱暴はおよしになってー」

と言うと、逆上した須佐男は、

「くそ、コンニャロ!だれが、お父さーんだ、待てこら!」


しばらく、菊理媛と須佐男との追っかけっこが続いた.


あの二人のルーチンは、無視して、

皆の視線は、パソコンを操作する、海丸くんの手元に集まる.


「もお、誰もいませんよね、行きたい人は」と海丸くんはあたりを見渡した.


名乗りを上げるものは、いないようである.


「よし、これで、予約確定、と!」

すぐに予約確認のメールが届いた.


予約は無事に完了したらしい.


ルシフェル

アテナ

ドクトル

はるな

みたま

須佐男

そして、菊理媛の、


大人二人(この中では一応、はるなとドクトルのこと)

と子供みたいな大人の神様5人(五柱)である.


子供にフランス料理はダメよ、と言っておきながら・・・・・




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