ALDH,ADH ,LDH ,IDH・・・・脱水素酵素の色々
かき並べてみたが.
「-DH(脱水素酵素:dehydrogenase),実は代謝を学ぶ上で、いろんなところで出てくる、重要な酵素、なのかも・・・」
ちなみに、野球の「DH」とは、守備に就かず、攻撃時に投手に代わって打席に立つ「指名打者(Designated Hitter)」の略称らしい.投手に打席が回らないため、打撃に専念できる専門の強打者を起用できるのが最大の特徴です.ここでいう医学・生理学で言われる、DHとは別物である.
そう言われてみれば
アルコールとアセトアルデヒドの代謝
ALDH,ADH.これらは、アルコール中毒になりやすさ、二日酔い、アルコール依存症に関係するし、これらによって作られた、還元物は、糖やら、脂質にも大きな影響を与える.
LDH.これは採血の検査で大体ルーチンで入っているし、検診の項目にも入っていないことがむしろ少ない.
「しかしはて、いったい何やってる酵素?」
「肝臓の病気、血球貪食症候群、重症頭部外傷、そろそろ脳圧のコントロールができなくなった時、採血の検体、カリウムとLDHが上がったら、あ、もう一回採血やり直し、溶血だ・・・」
そして訳がわからないのが、IDH.
「野生型と、変異型、グリオーマ、その他のがん・・・」
一体その正体はなんなのだろう.
「-DHで並べてみると、色々興味深いことがわかりそうですね・・・」海丸くんの意見である.
「お、海丸、相変わらず、着眼点が鋭いな、おめえは」オジさんのルシフェルも感心する.
細胞が営む、酸化・還元を調節する大事な酵素・・・・
細胞のエネルギー産生の過程・・・・
「実際に何にもわかってませんね、私たちは・・・」
それこそ、肝臓の専門の先生とか、生化学教室の先生たちには当たり前かもしれないが.
今日は、脱水素酵素-DHについて、学ぶか.
「脱水素酵素はすなわち、酸化することによって、主に炭素と水素からできる化合物、水素と、電子を奪い取る過程を助ける酵素である.」
「ここで、すでにわかりませんね.酸素を与えるという名目で、水素と電子を例えば、アセトアルデヒドから奪い取ることによって、酢酸を作って、奪い取った、水素と電子はどうなるか?まずその意味から整理してみないと・・・」静香の知識の整理の仕方は、いつも、うまい.
「そもそも酸化というのは名目上酸素を与えるというのではなくて、酸素をやると見せかけて、ごっそり水素と電子を分子から引っこ抜くのが本来の目的とすると・・・」
「なんか身近な例えが思い浮かびませんね・・・」
「確かに.」
そもそもグリオーマで、IDHの野生型とミュータント、それぞれで、悪正グリオーマができるとこからして、ドクトルはつまずいてしまっている.
「細胞も馬鹿じゃないから、乳酸から、ピルビン酸を作るとき、水素と、電子、一回渡したら、それで今日の支払いはそこまで」これ以上は、ない袖は触れませんとばかりに営業をストップする
しかしそこには細胞にとってはある意味毒である、酸素が供給される.
酸素は、電子と水素の受け入れ体制が良い、というか、いつも、
「電子と水素、ください・・・」と待ち構えている.
だから電子を放出しやすい、金属など、
Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > H > Cu > Hg > Ag > Pt > Au
「リッチに(高校とか予備校の時に覚えたのに、Liは入っていな買った気がする.K,Caは、かねかとよんだ)貸そうかな、まああてにすんな、ひどすぎる借金」
イオン化傾向とはつまり、金属の酸化しやすさ?
「酸素、こいつがあると、分子はいくらでも、水素と電子を放出し続ける・・・」
酸素もあまり、触れすぎると、フリーラジカルが増えて組織の老化が促進されて本当は良くないにもかかわらず・・・
「毒になるものは美味しい.毒になる酸素は、細胞にとって美味しい?あたかも利益を産み続ける魔法の、食べ物・・・・」
「アンブロシア?」
価値を生み出さないのに、次々と、宝を生み出す、打ち出の小槌?
「IDH(イソクエン酸脱水素酵素)は、TCAサイクル(クエン酸回路)の主要な歯車.しかし変異型(mIDH)になると、本来作らないはずの2-HG(2-ヒドロキシグルタル酸)」というオンコメタボライト(発癌代謝物質)を作り出し、エピジェネティクスを書き換えてグリオーマを引き起こす・・・・」
「とおっしゃいますが、じゃ、野生型は、2-HGを作らないのでは?」と素朴な疑問を、ドクトルは、表明する.
今でいうところのグリオブラストーマは、IDH野生型だけで、変異型はアストロサイトーマ グレード4(ローマ数字ではなくてアラビア数字!)である.
「そうするとなんかこう、欲しくなってきますよね、TCAサイクル、それぞれの中間産物と、電子と水素の放出のされ方、酵素の関わり、視覚的に見せる、モデルのようなものが・・ちょうど、DNAの合成を再現するときに螺龍を作ったみたいに.」
ここで一同の目が、アテナに注がれた.
「いやー、それは社長に話して見ないと・・・」
「そこをなんとか、会社に持ち帰って、社長と掛け合ってくれねえかな・・」ルシフェルが珍しく、低姿勢で、しかも興味を示しているらしい.
「よし、わかった!細胞内の脱水素酵素、それによって生成される、中間産物、そのサイクルである、クエン酸回路、TCAサイクル.いろんな酵素との絡み、電子と水素の放出、理解しやすいような、模型、社長と相談してみるよ」
アテナが本社に持ち帰ったプロジェクト.ヘパイストス社長の決済は、
「お、また別館のやつら、面白いこと考えたじゃねえか.面白い!やってみようじゃねえか」
ということで、オリンポス工業株式会社中央最先端研究所の新しいプロジェクトが走り出した.
「TCAサイクルにおける生体内の脱水素酵素の働きと、水素、電子の放出を、視覚的に理解しやすくすることで、酸化還元反応という生体のエネルギー生成過程をわかりやすく示すための教材モデル(仮称)」
いくらなんでも、このプロジェクト名に対しては、社長のダメ出しが出た.
「いや、これはプロジェクト名として修正の余地がある、かな・・・・」
とにかく、オリンポスでは、また面白そうなことが始まるらしい.
皆で議論して、修正に修正を重ねて、新たに社長が示したプロジェクト名
「生体のエネルギー源としての水素と電子の流れを、視覚的に理解するための分子模型.(TCAサイクルと、電子伝達系)」
「うーん、あまり簡便になってねえんやねえ?」
こういうのは、自分でアイディアを言わないくせに批判は一丁前のルシフェルである.
じゃこんなでどうでしょう、
『生体エネルギー生成機構(つまり生体が分子から水素と電子を抜き取る過程)の視覚化モデル』
神童、または天才少年海丸くんの意見にそこにいた大人たちの全員が即賛成である.




