黄泉醜女
火之迦具土神が生まれる時、大火傷を負った、イザナミの命はそのままなくなってしまった.
「火の神を産みしによりて、ついに神避りましき」
とは、古事記の記載である.なんも、火傷で死んだと書かれていない.
いや、その前に、「この子を生みしによりて、みほとやかれて病み臥せり」とあるから、局所の大火傷を負ったことになっているということで良いらしい.
なくなるまでは、一定の期間があるらしい.
イザナミがなくなって、怒り狂ったイザナギノミコトが、
「愛しき我が汝妹の命を、子の一つ木に易へつるかも」
つまり、子供1人生まれたことで、愛しい、妻がなくなったことは変え難い
と、カグツチを斬り殺してしまった.
そこからいろんな神々が生まれたことは、前に話した.
妻の亡骸は、「出雲と伯耆の境の比婆の山に葬りき」と古事記にもはっきりと書かれている.
「ここにその妹伊邪那美命をあいみむとおもいて、黄泉の国に追い往きき.」
伊邪那岐命は亡き妻の伊邪那美命を黄泉の国に迎えに行った.
そこで交わされた会話
「愛しい妻よ、私とソナタの国作り、まだ途中だ.戻っておいで」
伊邪那美命が答えていうには
「悔しいことに、あなたが迎えに来るのが遅かった.私はもう、黄泉の国の、食べ物を食べてしまいました.だから、こちらの住人になってしまいました」
お、ギリシャの神話、ハーデスに攫われて、冥界に連れて行かれた、ペルセポネ、
12粒ある、柘榴のみを、4つまで食べてしまった、よって、十二ヶ月のうちの四ヶ月は冥界ですごく義務が生じました・・・
黄泉の国の食べ物は、具体的に何かはわからないし、期限も明示されていない.
「吾は、黄泉戸喫しつ.然れども、美しき我が汝夫の命、入りきませること、かしこき.故、還らむと思うを、しばらく、黄泉神と相論はむ(あげつらはむ).我をな、見たまいそ」
「私は黄泉の国の食べ物を、食べてしまいました.この国の神々と、相談して参ります.しかし、中で話をしている私を決して見ないでくださいね・・・」
待てど暮らせど、伊邪那美命は出てこない.
「いったい何を相談しているのだろうか」
見るなと言われると、見たくなる人の心理をついたのかもしれない.黄泉の国の神様と、相談に行きますというのは、形だけで結論は決まっていたかもしれない
イザナギが中をのぞいてしまうのは、古今東西、いろんな物語のお決まりのパタン.
つまり、だめだと思いながら、ついつい見ちゃった・・・・
腐敗して、うじがたかった、伊邪那美命の身体中に、8つの雷神が取り憑いている
頭に大雷神、
胸に火雷神、
腹に黒雷神、
女陰に咲(裂)雷神、
左手に若雷神、
右手に土雷神、
左足に鳴雷神、
右足に伏雷神
「みーたーなー」
ここからが、イザナギの逃避の始まりである.
「こんな私でも、ちゃんと連れて帰ってよ・・・」そういうことなのだろうか?
それでも見ないでいてくれたら、ウジがたかる前の綺麗なままの姿でもどれたのだろうか?
「逃がすものか!」
黄泉醜女に、八雷神のそれぞれに、地獄の兵卒1500人を引き連れて、イザナギを追跡する.
黄泉平坂を上り切るところで、桃のみを投げつけると、八雷神も、醜女たちは、逃げていく.
中国の方に聞いてみると、桃の木には、厄除けの働きがあるらしい.彼女は、ゴム紐につけた、桃の枝を「お守り」として、ずっと足首につけているとのことである.
桃太郎の伝説もそういうことなのだろうか?
やっとのことで黄泉の国を脱出した、イザナギは、大きな岩で、黄泉の国の入り口を塞いだ.
追いかけてきた、イザナミの亡霊が、岩の向こうからイザナギに話しかける.
「よくも、裏切ったな、かくなる上は、お前の国のものを1日に1000人殺してやる!」
ならばと、イザナギが答えていうには
「こちらでは1日に1500人子供を作ろう!」
こうして、黄泉の国と、現世には行き来がなくなってしまったのでした、という話である.




