今こそ、「高血圧」について、語らねばなるまい・・・
「は?誰が、誰の、高血圧の何を?まさか、ドクトル、あんたが、高血圧についてからるつもりじゃないでしょうね.」アテナが少し皮肉を込めてそういった.
「いや、私もそろそろ、脳卒中や、心臓血管障害、腎臓障害の一番のリスクと言っていい、高血圧について、皆さんに語りたい、と思ったのですが.」
「だから、なんであんたか、人様の血圧を語る資格があんのさ.」ヘスティアおばさんの追及もいつもながら厳しい.
「そおそお、別館の食事だけ食べてればいいのに、カロリーと塩分の高い間食多いし・・」はるなは、放任のようで、しっかりドクトルの食生活の管理を影でしているようである.陰ながら見守るのはもう限界という言い方だ.
「運動もね・・・ドクトル、この一年で、体重何キロ増えたの?そして、お腹の周り、今、一体何センチあるの!」静香に言われた.
「まあ、医者のくせにそういうだらしないところが、ドクトルの魅力というか、僕はそういうところ好きですけどね.まあ大人になっても真似はしたくないけど、いわゆる、反面教師的に研究の対象である、ということでしょうか.」海丸くんは、いうことが、この頃、ちょっと回りくどくなってきた.言葉の中に、スパイスのような、チクチク刺さるものを巧みに忍び込まてくる.
「まあ、ドクトル、おめえは、お客である、患者さんやら、検診に来る企業の方々、みて、診察してデータの解析できるのは、すごくいいのだけど、まずは自分の足元から、かな?てめえが、脳卒中になったら洒落にならんだろうがよ!」ルシフェルに言われた.彼の一見ちょっと乱暴なような言葉には、深い友情を感じる.
「・・・・・・・・・・・」ドクトルは何も言えなくなってしまった.
この前の職場の健康診断で、なんと血圧が、収縮期が、180を超えて、拡張期の血圧も100を超えていたのだ..心拍数も100以上だから、一時的に交感神経の興奮状態であった可能性はあったのだが.
検診が終わると彼はすぐ、外来に駆け込んで、非常勤の脳外科の先生に、降圧剤を、出してもらったのだったが.
「それを、なんで偉そうに、高血圧を語るの、って問題だね、要は.」アテナのダメ押しである.
「相撲では、ダメ押しはダメってことになってますよね・・・それダメ推しでしょ!」精一杯のドクトルの反論だが.
「ダメ押しでもなんでもなくて、そもそもあんたは、ダメダメ、だめ、め!な生活と自己管理なが、ダメなんだ!」出た!
「ダメダメ、だめ、め!」押しはヘスティアおばさんの必殺技であることは皆さんご存知の通りである.
「そんで、家の血圧計、見つかったの?昨日は、あれどこ行ったかな、なんて言ってたけど」静香はドクトルの血圧計のことを心配してくれる.
「ああ、探してみたら、窓の近くに置いた、段ボールに入ってました.乾電池新しいの入れてみましたけど、つきませんでしたね.壊れてるみたいです」とドクトルがもうヤケクソのようにいう.
「もうかれこれ、3年くらい、自宅で血圧計、使ったことなかったですからね!」と、威張るようにいう.
「何!ドクトル、自宅血圧、ずっと測ってなかったって、こと?それはダメでしょ.患者さんにいつも言ってるのでしょ、ご自宅で、血圧を測って、記録して次の外来で記録をみせてください、なんて.
いつも、
朝起床後、
おしっこをした後、
朝ごはん前、内服前
に測りましょう、なんて言ってなかったっけ・・・」
外来の受付をしている時にはるなは、時々ドクトルの診察の様子を見に来るから、彼が病院でどんな感じか、ちょっとわかるのだ.
「まあ、ドクトルをいびるのもこれくらいにして、本題の高血圧、について、語ってもらうかね.」ルシフェルはその場を収拾した.
「・・・・・・」ドクトルは、何を話していいかわからなくなった.
「そお、私には、高血圧を語る、資格はないかもしれません.しかし、今の私は、私ごと、として、高血圧を語ることができそうです.聞いてもらっていいですか?」ドクトルは続ける.
題して曰く、「医者が患者になって気がついた、高血圧」
「おおお!」なんかいいこと言いそうなので、皆ドクトルの話をそれ以上茶化さないで、聞くことにした.




