荒々しいボレアスは、北の方から吹いてくる・・・
静香や、海丸くんが聞きたがるので、今日はドクトルは中学の頃の話をしている.
別館の図書室である.
「私の中学時代、すごかった.全国ニュースで、荒れる学校、とか、校内暴力とか、そう言うことばが出てくる、5年か、10年前の話ですから・・・・」
中学2年生、ドクトルは、運動そこそこ、勉強は、かなり良くできた方だったと思う.
運動は具体的に何ができたか・・・
短距離走は、速かった
長距離走はダメだった.持久力がないから
バク転と、バク宙は小学生の時からできた.
水泳は得意で、臨海学校、能力別のグループで一番泳げる組に振り分けられた.海に入ってから、20分くらい、ずっと泳ぎっぱなし、ということができた.思い出の若狭
の海である.(小学生の時にとびひでは入れなかった、海水浴場の近くである)
鉄棒で大車輪ができそう、だったが、落っこちて、右手首を骨折したのは、中学一年生の時である.期末テストが近い時期の怪我.右利きの少年ドクトルは、テストは左手で書いた.なんとかなった.
中学2年の夏休み、アマチュア無線の、資格をとるのに、大阪の市内に講習を受けに行った.欠席は一回まで、しかも後で補習が義務であった.ちょうど、中学校の、登校日が重なってしまった.ドクトルのお母さんは学校の出席は絶対で、学校を休んで講習に参加ということは決して許さない人だった.
しょうが無いから、親のゆうとおりに学校に行き、後から、補修を受けて、資格をもらった.電話級アマチュア無線技士である.当時は総務省ではなくて、電波行政は、「郵政省」が司っていた.
これは、運動とか、勉強あまり関係ないか.
学校の授業・・・・
本来ならおぞましい、黒歴史なのだが、ドクトルにはそうは思えない.
「ある意味、懐かしい思い出・・・」
皆は黙ってドクトルの昔話に耳を傾ける.
「社会科の授業、中学2年は、ちょうど歴史でした.担当の先生、見るからに情けない感じの先生で、生徒からのいじめの標的でした・・・」
ドクトルは続ける.
「先生、当時はまだ独身だったかな、人気のアイドルSJHDXと同じ名前だったか、中一の時は地理が担当だったけど、最初の授業、自己紹介で、SZHDX.・・・・」
先生はなんて言ったかというと、
「HDX・・・僕のイメージにピッタリ!」
生徒たちは皆、「シーーーん」そして「シラー」であった.
しかしその授業をドクトルは好きだった.準備が綿密にされた授業、そして丁寧な板書.優しい語り口・・・・
「そして、怒らない先生だったから・・・」
だから、不良たちの絶好の標的になったというわけである.
「まず、先生が、授業を始めようとすると、不良たちの奇声の大合唱、そして、大声を出すのに疲れて、黙ったかと思うとしばらくして、教室をチョークが飛び交う・・・」
「へえ・・・・」と海丸くんが驚いたような声を発する.
「ほら、あったでしょ、暗殺教室、なんか白い弾丸みたいなのが飛び交う教室、あの場面、どっかで見たな・・・そうだ、中学の時のチョークだ!」
ドクトルは続ける.
「チョークの銃撃戦、だいたい、後ろから黒板に向かって飛ぶ.先生からの反撃はもちろんない.不良はまた飽きてきたらしい.そして次に・・・」
「次に・・・・」
「おもむろに、立ち上がった不良の1人、黒板消しを持って、先生が書いた、黒板の文字を、最初の方から消していく・・・・」
「ヒェー!」静香も中学高校は、結構不良のいる学校だったのだが、それでもドクトルの中学の方が数ランク、ひどい.
生徒の中には、不良を止める、勇気と、義侠心と、不良をねじ伏せるだけの迫力と腕力を持ち合わせたものはいない.もちろんドクトルにも、なかった.
「だから、本当は、ちゃんとノート取りたいし、話も聞きたいけど、という感じでした.」
ドクトルの例えばなし.
「波が引くのを待って渡る、親知らず、子知らず、みたいな感じなのかもしれません.先生が、不良が騒ぐ、合間に書いた、板書、発言、漏らさず、聞き取り、社会のテストはだいたい、いつも満点近かったんじゃ無いかな・・・」
「ほお!」一同驚嘆の声をあげる.
「それでですね、またある日、その社会の先生、隣の教室で授業だったんです.
それで不良の2、3人が、その先生が、授業している、隣の部屋の壁をごんごん蹴っ飛ばす.大きな音を出して隣の教室の授業の妨害をやり始めた・・・」
「へえ、そこまでいくとかなり、凝った妨害行為、だね」アテナもドクトルの話を聞いていて、呆れたというか、もはや、感心したように声を上げた.
中学校の校舎、窓は南、東西に長い、校舎、北と南にふたつ3階建てだったかな、並んでいるのです.
「私たちの教室は、南側.北の校舎で、授業をしていた、生活指導担当のおっかない、数学の先生が、走ってきて、不良たちを一括した!」
「クオ、ラー!!」
おそらくオリンポスの12神が全部声を合わせて一括するよりも迫力があったと思う.
不良はそこで完全制圧された、「ん、じゃなかったかな・・・」そこからのドクトルの記憶は曖昧になる.
「別の思い出、生活指導の数学のその先生、おっかない先生で、バスケットボール部かなんかの顧問で、キャプテンが、たるんでる、とかなんかで、教室の前に呼び出して、リーゼントの頭、髪の毛の前に飛び出したところを掴んで、ほっぺたを往復ビンタですよ.」
一同の、「ゾゾっ!」という震えが聞こえてきそうであった.
「今なら、大問題ですけどね・・・・」
鼓膜が破けたり、顔面を骨折したり、なかったかな・・・
「殴る方も殴られる方も、上手い具合にやってたのですかね・・・」
大怪我したら、まあ、その頃でも問題になったかもしれないのだが.




