アナフィラキシー
アレルギーにより、複数の臓器障害が起こる病態をアナフィラキシーと定義するらしい.
「内科の教科書にはそう書いてありますね・・・」
アレルギー学会(2022年)ガイドラインには、次のように定義されている.
定義
アナフィラキシーは重篤な全身性の過敏反応であり、通常は急速に発現し、死に至ることもある.重症のアナフィラキシーは、致死的になり得る気道・呼吸・循環器症状により特徴づけられるが、典型的な皮膚症状や循環性ショックを伴わない場合もある.
アナフィラキシーで障害される臓器とは、
皮膚
気道(上気道、気管支、肺)
循環器
神経系
・・・・・・・
診断基準
以下の2つの基準のいずれかを満たす場合、アナフィラキシーである可能性が非常に高い.
1. 皮膚、粘膜、またはその両方の症状(全身性の蕁麻疹、瘙痒または紅潮、口唇・舌・口蓋垂の腫脹など)が急速に (数分〜数時間で) 発症した場合.
さらに、少なくとも、次の1つを伴う
A. 気道/呼吸 : 重度の呼吸器症状(呼吸困難、呼気性喘鳴·気管支攣縮、吸気性喘
鳴、PEF低下、低酸素血症など)
B. 循環器: 血圧低下または臓器不全に伴う症状(筋緊張低下[虚脱]、失神、失禁な
ど)
C. その他: 重度の消化器症状(重度の痤攣性腹痛、反復性嘔吐など[特に食物以外の
アレルゲンへの曝露後])
2. 典型的な皮膚症状を伴わなくても、当該患者にとって既知のアレルゲンまたはアレルゲンの可能性がきわめて高いものに曝露された後、血圧低下*または気管支攣縮または喉頭症状が急速に (数分〜数時間で) 発症した場合.
アレルギー発症には三つの機序が考え得られている
1.免疫学的、IgE依存性
2.免疫学的、IgE,非依存性
3.非免疫学的
である.これらそれぞれについて、
順にアナフィラキシーの発症の病態生理学を考えてみよう.
免疫学的、IgE依存性アナフィラキシーから.
アレルゲンが、好塩基球、肥満細胞の、高親和性IgE受容体に結合する.
ケミカルメディエーターの放出
ヒスタミン
トリプターゼ
カルボキシペプチターゼA
キマーゼ
血小板活性化因子 PAF
ロイコトリエン
プロスタグランディン
その結果、
毛細血管拡張
血管透過性亢進
気管平滑筋収縮
気道分泌促進
粘液浮腫
「蕁麻疹、アレルギー性鼻炎の起こる仕組みと同じ、と考えて良い?」静香の質問である.
「そう蕁麻疹は、皮膚に起こった場合、アナフィラキシーは、皮膚に起こることも多いが、そのほかの臓器の機能に影響が出る、と考えればいいのかな.」ルシフェルが解説する.
IgEが関与しない、免疫学的機序
免疫複合体による補体の活性化
アラキドンサン代謝異常
凝固線溶系活性
(あと表に列挙されているのは、
免疫グロブリン製剤
生物学的製剤
その他の薬剤
自己免疫学的機序、
とある)
例えば血液製剤では流血中に免疫複合体を形成して、補体系を活性化する.
アナフィラトキシン C3a,C4a,C5a の直接作用
「アナフィラトキシンによる、好塩基球やマスト細胞の刺激によった起こるケミカルメディエーターの放出、と言うけど、そのアナフィラトキシンって、なんなんですか?」海丸くん、初めて出てきた言葉に反応した感じである.いつもながら、未知のことに対する食いつきが良い.
(よしよし・・・)とドクトルと、ルシフェルは好奇心旺盛で、探究心の高い、この若い、学友を惚れ惚れとしたように見つめるのである.
「え、なんですか、おじさんたち、そんな目で僕のこと見て・・・・」海丸くんがちょっと気持ち悪がるので
「あ、いや、別に」ドクトルと、ルシフェルは、視線を宙に浮かせる.
「はいはい、男の子たち、本題に戻りますよ」皆は静香の一言で冷静さを取り戻す.
アナフィラトキシンとは?
「凝固タンパク質が、なんかをきっかけ、例えば血管の損傷とか、出血とか、炎症をきっかけにスイッチが入って、一気に血液を凝固させる、タンパク質のカスケード、同じように、感染とか、炎症をきっかけにスイッチが入って、免疫をより増強するタンパク質を大量に生産、各地に供給する、タンパク質、と言った感じでしょうか・・・」これも海丸くんの意見だ.
「ただしね、凝固蛋白と違って、補体の活性化、元々ある、タンパク質を分解して活性化すると言う場合が多いみたいですよ」ドクトル.
血液凝固蛋白もそうなのだろうか?出血のあるところに、肝臓から絶えず供給される、そう言うものだのだろうか?しかしそうだとすると、大量の出血なんかで、フィブリノーゲン、すぐに下がってしまうのはなんでだろう?
「備蓄は大量にあるが、消費が大量で、生産が追いつかない、そんな感じになるんだろうね、大量の出血とか、DICとかは・・・・武器庫にいくら、弾薬があっても打ちまくれば、弾切れするし、建築資材も、家事で、家が燃えて新築ラッシュの時には材木が足りなくなる、そんな感じなんかね・・」ルシフェルの例えはまずまず、なのかもしれない.
「結局、アナフィラトキシンっていうのは、IgEが関与しない、補体系の活性化、ということでいいの?」静香は聞く.
「まあ、そういうことになるのでしょうね・・・」ドクトルの意見である.とさらに説明を続ける.
「アナフィラトキシン、C3a、C4a、C5aは補体が切れてできる“炎症を起こす断片”なんですよ」
「しかし、感染をきっかけに補体の活性化が起こる.凝固も、自己免疫も補体活性化の原因になりうる.だから、免疫が関与している、あ、そうか・・・」完全に納得したわけではないが、静香と海丸くんもなんとなく理解できた.
免疫が関与しない場合.
教科書の記載は、
運動
日光
気温、冷気、冷水
薬剤、例えばオピオイドなど
アルコール
明らかな誘因なし
・・・・・・・・・・
これらの誘因によって、脱顆粒とか、末梢神経の暴走が始まって、血管拡張、血管透過性の亢進、分泌増加、気管の平滑筋の収縮が、おこる?
それがショックになる・・・・
「揺らしたり(運動)、部屋の温度が上がったり、部屋に変化風入れられたり、倉庫の管理人、酒や薬で変なことやらかしたり.そんで、爆弾全部暴発.
そうなるともう・・・・溜まったもんじゃないね」ルシフェルの意見である.
「非IgE依存性肥満細胞活性化(MRGPRX2受容体などを介する経路)なんてのもあるみたいですが・・・・オピエートなんかは、肥満細胞を変に刺激するみたいですね
・・・・・・・
体の中の爆弾、暴発させないのが、健康管理?なんかちょっと違和感はありますけど、そうなんでしょうかね・・・」ドクトルの実感である.
アナフィラキシーの治療、
バイタルの確認を手際良く.
アドレナリンの注射、を一刻も早く.
足を挙上して、静脈還流を増やして血圧を上げる.
呼吸を苦しがっている時には酸素投与
心臓が止まったら、即座に心肺蘇生
・・・・・・・
「アナフィラキシー、呼吸と循環、そしてためらわずにアドレナリン・・・
救急医療の、ABCってことですね.」
と一番若い、海丸くんのまとめである.




