ああ、枝豆・・・
3月の半ばすぎ、デメテルの農業会議.
今年は何を植えるか?
コメは例年通り、玄米で50トン、これは譲れない.
後、主食となりうる、穀物、
小麦、とうもろこし、
ジャガイモもか・・・・
「あとなんかあったっけ・・・・」海丸くんが、聞く.
「他になんかあるか?」ルシフェルは、どんな作物が、主食級か、今ひとつよくわかっていないようである.
「なんか忘れちゃいませんか、主食というのではないのですが、大事なのを・・・」ドクトルがちょっとニヤニヤしながら、思わせぶりなことを言う
「はて、なんだろう・・・」アテナも、最近は農業会議にもたびたび顔を出す.
消費に一番熱心なのが、アテナとその四天王だから.
「春に植えて、夏の初め、かな、緑のうちに取ると・・・・」はるなにもわかっているらしい.
「茹でて食べると・・・・・」ヘスティアおばさんもわかったらしい.
「じゃ、シンキングタイムはこれまで、はい正解は、アテナ、どうぞ!」議長のデメテルの母さんが聞くが
「ええ・・・なになに、わかんない・・」とアテナ
「ああ、アテナあんた今年の夏はあんたの分なしだよ」とヘスティアおばさんである.おばさんの厳しさは、アテナに対しても容赦がない.
「あおいうちに収穫すれば・・・・」ドクトル
「そして、茶色く、丸くなるまで、そのままにしておくと、OOになって・・・・」とはるな.
「茶色いのは、味噌やら、納豆やら・・・」デメテルのお母さん.
アテナはまだわからない.
「あ.そうか、大豆、ですか?」玄武がやっと答えを言った.
「そう、大豆、今年は、大豆を、ちょっとたくさん植えて、夏の枝豆と、その後の大豆の収穫を増やそうと思う.」議長のデメテル母さんの宣言である.
ここまで言われてもアテナはまだキョトンとしている.
「ほら、アテナ、夏といえば、枝豆でしょ!」はるなが答えを言って初めて
「ああああ!枝豆!!食べたい食べたい食べたい、私、枝豆大好き!」とやっとわかったみたいなアテナである.ほんとにこの娘は馬鹿なのか、利口なのか時々わからないことがある.それは、親父の遺伝子を、全て引き継いでいる彼女ならではのことなのだろう.
「節分の豆、って大豆でしょ?これ植えたら、枝豆できる?」キューピーが聞いてくる.
「だめだよ、節分の豆はいってあるからね」とヘスティアおばさんの解説である.
「じゃ、納豆は?」静香の質問である.
「納豆も、大豆を煮て、その煮豆を納豆菌で発酵させるから、芽は出ないわよ」はるなは盟友に教えてあげる.
「じゃ、茹でる前の枝豆、は・・・?」アテナが遠慮がちに聞いてくる.
「それはね、芽が出る事、あるみたいだね」ただ、取ってきた、枝豆、全部茹でちゃいますよね.・・・・
皆、夏の初めの枝豆を思い描いて、ソワソワし始めて、腕捲りをするもの、庭に転がっている、スコップを研ぎはじめるもの、鍬を持って、畑を耕そうとするもの・・・
「で、植えるのは、たね?苗?どこに買いに行けばいい?」一番前のめりなのはアテナである.
デメテルの母さん、
「ドクトル、あんた、新潟に長いから、ブランドの枝豆知ってるだろ?」
「さあ、どうでしょうね、
枝豆、有名なのは、
新潟、黒崎茶豆
山形の駄々茶豆
あとどんな枝豆ブランドあるのでしょう
・・・・・・・
種苗屋さん覗いてみたら、あるのかもしれないですね.でもブランド豆でなくても、美味しいと思うんですけどね・・・」
ブランド豆ということでは、タネは手に入らなかった.普通の種を買ってきた、大豆の種を広大な田圃の脇に、植えた.
その世話と観察は、アテナと四天王が命じられた.
指導は、海丸くんと、健ちゃんと愛ちゃんである.
観察ノートには、詳細な観察スケッチ、どのような処置をしたか、苗の気持ち、
を毎日記載することが義務つけられた.
葉っぱが育ち始めた頃、
「あ、栄養やるの忘れた」朱雀が、肥料を買いに行こうとすると
海丸くんの指導が入る.「ぶぶー、大豆の根っこには、根粒菌が付着して、窒素同化をてくれるから、基本的に肥料はいりません!」
「肥料はいりません!」愛ちゃんと、健ちゃんにも同じことを言われた.
「ちゃんと、大豆の苗の気持ちになって、育てることが大事です.」海丸くんに諭すように言われる.
「ほら、豆の気持ちを聞いて、お腹いっぱいだから水だけでいい、肥料はいらないって、言ってない?」健ちゃんにさらに、言われて、アテナと四天王は、子供たちの前で正座して何も言い返せないでいた.
・・・・・・・
日差しが強くなり始めた頃.汗を拭き拭き、農作業に勤しむ.
「ああ、早く、枝豆、食いてーなー」
「心を込めて、作って・・・」
「たっくさんできて・・・」
「腹いっぱい・・・」
「美味しい枝豆・・・・・」
アテナと四天王は鍬を振るう手を緩めるたびに、健ちゃんと愛ちゃんに叱られるのだった.
「おやおや、若いものみんな頑張ってるね・・・」
遠くから皆の様子を観察している、デメテルがつぶやいた.
「その調子いけば、今年の枝豆、豊作間違いなし!」
これは、豊穣の女神の予想である




