ドクトル漫才師になる
朝から、慢性硬膜下血腫の術後の患者さんの処置である.
ドレーンを抜いて、そこにホッチキスでドレンの穴を塞いで、さらに創部に保湿性の絆創膏を当ててくる.
この病院のいいところは、看護師さんが処置の時についてくれることである.前の病院ではそれが一切なかったのだが.
ガーゼをもう一枚、あ、眼科用の鋏取ってきて、あ、灯が暗いんだけど・・・
そう言ったことを全部自分でやるのは苦痛だった.
大学病院は酷かった.医者の指示には従わず、医者に対して、指図や、どうかすると命令をする.
同じようにひどい病院もあった.勘違い、事務長のいるところがあって、病院内の指示命令系統で、院長、事務長、副院長、総婦長、各科の部長という序列があるのを、聞いてもいないのにいきなり説明をし始めて、
「先生は私よりもずっと下の立場なので」と
服務規程の、「職員は、上長(つまり上の立場の上司?)の命令に従って職務に邁進しなければいけない」という文言を挙げて、診療の方法、内容にまでケチをつけてくる人がいた.もちろん医者ではないし、何か、特別な医療資格とか、司法の資格とか、税理士とかそういう人でもなかった.
免許を持って仕事をしている、医者や、看護師、その他の技師さん、療法士さんに、立場が上だから、と、資格とか知識とか、権限を飛び越えて、「命令」するというのである.
「ぶったまげるね」とドクトルは、海丸君に愚痴をこぼしたことがある.
海丸君は黙っていた.
おお、そうだった術後の処置中だった・・・・
新人の看護師さんの名札を見ると、慶事さん?
「珍しい苗字ですね.ケイジさん?でも私は、警一(警一)だから、ちょっとランク上!」ドクトルは時々意味不明のことで威張る.
「なんか、漫才コンビ結成できそうですね・・・」
看護師さんは何を言わないで、処置が終わるとさっさとご自分のお仕事に戻っていかれた.
その日の仕事はつつがなく終わり、コンビニのお弁当、雪割草にちょっと水やりして、読書とか勉強はほどほどで、9時頃にはもう寝てしまった.
この頃はすぐに眠りにつく.そして途中で起きないことが多いかも.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ドクトルは出番を待っている.
ちょっと緊張気味である.
よし、出番だ!
舞台の中央に躍り出る.吉本演芸場?
初舞台である.
「どおもー」自分で拍手をしながら.
「ケイイチ、ケイジと申します、兄弟漫才やってますー、私が兄の、ケイイチで、こっちが、弟の、けいじですー」
「いや、ちょっとおっちゃん、待って、私、あんたの弟とちゃうし、そもそも、こんな可愛い、女の子、がなんで弟なん・・・・」
「え、そうやっけ・・・ほな、もう一回最初からやり直ししよか」
「そうしよ、そうしよ・・・・」
もう一度、舞台の袖に戻って、登場のところからやり直す.
「どおもー、わたしら、ケイイチ、ケイジと申します、結成してから、もう20年くらいになりますー」
「いや違うて、おっちゃん、私、20年前、まだ幼稚園も行ってへんて、ちょっともう一回やり直ししてくれる・・・・」
「ほおか、そんじゃ・・・・」
延々とボケとツッコミの繰り返しである.
いい加減お客さんが、飽きてきたようである.座布団とか、バナナの皮とか、空き缶が飛んできた.
「どおもー」と何度目かにいった時、怒号が収集がつかなくなっていた
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
雪割草たちの「起きろーーーー!」と
「ジリジリじり・・・・」目覚ましがなったのが同時だった.
なんと設定した、時間は5時半なのに、時計の時間はすでに、7時になっている.
「やべ!」とドクトルは急いで支度をして、今日の仕事に出かけていった.
「それにしても、漫才師か・・・・なろうと思ったことないけど、ひょっとしたら、ありかな?ケイジさんと相談するか・・・・」
「ないない・・・」と雪たちのツッコミである.
「




