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突然死


ここでいう突然死とは、心臓疾患による突然死という意味である.


定義は「急性の症状が発症した後、1時間以内に突然意識喪失をきたす心臓に起因する内因死」と定義されるとある.(朝倉内科学 第11版)


しかし、その後に続けてこの教科書では、心臓疾患医よるものは特に心臓突然死

(sudden cardiac death)と改めて書いている.心臓に起因する内因死というのは、ちょっとおかしいかな、と思った・・・・・


それに意識を消失してから亡くなるまでの時間の定義がなくていいのだろうか?

例えば、24時間以内に死亡するとか・・・・


くも膜下出血とか、脳底動脈とか、内頸動脈閉塞、大動脈解離、でも、突然死するもんな・・


トリプルA(AAA:腹部大動脈瘤破裂)は?

あ、でもあの病気は、意識がなくならないこともあるから、上の定義では突然死でないか、

「うーん、それもなんか違和感あるはな、AAA破裂で、亡くなるのはやっぱ突然死でしょうね・・・」


しかしこれら発症から1時間以内に意識無くして、その後、何時間以内に死亡するという定義がないと、突然死の定義が曖昧になりそうだ.


外傷は違うか、心臓振盪とか、頸動脈洞の強打でも心臓止まることあるしな・・・

毒物も.青酸カリ内服したらまさに突然死するらしいが、これは内因性疾患ではないか.


「そもそも突然死の原因がすんなりと心臓の病気だ、なんて特定できれば苦労はないわけで、失神の鑑別診断、そもそも突然死の原因になりうる、心疾患がありうるか、ということが問題になるわけで、まあ、亡くなったのだから、迷走神経反射はなくて、頭部CTでくも膜下出血もないなら、心臓突然死でしょう、で片付けるのは無責任だろう・・・」ドクトルの主張に熱が入ってきた.


収拾がつかなくなる前に、と海丸くんとルシフェルが目くばせをして話を本題に戻すようにドクトルを誘導した.


「はいはい、話を本筋に戻しますよ、心臓の病気が原因で起こったことが予想される、突然死、ということですよね・・・」と海丸くん.


「そお、ここでの議論は、心臓が原因の、内因性疾患で、いわゆる突然死をきたす疾患について考える、ということでいいんだな.」とルシフェルが確認した.


本題に戻る.「心臓突然死」について.


原因と頻度、民族とか、男女で疾患の頻度は違うらしい.

大まかな頻度である.


虚血性心疾患.欧米人に多い.女性に少ない.日本人は欧米人に比して少ない.


日本人で、30から40%

欧米人で、70から80%


特発性心筋症.これらの中に、

 肥大型心筋症、

 拡張型心筋症、

 不整脈源性右室心筋症(ARVC)

(ただし、この病気は不整脈性疾患に含まれることもある)


が含まれる.これらの疾患による突然死は、欧米人に比して日本人に多いらしい.倍くらい違うらしい.


日本人で、30から35%

欧米人で、10から15%


となっている.


次に多いのが、

遺伝性不整脈.

 QT延長症候群

 ブルガダ症候群

 カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)

 早期再分極症候群(ERS)

 進行性心臓電動障害(PCCD)


(うわ、こういった、イオンチャンネルがらみみたいな病気、学生の時習わなかったからな・・・ゲノム解析以来、どんどん、いろんなチャンネル同定されたから・・・)


続いて、

心臓弁膜症

その他の疾患、となっている.


消防庁、救急隊の統計は実際に当てにならないと思う.中には脳の病気とか、目撃者のいない外傷とか、いろんな薬の内服歴とかありうるから.


アメリカでは、年間、30から40万人が「突然死」するらしい.


アメリカ合衆国、約3億人いる中で、年間の死亡者数は?

だいたい、300万人前後の方が年間亡くなってその中の、1割が突然死となると、結構な頻度かもしれない.


2013年の日本における、突然死の頻度は、およそ、7万5000人.消防庁による、心肺機能停止患者数からの推定となっているが、先に述べた通り、心疾患が特定されなかった場合とか、他の原因が含まれると、この数字そのものの信頼性は下がり、「大体の数・・」ということにならざるを得ないか.


日本における年間の死亡者数は?大体、130から160万人、人口の、1.3%がなくなり、アメリカの年間、人口の、約1%がなくなる.

ということは、日本の全人口に対する年間死亡者数の割合がかなり高い、と考えられるが、それは日本が高齢化社会であるからだろうか?


心臓突然死の割合は日本の方が圧倒的に少ないという理由がわからない.

統計の国ごとの違い?

正確さ?

信頼性の問題?


「要するにこういうことではないかな・・・」ドクトルのまとめは、


虚血性心疾患、アメリカ合衆国では日本に比べて、圧倒的に多い.

心筋症、遺伝性の不整脈を起こす疾患は日本が多いが、これらの疾患は頻度自体がそれほど多い病気ではない・・・


日米で、心臓突然死の割合、全死亡に対する割合が、アメリカ、1割、日本、0.5割りという数字になっていることは理解できる.


心臓突然死の割合の違い、

それは、虚血性心疾患の多いか少ないか?


その理由は?

日本的な食事?肥満が少ないこと?


心臓突然死の話に戻すと、

突然死の原因となりうる、心疾患はかなりはっきりとした年齢分布があるらしい.


若い人、遺伝性不整脈が多い、というわけでもないか.

原発性肺高血圧PPHも比較的若い人の突然死の原因か・・・

 CPVT

 LQTS

 HCM

 ARVC

 PPH

30代、40代あたりに、

 肥大型心筋症、 

 ブルガダ症候群、 

 PCCD、

 QT短縮症候群、

 ERS


そして高齢になると、

 虚血性心疾患 

 心臓弁膜症

 大動脈疾患

 急性血栓性肺塞栓症


となっている.肺塞栓、若い人でも時々見られるが、骨盤の手術後、脊髄損傷、脳卒中のあととか、飛行機乗ってて、「エコノミー症候群」災害の時の車中泊とか状況は限られるか・・・・


「こうやってみるみると、色々とリスクの管理をしたら、予防できそうな病気、ありそうですね」海丸くんはいいこと言う.


「まさにそうなのだろうけど・・・」

ドクトルがいうのは、

「そもそも、行政がその発症頻度、統計で、しっかり把握しないとか、問題が大きそうですけどね・・」


「疾患の登録とか、ものすごい大変そうですね」海丸くんがいうのはその通りであろう.多くの人間を扱う、行政の大変なところなのかもしれないが.


「高血圧とか、脳卒中、住民の検診で、リスクになりそうな項目を把握して、亡くなった時には病理解剖・剖検で診断を確定したという、久山町研究.いまだに引用されることが多い.確か、1961年から始まって、現在も続いている.70から80%の剖検率、考えてみればものすごい研究だな・・・」


久山町研究

日本人における

脳卒中

心筋梗塞

心血管疾患

認知症

生活習慣病

の発症率・危険因子を明らかにすること.


アメリカで行われた、虚血性心疾患に関する、

フラミンガム研究Framingham Heart Study


開始 1948年

これは、

高血圧

コレステロール

喫煙

が心疾患のリスクであることを証明した研究.


大規模な臨床研究が、疾患のリスクを炙り出して、リスク管理から、疾患の予防が可能になるのは、素晴らしいことなのであるが.


「何十年かけて、疾患のリスクを同定する、臨床研究が久山町と、フラミンガム研究なされました、大学と、地域社会が一体となり、行われました.ほぼ町を上げて、大学も精鋭部隊を総動員して・・・


では、救急搬送患者について消防庁が統計を出す、ということになると、原因疾患の登録、死亡原因の同定、十分なものには、なり、得ませんよね.亡くなった方、半分でいいから、剖検・・・絶対無理ですよ」ドクトルは率直な感想を述べた.


「うーん・・・」海丸くんも、ルシフェルも頭を抱え込んでしまった・・・


心臓突然死の話から、ちょっと脱線してしまいました.







 

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