小児の発達
ドクトルは、小児の診察が苦手である.
「小児の発達段階、学生時代に習ったはずなんだけどな・・・」
教科書を引っ張り出してみてみるが、こんなんだったっけな、と記憶が曖昧である.
小児の診察は定期的に行わないし、小児脳神経外科のトレーニングをまとまって受けたことがないからこういうことになるのか・・・
しかも、ドクトル、こう見えても、2人子供がいる.子供を育てた経験があるなら・・
「申し訳ありません、子育て、全て、女房に丸投げでした・・・・」
「最低・・・・」アテナと静香、はるなが揃って顔を顰める.
しょげる、ドクトルの背中を海丸くんと健ちゃんと愛ちゃんが優しくさすってくれる.
「よしよし・・・」
ルシフェルも、頭をなでなでしてくれる.
「まあ、俺も、子育てはいい加減だったから・・・」
あんたにそんなふうに慰められてもなあ・・・・・・
「そお、親父に育児されなかったからこそ、今の私たちがある!」アテナの断定である.アポロンと、アレスがうんうん、と頷く.
すると今度はルシフェルが落ち込む.
またちびっこ3人がよしよし、と背中をさすってくれる.
ヘルメスも一緒になって、慰めてくれる.
ヘルメスについては、この親父さんといろんなところに一緒に旅をして人生を学んだということがあるから、結構お父さん子なのだ.
本題である.
発達評価はこの順序で診るらしい.
①運動(粗大)
②手(微細)
③言語
④認知
⑤社会性
小児神経では発達遅滞を見るとき、
「言語だけ遅れているか」
「全部遅れているか」
で鑑別がかなり変わるらしい.
①から⑤までの各項目を、5大分野というらしい.
改めて書くと、
粗大運動行動
微細運動行動
言語行動
適応行動
社会的行動
それを、生後、何週、何ヶ月で、どれくらい発達しているかを、マイルストーンとして表す方法がいくつか提唱されている.
小児神経や小児科外来でよく使う形で、
0〜6歳の発達マイルストーンを5領域(粗大運動、微細運動、言語、認知適応、社会性)に整理すると次のようになる.
(複数の発達検査:Gesell、Denver、Bayley、新版K式などを臨床的に統合した形)
0〜6歳 発達マイルストーン(5領域)
年齢 粗大運動 微細運動 言語
2か月 頭を少し持ち上げる 手を開く 喃語
4か月 首すわり 手を見つめる 声を出して笑う
6か月 寝返り 物を握る 喃語増える
9か月 座る 両手で物を持つ 声のやり取り
12か月 つかまり立ち 指でつまむ 単語1語
18か月 歩く 積み木2〜3個 単語10語
2歳 走る 積み木6個 二語文
3歳 三輪車 円を描く 会話可能
4歳 片足立ち 十字を書く 長い文章
5歳 スキップ 三角形模写 流暢な会話
6歳 縄跳び 文字を書く 語彙増加
年齢認知・適応 社会性
2か月 人の顔を追視 社会的微笑
4か月物を見て手を伸ばす 人に反応
6か月物に興味 人見知り始まり
9か月物を探す 人見知り
12か月物の用途理解 バイバイ
18か月模倣 指差し
2歳物の分類 ごっこ遊び
3歳簡単な問題解決 友達と遊ぶ
4歳数の理解 協同遊び
5歳時間理解 役割遊び
6歳論理的思考 集団行動
小児神経で重要な「遅れのサイン」として、
臨床で特に注意する年齢ポイントは、
年齢重要マイルストーン
4か月首すわり
9か月座る
18か月歩行
2歳 二語文
1歳 指差し
これらが遅れると
自閉スペクトラム症
知的発達症
脳性麻痺
筋疾患
などを考える、となっている.
小児神経医が覚えている「超重要マイルストーン10」は、以下の通りであるが・・・
年齢 マイルストーン 遅れた場合に疑う主な疾患
2か月 社会的微笑 重度発達障害、視覚障害
4か月 首すわり 脳性麻痺、筋疾患
6か月 寝返り 脳性麻痺
9か月 一人で座る 脳性麻痺、筋疾患
10か月 人見知り 自閉スペクトラム症
12か月 指差し 自閉スペクトラム症
12〜15か月つかまり立ち → 歩行開始 筋ジストロフィー、脳性麻痺
18か月 一人歩き完成 筋疾患、脳性麻痺
2歳 二語文 自閉スペクトラム症、知的発達症(?)
3歳 会話成立 ASD、知的発達症(?)
ちなみに、ASDと、 自閉スペクトラム症は、同じことである.
Autism Spectrum Disorder の略である.
「知的発達症、って発達障害ということなんだろうけど、そう言い切ってしまうのはどうかな、と思いますけどね.個人差がかなりあるのではないかな・・・
うちは娘が2人いるのだけど、だいたいこれに当てはまってるかな・・・でも、3歳年下の弟は、言葉が遅くて、3歳まで全然喋らなかったと思うけど、両親はあまり慌てた様子もなかった記憶がある・・・」とドクトルの個人的体験である.
もちろん、子供さんそれぞれの違いが、あるだろうから、表に当てはめて、一喜一憂する必要はないだろうが、子供さん、どうも他の子供さんと違う、おかしいのでは、と思ったら、何事によらず、小児科の先生に相談するのが、大事なことだと思う.




