お兄ちゃん、ちゃんと説明しなさい!
事代主・恵比寿様の公演が終わり、会場には割れんばかり拍手が起こったのだが、演者の姿はすでに壇上にはなく.廊下で、正座して、スタッフの女性に色々と責め立てられているようである.
「お兄ちゃん、これはどういうことか、ちゃんと説明しなさい!」
「いや、あの、その・・・・あ、建御名方、いたおい、お前、あ、逃げるな・・・」
「あ、建御にいちゃんも!誰か捕まえて!」
アレスと、アポロンと、ヘルメスが、ヘパイストスが開発した、天網恢々を持って、建御名方を追跡した.
ヘルメスが姿を消して、先回りして、天網恢々を広げて待ち構え、
アポロンは、建御名方も足元にその矢を何本かぶち込んだ.
怯んだ、ところをアレスがタックルして、建御名方は、はるなの前に引き据えられ、
事代主と並んで、妹の説教を聞くハメになってしまった.
「一体、お兄ちゃんたちは、何者なの?お父さんは?今どこ、亡くなったのじゃなくて、生きてるの?だって、お兄ちゃんたち、有名な神様なんでしょ、なんなのよ、もおわけわからない!そんでなんでいままで家開けて、どこで何やってたのよ!」
「いや、だから、ゼウスに頼んで、お前のこと守ってもらうように・・・」事代主が弁明するのだが・・・・
「え、ゼウス?なんでにいちゃんがルシフェルのこと知ってるのよ!」
「いや、俺たち、ゼウスがむかーし、日本に留学してた時、須佐之男のじい様と、親父と、親父の奥さんと、みんなで日本縦断の旅をして、その時からの仲間だったんだけど・・」
「ゼウス、お前、そういう話は・・・」建御名方がルシフェルの方を向いて聞いたが
「いいや、全然!」なんと、ルシフェル・ゼウスは、はるなの親兄弟と知り合い、むしろ仲の良い友達である事実を隠して、しれっとその家に居候していたということになる!
「ルシフェル、あんた、全部知ってたのね、なんでいままで黙ってたのよ!」
「いや、俺はちゃんと知ってたぜ、だってほら、おめえ、最初に会った時話してたじゃねえか、机の下から親父を驚かしたこととか、その後、あいつの膝に乗っかってずっと本読む親父の顔見てたって・・・」
ルシフェルは、服のポケットから一枚の写真を取り出して、優しそうな、初老の男が、女の子を膝に乗っけて微笑んでいる写真である.
「あ、これお父さん、女の子は私が小さい頃・・・・」
「あいつには、自慢の娘だったってこと、なんだろうよ、初めて会った時にそう言わなかったっけ、おめえの親父と俺は、無二の親友同士だって・・・」
「いや、ちょっと待って、なんか曖昧に、お父さんと友達だか、戦友、みたいなことボソッといっただけでしょ、そんなことあんた一言も説明しなかったわよね、なんで黙ってるのよ、嘘つき、悪魔、有史以来最悪の堕天使ー、いや違う、なんていうのそう、この疫病神!」
まもなく落ち着いた、はるなは、兄たちに問いただす.
「で、お兄ちゃんたち、これまで一体何してたの?まさか悪いことしてたわけではないでしょうね・・・それで、お父さん、いまどこで何をしているの?元気なの、お父さんに合わせて、会いたい、ねえ、ルシフェルも知ってるんでしょ、お父さん、どこにいるの、会いたい・・・・」
皆、何も言えなくなってしまった・・・・
「うえ、うえ、うえ・・・・び・・・びうぇーー」いつものはるなの大号泣が始まった.そのやりとりを見ていた、
ドクトル、
静香
海丸くん、
アテナ
愛ちゃん、健ちゃん
アポロン、
ヘルメス、
それにアレスまで・・・
皆に大号泣が伝染した.
「まあ、無理もねえわな・・・死んだと思った親父が生きている、しかも神様だったなんてな、そんなことわかったら、そりゃ感極まるは、な・・・」地獄の堕天使の首領は結構冷静に皆の心理を分析しているのであった.
学会後の騒動が、ひと段落ついて、
事代主命も、建御名方命も、久しぶりの我が家で妹の手料理を食べて、兄弟2人、「別館」に泊めてもらい、並んで休んだのだった.
隣で寝ている、事代主に、建御名方は話しかけた.
「なあ、にいちゃん、はるな、なんか、前より元気そうだな・・・」
「ああ、なんかすごく忙しそうだけどな、今の生活、楽しいんだろうな・・・」
「にいちゃん、やっぱりはるなのこと、ゼウスに頼んでよかったな」
「スースースー」いつの間にか事代主は寝息を立てていた.
「なんだもう寝たのか、まあ、ゼウス、さまさまってところか・・・」
いつの間にか、建御名方も眠りについていた.




