事代主命は、恵比寿さま
学会の予定表、
それぞれの神が、いろいろな演題を発表し、その演者の神々、あるいは信者代表などが、発表をするというのが、「七福神カンファランス」である.
ハッピー神セブン、
つまり、7人の福の神と、それに関連する、親類縁者の神々、さらに信者の発表となると、発表予定の演題数がものすごいことになりそうなのだが、今回は、学会運営スタッフの有能さでなんとか切り盛りをしていたのだった.
気になるのは、事代主命、つまり、日本の恵比寿様と、その親類縁者の神々の演題が軒並み、「取り下げ」になったことであろうか.
恵比寿・事代主命 「国家間紛争をいかに外交で解決するか.そしてさらに、インフラ整備予算を、相手国に丸投げさせる、交渉術とは」
おお、このくどい表題は、まるで、どっかの投稿小説サイトの人気小説みたいだ・・・
建御名方神 「戦争抑止の手段としての、相撲の効果について.ー私は、高天原との戦争をいかに防いだか」お、建御名方の自慢話が始まった・・・学会に何度か参加した人ならわかるネタである.
大国主命 「有能な息子に恵まれて.軍事衝突回避と、その後の外交交渉」
お、外務大臣と、防衛大臣に仕事丸投げ内閣総理大臣!(こらこら、外野がヤジを飛ばすな・・・)
須佐之男命「高天原と、葦原中国、紛争の根本原因」
(おめえが、紛争の火種で、自分でつけた火種に、さらにガソリンぶっかけて回ったのだろうが・・・・)
恵比寿さま、こういった回で話をする場合、あまり商売繁盛の話とか釣りの話をするわけにもいかない.
どうしても、
国譲りの時に、自分が高天原とした国家間交渉の自慢話みたいなことをせざるを得なくなってしまうのだ.
高天原に国籍を移した、出雲出身者を、10月には一斉に出雲に里帰りを、許可すると言う法案
出雲の主神、大国主命の壮大な神殿を建造を許可し、さらにその予算を丸々高天原に負担させる法案・・・・・・・・
その他にも、出雲に有利な数々の講和条約の条項に高天原側に合意させたのは、事代主の交渉能力、外交手腕による.
外交の神としては、その能力の高さ、そして、官僚としての自分の立場を完全に弁えて、自国に有利な、交渉に成功したのちは、完全に公職から引退して、釣り三昧の隠居生活を楽しんでいるという、まさに伝説の神である.
「ああ、恵比寿さんの講演、聞きたかったな・・・」
「おおおめえもかい、俺も、あの神様の話、なんかこう、幸運と、お金が、湧いて出てくるような、そんな話、タメになるよな・・・」
と、このカンファランスでは毎年目玉の公演なのだが・・・・
その時、会場では、ざわめきが起こった.
「おお、なんと、事代主命・恵比寿様が、会場に到着されたとのことです!」会場内にアナウンスが響いたのだ.
「おおお!」と拍手が起こった.
受付に来られた、事代主命は、なぜか、お面をつけている.
「あの、会場には、お面をつけてのご入場は、お断りしているのですが・・・」
スタッフの代表の、アテナが恐る恐る声をかけた.
「いや、私は、あの、その、ちょっと顔を出せない事情が・・・・」
そこに会場アナウンス担当の、はるながやってきた.
「あの、恵比寿先生、そろそろ講演の準備を・・・」というと、
「ああ、いや、わたしは、その・・・」と恵比寿様は、お面で隠した顔をさらに隠すように、はるなを避けるように、いなくなってしまった.
「まあ、ここは特別に、お面をしたまま、講演をしていただくしかあるまい」とルシフェルが言うのでそのような運びとなった.
座長が、案内をした、今日は、恵比寿様、特別な事情があり、顔出し、NGということで講演をされますので皆様ご了承くださいませ・・・
恵比寿様の講演である
私は昔は、葦原中国というところで、外交官をしておりました・・・
父は、大国主命、弟の建御名方神は、当時防衛大臣で、一緒に国譲りという国家プロジェクトを進めさせていただきました・・・・
「私たちの交渉の要点は、いかに、高天原勢力に武力を使わせないか
いかに、彼らの稲作技術を、我が国に導入するか、我が国をインフラを、彼らの予算で整備させるか、こういった問題でした・・・」
彼の講演は次第に熱を帯びて、振り上げた手が、お面に当たって落としてしまった.
「は!」と演者、
そしてルシフェルも「は!」とした.
はるなは「は!」とした、
「え、お兄ちゃん?えええ!!!」
なんと、事代主命、はるなの兄、楠本事代氏ではないか!
スタッフ一同も「え!?」である
そう、楠本事代は、外交官として、海外の大使館に出張ということになっていて、長く家を開けていた.今どこに赴任しているのかもよくわからないということだった.
もちろんはるなは、自分の兄が、日本の神話で有名な、事代主命であるということなど今のいままで知らなかったし、誰も教えてなんかくれなかった.
建御名方命は、大使館付きの武官ということになっているが、それもはるなの兄の1人・・・・・
とすると、はるなのお父さん・・・・・
はるなのお父さん!
大国主命!
「えええ!」会場中のスタッフから驚愕の声が起こり、しばらく治らなかった.
はるなのお父さん、楠本先生は、ドクトルの恩師でもあった.亡くなったと聞いていたが、神々の1人だとすると、今もどこかで・・・・
また、別館近辺では、非常にややこしい、物語が始まろうとしていた・・・




