詳解・ティタノマキア
かなり前の作で、ティタノマキアについてちょっとだけ解説した.それもああでもない、こうでもないと散々もったいつけて、その概要だけちょろっと、二話にわたって書いただけである.
ここでふと疑問に思わないだろうか?オリンポスの12神の中で、子供世代以降の参戦はあったのだろうか?と
アテナ
アポロン
アルテミス
アレス
(アフロディーテ)
ヘパイストス
ヘルメス
ディオニソス
・・・・・・
一度も名前が出てこなかったし、誰と誰が、どこでどのような戦いをしたか、ということが書かれていない.ティタノマキアを検索しても上記の神々いわば、オリンポスの子供世代の参戦については記載がないのだ.
「で、結局、ティタノマキアに、アレスさんやら、アテナ、アポロン、ヘパの親父さんは参戦したのですか?しなかったのですか?」ドクトルは、ゼウス・ルシフェルと、デメテルの母さん、ヘスティアのおばさんに直接聞いてみた.
「おお、ドクトルいいところに気がついたな、実は、俺たちの子供は、ティタノマキアの頃にはまだ生まれてねえ、ってことになっている.だから、開戦前も、12神揃って、神議という形で軍議はなかった・・・」
「そもそもね、あの戦は、誰が敵で、なんのために戦ったか、今一つわかりにくい戦いだった・・・」デメテルのお母さんが回想する.
「私たち、親父、つまりクロノス王からの抑圧からなんとか逃れたいってのがまあ、言ってみりゃ、戦いの動機なんだろうけどね」ヘスティアおばさんの意見である.
ティタノマキア、対立の構図である.
「オリンポス対ティタンの争いなのだが、そもそもティタンの神々の長兄、オケアヌス様は、はなっから、参戦拒否を表明していたし、女神様連中はほぼ参戦しなかったと言っていい」
オリンポスの仲間
ゼウス
ハーデス
ポセイドン
デメテル
ヘスティア
ヘラ
の兄弟姉妹の神々に加えて、キュクロプスに、ヘカトンケイル
ティタンの味方
クロノス
(コイオス?)
(クレイオス?)
(ヒュペリオス?)
イーアペトスとその息子たち
()に?は戦争に参加した記録がないからである.ティタノマキアでどういう働きをしたか明確でない.結果として、戦後にどのような罰を受けたかわからない神々という意味である.そもそも罰を受けるようなこと、参戦をしていないのではないかと言う考えである.
ティタン族の姫君たち、
レア様
ムネモシュネ
テミス
ティテュス
ポイペイ
テイア
は、軒並み、不参戦である.
じゃ結局、オリンポスの男の神々と、ティタンの主力、イーアペトスとその息子たち、すなわち
アトラス
メノイティオス
プロメテウス
エピメテウス
兄弟たちと、オリンポスの3兄弟と、その同盟者の、キュプロプスと、ヘカトンケイルの戦い、だったのだろうか?
単にそれだけの戦い?
いつはてるともない戦争が、10年続いたとあるが・・・・
しかも、天地をひっくり返すような激しい戦闘が続いたともある.
10年続く戦争というのはかなり、長い戦争である.日本で10年以上続いた戦、
応仁の乱以外には見当たらない.
「どういう対立の構造だったのか、考察してみる、価値はありそうですね・・・」
「結局、取り巻きと、さらにその下についている、旧勢力、新興勢力の対立、という構図が自ずと見えてきそうだろ」ゼウスは答えを知っていて教えてくれない先生の如しである.
対立の構図を、ティタンの神々と、オリンポスの神々とするとよくわからなくなるが、クロノス派と反クロノス派、中立派に分けて考えると、よくわかるかもしれない.
まず、クロノス派
クロノス
イーアペトスとその子供たち.すなわち、アトラス、メノイティオス、プロメテウス、エピメテテウス、の4兄弟
中立派
オケアヌス
コイオスとその奥さんのポイペー.そもそも、コイオスは、何をやったかが伝わらない神様である.そしてその子供の、レトは、ゼウスの子供(アポロン、アルテミス)の母親になっている.
クレイオスも、実際にティタノマキアに参戦したという記録どころか、どういうことをした神かという記録が一切ない.その子供たち.ポントスの娘、エウリュビアーとの間にできた、アストライオス、ペルセース、パラースもゼウスの軍勢と戦をしたという記録がない.アストライオスは、風と星のお父さんの神で、戦の匂いが全くしない.実際に従兄弟の、イーアペトス家のアトラスたちのように主力で戦ったと言う記録はない.
ガイアと、ウラノスの子供の中で女神についてみると、
テミス
ムネモシュネ
テテュスは夫のオケアヌスとともに中立
反クロノス派はもちろん
レア様である.と言うかまさにオリンポスの神々の後ろ盾のような神様だ.
こうしてみると、クロノスとゼウス一派の戦いというよりも、むしろ、イーアペトスとその息子たちとゼウスの戦いのように見えなくもない.
アトラス、兄弟、その下についていたのは?
メノイティオスは、ゼウスの雷霆で撃たれて、敗れたのちはタルタロスに幽閉されたと記録にある.
プロメテウスは人間を保護した神?
人間に火を与え、
栄養価の高い肉をゼウスを騙してまで与えた.
そもそも人間を泥と水から作った神様?その命を吹き込んだのは、ゼウスの娘の、アテナである.すると、後世?
するとオリンポスの神々と、プロメテウスたちに率いられた人間との戦い?
そんな対立の構図すら見えてくるのは、読み過ぎだろうか?
「いやいや、だから人間ができたのはティタノマキアが終わってかららて・・」
おっと新潟弁が出てしまう・・・
ティタノマキアで、罰せられたのは、
アトラス
メイノティオス
・・・・・・・・
しかし、プロメテウスと、エピメテウスが戦争犯罪者として、タルタロスに落とされたという、話は、ヘシオドスにも、アポロドーシスにもない.
あるいは、ティタンとゼウスたちの戦争が終わってから、残党のプロメテウスが、さまざまな陰謀をろうして、ゼウスを困らせようとしたか?
「神々の時間、これを全部人間に与えて、神々には制限を加えて、人間を無限の中で生きられるようにする・・・そのための戦いだったとしたらかなり意味の深い戦争ということになりますね.でもするとオリンポスの神々は、人間に死すべき運命を強制した神々ということになってしまう.でも神話の中の神様たちは大体において人間に対しては厳しい態度で当たりますよね・・・」ドクトルの意見.まだ、ティタノマキア、戦争としての対立の基軸が見えてこない.
プロメテウスとゼウスの頭脳戦、フェリックス・ギラン『ギリシア神話』に書かれているらしいが、
「そんな本、ここにはないよ、どっかで探してこないと・・・・」ドクトルはいう
別館の図書室にはない本である.
何と何が、なんのために争ったか?
しかも10年という長きにわたって.
ティタノマキア、
10年続いた戦争というと、
トロイ戦争.
ギガントマキア
応仁の乱
・・・・・これほど、泥沼の戦争をしてまで、何を得たかったか?
しかし考えてみれば、何がしたくて戦争を始めたか、という問いがそもそも愚問なのだろうが.冷静に考えれば、戦争はむしろ、しないように知恵を絞るのが普通だろう.
「神」と「人」は何をもって区別されるか?
神々と人とを区別するための基準?
神々の時間を解放して、人には有限の時間の中で、過ごしてもらいましょう・・・・
なんかそういうことを考えると、人間は、神話の話だと手放しに喜べませんね・・・
プロメテウスに課された罰、永遠に肝臓を食われる・・・永遠の命がある彼は、死にもしない
終わることのない無限の責め苦
永遠を与えられない時、人の命は、有限となる
そして、人には、その生の終わりを受け入れさせる・・・
キュプロプスとヘカトンケイルの懐柔策・・・
アンブロシアと、ネクタル.
これを飲み食いすれば、神々の仲間入り、「不老不死」「永遠の時間が得られる」
ティタノマキア、敵は、プロメテウスに率いられた、人間?
そして、クロノスは、子供の神々に与えるべき時間を、人間に与えようとした?
そういう戦争であったのかもしれない.
「ひゃー、こうなると、なんか訳がわからなくなりますね・・・」ついに静香が悲鳴を上げた.
「ほんとにもうこうなると収拾がつきませんね」とドクトルも同意した.
「しかしよ、もしそうだとすると、時間を人間に与えて、クロノスはいい神様みたいで、俺たちは、その大事な時間を人間から取り上げた、横暴な神様みたいになっちまう・・・
それも、オリンポスの神々、全然いい神様じゃないみたいになんねえかい」
ゼウス・ルシフェルは、彼らの立場で発言である.
「民族同士の争い?でも、クロノスと、オリンポスの兄弟、親子ですよね・・・」
静香は言うが.
「すると、ヘラ様以外も皆、クロノスの養子?クロノスに征服された民族の人質の王子とか王女だったとか?」ドクトルの仮説である.
そこにいるみんなは、「うーん・・」と頭を抱える.
ゼウス・ルシフェルだけが楽しそうにニコニコしている.でも彼は、答えを教えてくれない.
どうやらこの議論、結論を急ぐと泥沼になりそうである.




