雷を剣の如くに振るう!
大ナマズを制圧したのち、武甕槌と、出雲神々とゼウスが、皆が車座になって、「談笑」している.
高天原と、出雲の神々が、「談笑」(?)
そお、
敵対する国のもの同士であっても、同じ目標に向かって、一つの仕事を成し遂げたとき、普段の対立のことは、いっとき忘れ去られる.
「それにしても、おめえ、すげえ怪力だな、見たところ、そんなに弱っちそうなくせによ」武甕槌が、ゼウスの方を見て惚れ惚れしたぜ、というようにいう.
「おうよ.高天原のよ、こいつは異国のもので、俺が、旅に連れ出したんだ.流石に俺が見込んだやつだけあるぜ!」ゼウスを鍛えたのは、俺様だと言わんばかりの、須佐之男命である.
別に腕力を鍛えてくれたのは須佐男の薫陶によるものではないのだが・・・
彼に教えてもらったのは、草原の昼寝と、草花たちの精霊とおしゃべりしてろ、ということだけの気がする.
「いや、私もびっくりですよ、ゼウスがこんな怪力だったなんて・・・」大国主は異国の友を畏敬の目で見る.
「インドの、修行、砂漠をラクダを引っ張って、歩いたこと、漕ぐのをやめたら、海に流される、日本海の必死の航海・・・知らないうちに、腕力だけは鍛えられたってことなのでしょうか?」ゼウスはいつの間にか怪力になっていた自分の体を不思議に思う.
確かに、ゼウスの体を覆うのは、別にムキムキに盛り上がった筋肉ではない.
ゼウスの両脇から、須勢理毘売と建御名方が、腕を触ってみる.
「うわ、細いけど、まるで、鋼だ!」建御名方が、叫ぶ.
「うわ、ほんと、硬くて、素敵・・・お父様みたいにムキムキでみっともなく盛り上がってる筋肉とはえらい違い・・・・」と須勢理毘売が、腕から、肩、大胸筋まで、どさくさ紛れに触りまくっている.そのほおは少し赤い.
「おめえ、なよなよのやさ男が好みじゃなかったっけ?」須佐男が我が娘に言うが.
「お父様みたいにブヨブヨの筋肉とは違うは・・・ねえ、ゼウスさま・・」と言って、ちょっと色っぽい目でゼウスを見た.
ゼウスはちょっと顔が赤くなった.
すぐにハッとして、ゼウスは、武甕槌神に聞いてみた.
「あなたは、最初、ナマズを押さえつける前に、雷を使いませんでしたか?確か剣のように、雷を縦横無尽に操っておられたように見えましたが・・・」
「なんだ、おめえ、見えたのか、俺の雷の剣は電光石火で、普通のやつの目には見えない.それを見切ったおめえ、やっぱり只者ではないな・・・・」
ゼウスも雷を用いる.しかし、武甕槌のように、雷を剣のように自由に操るほどの域には達していない.
「あの、教えてください、あなたの技、雷を、剣のように自在に振るう、その技を・・・」
「なんだ、そんなことかい、いいぜ、教えてやるぜ、出雲奴らも、知りたいか?俺の雷剣の奥義・・」
出雲神々は、「ゴクリ」と唾を飲んで、頷いた.
そして、喉から手が出そうな感じ、まさにこのことなのだろう.
仮想敵国の主戦力、軍部の最高指導者が、最高の軍事機密を教えるというのだ.
ぜひ聞きたい、と思うだろう.
国譲りの前の神々のおおらかさを物語る逸話なのだろう.
「おーし、じゃ、皆、教えてやるぜ、広いところがいいか.砂浜で、練習しようぜ!」
松林、広い砂浜.
武甕槌神は、神剣「布都御魂」のつかを砂浜に突き刺して、鋒を上にして、なんとその上にあぐらをかいて座っている.
皆は、それをみた、皆は、キモを潰す.
「え?!」という感じである.
切先と、武甕槌の尻の間には、ビリビリと放電しているから、どっちかがプラスで、どっちかがマイナス、なのかもしれない.
(尻と、剣、反発すれば、アリかな?)
彼のこのパーフォーマンスは、いろんなところで、映像と共に、語られることが多い.
弟子たちの反応を気にしないで、彼は実習の講義を続ける.
「まず初めに、雷を起こすところからだ・・・
できるか?」
周りの静電気を集めて、小さな雷を作ることができたのは、
ゼウスと、少彦名だけであった.
他の神々には、静電気から小さな雷を起こすことすらできない.スクナヒコナも静電気の塊を起こせるには起こせるのだが、いかんせん、体が小さすぎて、結局はドアの静電気くらい、あるいは、下敷きでセーターを擦って髪の毛を浮き上がらせる程度の電気しか起こせない.
ゼウスが両掌に、「ビリビリ、ばちばち・・・・」と小さな雷を何本か作っているの
を見て、
武甕槌は、「お、異国のやつ、おめえ、やっぱり只者ではないな、雷、できてるじゃねえか、よーし、次は第二段階だ、次に手の中の稲妻、外に逃すんじゃねえぞ・・・」
「あ、はい・・・」ゼウスは油断すると、自分の両手から逃げ出しそうな、雷の子供たちを、なんとか逃さないように、注意しつつ、武甕槌の説明を聞く.
「おーし、そこから、地面の気と、空の気を集めて、その両手の中の雷に集中させろ・・・これが奥義の最重要項目だ・・・・」
「・・・・・・」
ゼウスは心の中で念じて、友達の雪割草やら、桜、空を漂う、精霊たちに語りかけ、その力を集めることをイメージした.
(う?なんかわかる、雪割たちが、教えてくれた、彼らの力、こうやってあつめるのかな?)
全身から、精霊のエネルギーを吸収して、両掌の中にある、雷の子供たちにその力を送る.
両掌のビリビリした感じはどんどん強くなる.皮膚を通して、中の光がそとにもれてゼウスの両手は妖しい光を放ち出した・・・
「おお、そんな感じだ、いいぞ、そこから雷の子達を逃すんじゃねえぞ・・・」武甕槌がいう
手の中の雷の子たちは、どんどん大きく育ち、抑えきれなくなった頃、
「よし、その雷の子を、剣を振るうように解放してみろ!」
剣を振り下ろすように、ゼウスは、雷を手のひらから解放した.
「ピカ!」「ゴロゴロ、どかーん!」
大音響と、閃光が起こり、
解放した、雷の通り道、海辺の松の林、枯れ木や、岩が、綺麗な切り口で、切断されていた.
「おお!」皆が驚嘆の声をあげていた.
「まずまずだな、あとは思ったところを切断できるように、雷の軌道の精度を上げること、だな」
武甕槌は、奥義の伝授を冷静にしているようで内心、これほどまでに早く、雷の剣の奥義を会得しようとしている、ゼウスに対して、皆と同じく驚嘆していた.




