神々の、「巨大地震対策」
ゼウスと大国主一行は、箱根の山を越えて、小田原、湘南の浜を通って、江ノ島の近くまで来た.
祀られている神々.
辺津宮 田寸津比賣命海・水の女神
中津宮 市寸島比賣命芸能・財福(弁天さま)
奥津宮 多紀理比賣命海上守護
「ま、女神の三柱は、一応俺の娘ってことになってるがな」須佐男の意見であるが、宗像三神とはだいぶ形が変わって、他の国の神とも混同されて、だいぶ元の神様とは、違った形になっているらしい.
弁財天はそもそも、インドのブラフマーの奥さんである、サラスバティーと同じだと言われている.
「日本の弁天さま、私、元のインドの女神、友達のブラフマーの奥さんですね.」ゼウスは旅で得た、知識を披露した.
大国主、須佐男、少彦名、事代主、皆が「え!」と驚いた.
「なんでも、ブラフマー、ご当地では、変わり者扱いで、美人の奥さん、全ての方向から、見れるようにって、顔のお面を作って、それに鏡のメガネをつけて、4方向見れるようになんて、意味がわからないですよね.インドの友達のシヴァってのが、頭の上にもついていた顔を、気色悪い!なんて、爪で払い除けてましたけどね.」
「ほお、その奥さんというのは、美人だったの?」大国主が聞いてくる.
彼は、須勢理毘売に横からつねられている.
「おう、そんでその奥さん、どうだったんだ?」須佐男がかなり前のめりになって聞いてくる.
「ああ、どうだったでしょうかね、あまりジロジロ女の人の顔見るのは失礼なのかなって、よく見なかったのですけど・・・」
「なーんだ!」
「ちゃんと見てないのかよ!」
とみんなになじられた.
「おめえは、そういうことはちゃんとよく見とけよ!」舅殿に改めて指導された.
一行は、江ノ島には寄らないで、三浦半島から、海路、東京湾(東京遷都の前はなんと呼ばれていた?江戸湾?じゃ江戸開府の前は?)を渡って、房総半島の先端についた.
鴨川のあたりから、海沿いを通り、九十九里浜の砂浜を北上して、銚子の岬から、常陸国に入る.今のように利根川はここには流れていないから、陸路をそのまま、鹿島の近くにまできた.
ここに来るまでに、何度か地震を感じた.
「この辺には、高天原の武甕槌神が治めているところですね・・・」事代主がちょっと顔を顰めて、話題にした.
「あんにゃろ、いつも、なんであんなに威張ってるんだ、なんかあいつの顔を思い出したら、腹立ってきたな・・・」建御名方も応じる.
武甕槌神.「建御雷神」ともかく.
雷と地震の神と言われる.
後に、出雲勢力に「国譲り」を強硬に迫った神である.さらに、神武天皇の東国遠征にも従った.
甕槌、つまり、稲妻を剣を振るうように、自在に操り、高天原最強の軍神、剣の神と呼ばれる.
建御名方との格闘技対決で勝利し、相撲の神としても敬われることになる.
迦具土神はその母である、伊邪那美命を、生まれてすぐに焼き殺したと言われる.伊邪那美命に重症のやけどを負わせた.怒ったイザナギに切り殺された.滴る血から、さまざまは神々が生まれたとされる.
武甕槌神も、その1人である.
いかにも血の気が多そうな神である.
「あいつには会いたくねえな・・・」と息子たちが、いうのを聞きながら、
大国主は、「でも、民の人気は高いと聞くが・・・」
話をしながら、旅を続けているときも、やや大きめの地震が数回あった.
一際大きな揺れがきて、、まっすぐに歩けないほどであった.
大国主は、その場に尻餅をついてしまった.
遠くで山が少し崩れ、地割れが起こっている.
大きな揺れののち、大音響とともに、鹿島の方角に、雷が落ちたようである.
ゴロゴロごろ、ピカ!「ドーン」
地震に伴う、地鳴りとは違う大音響がした.
「うーリャ、こら、暴れるなこら!」
何かと格闘している、大男がいた.
よく見ると、大きなナマズを男は押さえつけようとしている.
「おい、そこの、旅の人、手伝ってくれ、このナマズを・・・」
ナマズの首根っこを捕まえて、後ろを振り返った、男は、驚きの表情をした
「あれ、おめえら、出雲の・・・・」
「あ!武甕槌!」建御名方神は、拳を振り上げて、殴りかかろうとする.
「いや、待て待て、貴殿、今、地震ナマズを抑え込まれておられるのか・・・」大国主が、尋ねる.
「おう、そうだ、見ればわかるだろ、そんなとこ突っ立ってないで、手を貸せ!」
「お、おう・・・」と、須佐之男命が、武甕槌のところに走り、一緒になって、大鯰を押さえ込もうとしている.
「おい、そこの若いやつ、そこに転がっている大岩を、ちょっとこっちに放りは投げてくれ.」
巨大な岩石である.おそらく、大きな牛が10頭分くらい、
いや、牛小屋くらいの大きさ、と思われる.
ちょっとやそっとで投げ飛ばせるものではないようだが・・
「あ、これですか?どうしましょうか、投げればいいんですかあ?」
一見、細身で力は弱そうにも見えるゼウスが、巨大な石を涼しい顔で軽々と持ち上げて、ナマズの方に、片手で投げて見せた.
(ヒュー)
飛んでくる、巨石を見て、武甕槌も須佐男も、「は!」と、大鯰から離れた.
その直後、
(どすん!)
と音を立てて、巨石は、ナマズを押しつぶし、その動きを止めた.
「え?」
皆があっけに取られた.
荒ぶる神である須佐男さえ、目を点にしてゼウスを見た.
すぐに我に帰った、武甕槌は、「あ、今だ!」と大石の上から、巨大なナマズを押さえ込んだ.
大地の揺れは弱まり、やがて治った.
「おい、出雲の奴ら、助かった.癪に障るが、今日のところは、礼を言っておく.特にお前、見たところ異国のもののようにも見えるが、常世の国のものか?
それにしてもお前、すごい力だな・・・」
「いやーそれほどでも・・・・」
長い旅路と、各地の神々との修行でひ弱なゼウス、いつの間にか、日本の怪力剛力剛腕の神々を驚かすに足りる、「腕力」を備えていたらしい.
後世、武甕槌が上に乗って、巨大ナマズを押さえ込んだと伝わる、
鹿島神社の「要石」
これは、異国の神である、ゼウスが、軽々と投げ飛ばしたものである、ということは誰も知らない.




