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花を追う、神々の旅


春の花、代表は、雪割草と、桜、とドクトルは勝手に思っている.


日本列島、西から東、南から北に向かって、開花の前線は進む.大まかな時間の経過は以下の如しである.


3月上旬 吉野 雪割草

3月末  吉野 桜


3月中旬 糸魚川 雪割草

4月上旬 糸魚川 桜


4月上旬 長野山間 雪割草

4月下旬 長野山間 桜


4月中旬 越後国、西川町 雪割草

5月初  西川町 桜


須佐之男命の勧めで、異国のゼウスにぜひとも、、日の本の国、自慢の満開の桜を見てもらおうという試みである.


時は、3月末頃?旅の出発の場所は、九州は大分あたり?あるいは出雲?

この時期、この場所では、桜はすでに終わっていて、ゼウスには見せられないので、まだ咲いていない地域、桜の開花の前線を追いかける旅ということらしい.


吉野の桜は盛りがすでに終わっている.しかし、それでも山が、全てこれ桜の木である.盛りが終わっても、見るものを圧倒する景色である.


ゼウスは、「わー」と感嘆の声をあげるのみである.

桜が満開のところ、それを追って、一行は、北へ、東へ旅を続ける.


建御名方神の母は、高志沼河姫.糸魚川には、この母子の銅像が立っている.しかし、糸魚川の桜はやや早く、ついた時にはすでに散り始めた頃である.


越後国から一旦信濃国に入り、さらに北に東にゆくとは弥彦山の手前、現在の長岡市の近く、西川町がある.ここは雪割草の自生地が近く、さらに桜の満開が5月の初旬である.


「あそこなら満開の時期、間に合いそうだ・・・」大国主は少し安堵した.


ゼウスはよく意味がわからないが、皆の心使いに感謝している.


そしてこの国に咲く花々、彼は気に入っている.大陸や、クレタにはみられない可憐さがある.


特に、山の奥、冬の終わりに積もった雪を割って茎を伸ばして花を咲かせる


「雪割草」が彼のお気に入りの花である.


長野から越後の山奥に生える花・・・

雪が残る、山の中、苔の、間から、花の茎を伸ばしている.まるみを帯びた、三角形の各辺がくびれたような葉っぱ?(それゆえ、この花はミスミソウとも呼ばれる.)


花は、白やら、薄ピンクやら、紫やら、ピンクの中央に白い筋の入ったものやら・・・


一箇所に固まって、花を咲かせる.

そして、何やら、ひそひそと話をしている.おしゃべりな花だ.


「少し私から話しかけてみてもいいでしょうか」ゼウスが須佐之男命や大国主に恐る恐る申し出る.


「おおよ、もちろんでえ!」と須佐之男がいい、大国主も優しくうなづく.


皆で、花たちが群生している近くに、座禅を組むように、座って、しらばく瞑想する.


そして花たちの声を聞く


ゼウスの生い立ち、これまで歩んだ、旅の話、全てを花たちに話す.

花たちも、日頃の苦労を物語る.

夏の間、森の葉が少ないと直射日光で熱い思いをすること、

雪がないのも寂しいが、大雪も重くて困りもの・・・


猪たちは、自分たちが生えていようが、お構いなしに野山を駆け回る、

森の中、どんぐりが少ないと、熊たちが、あちこちウロウロして、

踏みつけられて大変であることなど


「私たちは、雪割草・・・」

「深い地の底から、深くつもった雪のを払い除けて・・」

「春になって出てくる花・・・」

「辛い冬は、雪の下でじっと堪えて・・・」

「雪を割って、春に咲く・・・・」

「春になって、花を咲かす・・・」


「ところで、あなたは、異国の人・・・」

「あなたにも、私たちの声が聞こえるの?」

「この国は気に入った?綺麗な国でしょ・・・」

「この国、綺麗な国でしょ・・・」

「でも、苦労はどこでもあるはよね・・・」

「異国の人・・・お願い・・・」

「私たちと友達になって・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「私たちを守ってほしい・・・」

「私たちの、お父さんになって・・」

「そして、私たちを守ってほしい」

「私たちの声を聞いてほしい・・・」

「そして、私たち皆の力を・・・」

「あなたに預けても良い、私たちの力をあなたに上げる・・・」


雪割草たちの言葉、ゼウスにははっきりと聞こえた.


そしてゼウスは雪割草たちに訊ねた.


「どうすれば、私はあなたたちを守れるのか、どうすれば、あなたたちはその力を私に与えることができるのか・・・」


知らぬうちにゼウスは、森の中で大の字で眠っていた.

大国主も、須佐之男命、スクナヒコナも、皆眠っていた.


彼らに、雪割草たちは静かに語りかけ、その音なき声で包み込んでいた.


次の日、いよいよ、桜の並木を一行は見た.


ちょうど満開の桜に間に合った.

ゼウスに大国主、須佐之男の一行は、しばし声もなく、満開の桜を眺める.


皆はポカンと口を開けて、言葉もなく、見惚れるだけである

・・・・・・・・・・・


それを見計らったように、桜の花びらは音も無く散り始めた.

風に吹かれた、桜の木は、まるで別れの手を振るように、

その花びらを風に乗せて、ゆらゆらと散らす

そして、少し離れた川の表に、その花びらを落下させる

花のたよりは、川の水に運ばれて、どんどん下流に流れていく


「おう、ゼウスよ、これがこの島国の俺たちが、自慢の花だ、みろよ、こんなに潔く散る花、他にあるか?俺は、こんな生き方をしたい・・・・」


須佐之男のこの言葉の意味がゼウスにわかるのは大分後のことになるのだが.


「おほほほ・・・今年の私たちはこれまで・・・また来年お会いしましょう

それまでごきげんよう・・・」


頭の上では、桜たちがそういうのを、ゼウスにははっきりと聞こえた.

彼のボサボサの髪の毛に、いくつかの桜の花びらが絡まっていた



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