大穴牟遅神(おほなむぢのかみ)
とは、大国主命のことである.
古事記の記載である.
故、この大国主神の、兄弟、八十神坐しき.然れども皆国は大国主神に避りき.避りし所以は、その八十神、各々稲葉の八上毘賣を婚はむる心ありて、共に稲葉に行きし時、大穴牟遅神に袋を負わせ、従者として率て往きき・・・
「私が、兄たちの従者として、因幡国に行く時の話さ・・・」
古事記の話を大国主とうさぎの気持ちになってママが読み上げる.
古文を現代文に同時通訳である.
「私は、兄たちの従者、召使いとして、大きな荷物を担いで、因幡国に行った.八上ひめと結婚したいという兄たちについていったのだ」
行列の先頭の方の、兄たちが気多岬を通った時、身体中傷だらけのうさぎが、倒れていた.痛がるうさぎに、兄たちは、「塩水につけて、お日様の光で干したら治るよ、その程度の傷は・・・」というので、これはありがたいとうさぎは、早速その治療法を試してみた.ところが、傷口は沁みて余計に痛くなる.行列の最後に通った、大きな袋を担いだ、大穴牟遅神が、うさぎに声をかけた.
「おや、うさぎさん、何をそんなに泣いているのだい?」
うさぎはこたえた.私は、隠岐の島から、この稲葉の地に、渡ろうとして、サメの大群を騙して、あんたたちの数より、私の仲間の数の方が多いよ、と威張ったのです.
「ほうほう、それで・・・」
じゃ、海の上に並んで、みて、私が順番に数を数えてみますから・・・・
隠岐島から稲葉に至る、長い、サメの行列の上を私はぴょんぴょんと飛んで渡り、数を数えるふりをしました.
「そして、サメの行列が、終わる頃に、余計なことを言ってしまいました・・・」
「ほお、なんと?」
「おバカなサメさん、私は仲間はいなくて一匹だけですよ、隠岐島から稲葉に渡るのに、あなた方を騙しただけですよー!」
すると怒ったサメたちにぼこぼこに痛めつけられた、ということらしい.
「あ、ああ、うさぎさん、無茶なことをした物です.サメたちに食われなかっただけでも儲け物ですよ」
それで、あなたのご主人様?行列の前を歩かれている方々に、傷の手当ての方法を教えていただいたのですが・・・
「ですが?・・・」
「余計に傷が痛くなるばかりでした・・・」
「まあそうだろうな、私の兄たちはその辺いい加減というか、医術の心得が全くと言っていいほどないからな、それに人の痛みに対して鈍感な人たちだ・・・」
どれ、海水なんか塗ったら、沁みるし、太陽の光で乾かしたりなんかしたら、傷口が乾燥して、余計に痛くなるばかりです.
真水で綺麗に塩を落として、傷口を洗って、蒲の黄色い葉っぱを敷き詰めて、その上でゴロゴロ転がっていると治りますよ
と大穴牟遅神は、丁寧に治療をしてくれた.うさぎの傷は綺麗に治りました、とさ.
「しゅゴーい、おおくにぬし、お医者さん・・・パパみたい・・・」愛ちゃんにとってはパパが最高のお医者さんである.
「そうだね、ドクトルと同じくらいすごいかも・・・」健ちゃんはその辺ちょっと大人でドクトルにも気を遣ってくれる.
因幡の素兎の話である.このうさぎさん、うさぎの神様で予言の能力がありました.
「あなたのお兄さんたち、誰も、八上毘賣とは結婚できません.いやしい荷物持ちの召使いみたいに使われているあなたが、八上毘賣と結婚するでしょう・・・・」
その通りになり、お兄さんたちの、大穴牟遅神いじめ、というか、迫害が始まった
(岩波文庫 黄色表紙 「古事記」 倉野憲司校注)




