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インダス川の上流地帯

カイバル峠を越えた、ゼウスと、二頭のラクダは、今でいうところのパキスタン、インダス川の上流域あたりに入った.


ちょうど小麦が実る頃・・・・


「のどかな、風景でガスね・・・」ラダーがいうと

「そうだね・・・」とゼウスも同意する.

「あっしらが生まれ育った、砂漠とはえらい違いでさ・・・」クダーも見知らぬ風景の感想を述べる.


インダス川の流域は、4大文明が発祥しただけあって、豊かな穀倉地帯である.


インダス文明が1000年以上前にアーリア人の侵入によって滅亡して、いわゆる、現地のトラビダ系と、インドヨーロッパ語族のアーリア人の混血が進みつつある?


あるいは、ヴェーダの教えから見るように、混血は進まずに、印欧語族系と、原住民系の分断は、残ったままで、現在に至るということなのかもしれない.


歩いている人を見ると、皆肌の色は黒い.青黒いという、表現が適切かもしれない.

ヴェーダに出てくる神々の肌の色も、青黒いという表現が多い気がする.


何人かすれ違った、現地の人たちは大体、青黒い肌の色だった.皆、ゼウスの顔をジロジロみて、ひそひそ話をしながら、通り過ぎていく.


ゼウスたちが進む先から、これも色の黒い若者らしい、男が走ってこちらにやってくる.近づいてきたところを観察すると、変わった格好である.


まず、頭には四匹のコブラを象ったような髪飾り、

きらきらの装飾をした衣服

背中には背負子?ランドセルのように担いでいるのだが、傍から腕のような突起が二

本出ている.左の「手」には法螺貝、右の「手」には白い輪っかを「握って」いる

本来の彼の手には右手に棍棒、左手には、蓮の花?を持っているようである.


息を弾ませて近づいてきた彼は、ゼウスに向かって話しかける


「お前は、アシュラ党のもんか、それともディアウスのお使いか?・・・・

おめえら、どっからきた?」


「ああ、私たちは、西の方から、ヘラスの国、クレタ島から、シリア、イラク、ペルシャ、アフガニスタンを通ってずっと旅をしてきた・・・」


「何?ヘラスの国?すると、お前たちは、ディアウスの方々のお使いか?」

「はあ、よくわかりませんが・・・・」


若者とゼウスが押し問答をしている時、近くで、悲鳴が上がった.


麦の畑に族が侵入したらしい.刈り取られた麦の俵を、荷車に積んで持ち去ろうとする、盗賊の一団の襲撃のようである.


「あ、すまん、あっちが大事だ、ちょっと待っててくれ・・・」

と若者は、盗賊の方へ棍棒を振り回しながら、突進していった.


「ああ、彼一人で、盗賊をやっつけるの大変かもしれないね・・・」

とのんびりとしたゼウスは、

「ねえー、ラダーとクダー、ちょっと背中貸してもらっていいかな、さっきの彼、なんか悪い人でないみたいだから、なんか手助けしたくなったんだよね・・・」


「ほい、旦那、そうこなくっちゃ・・・」


ゼウスは、ラダーの背中に跨って、若者のあとを追って、盗賊団の方に向かった.


しかし、ゼウスは、武器を何も持ち合わせていなかった.鉄のナイフは、ミカエルに取り上げられて没収されたままで結局返してもらえなかった.


たいまつに使う、木切はもう使い切ってしまった.そろそろ補充しておこうかなと思っていたところである.


しかし夢中で駆けつけて、気がついた時に盗賊たちは皆気を失って倒れていた.

先程の若者が、捕まえた盗賊の手と胴体を縛り上げているところである.


その前に何度か、閃光が大音響とともに光ったようにも感じたが・・・

ゼウス自身はよく覚えていないのだった.


若者がゼウスに近づいてきて、丁重に礼を言う.


「いや、旅のお人、助太刀いただいて、助かりました、それにしてもすごい、雷を操り、賊をやっつけるとは・・・・」


「はあ?」ゼウスは、雷電を発動して、悪者を倒したらしいのだが、今回も無我夢中で、自分が何をしたかよくわからなかったらしい.



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