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俺とみんなと開城

あけましておめでとうございます(今更)。

お久しぶりです。


今年も懲りずに、気が向いたら投稿していこうかと思います。


それでは本編、どぞ。


薄暗い道を歩き続けてどのくらいだろうか。

肉体的疲労は無い。

恐らくはそれほど長い距離では無いのだろう。

だが、精神的疲労は募るばかりだ。

敵に示された道を通るなんて、とてもまともじゃ無い。しかし、それも二度目ともなれば恐怖は薄らいでしまう。

精神的疲労の原因はそれだった。

緩まっていってしまう緊張を強く保ちながら、どことも知らない場所をひたすらに歩くというのは、実際にかかっている労力を倍以上に感じさせてしまう。


「……今のところ、ぐるぐる同じ道を回ってるわけしゃなさそうでっすね」


「時間もそれほど経っていないな」


先頭の俺とセラについて来る形で歩いているフタとナリに頷きつつ、更に進んでいく。

リューの言っていた事を信用していないわけじゃ無い。彼女のあの言葉は本心からじゃないと出ない筈だ。

けれど、あの部屋を誰かが監視していた可能性は残ってしまう。

……されていた場合、リューはどうなるのかとも考えたが、[武具類を託す]までが監視者の想定していた行動だった場合、咎められる可能性は低いだろう。

あるいは、彼女の性格をよく理解している人物なら、やはり咎められる可能性は低い。

だが、これは俺たちが気にするべきでは無いのだろう。

この通路を抜ければ敵の本拠地だ。

余計な思考は鉄塊となって足を引っ張るだろうから。


「……ルフトさん、あそこ」


隣を歩くセラに肩を突かれ考えが全て抜けていく。

促されるまま見た先にあるのは。


「着いた、のか」


「みたいだな」


俺よりも頭二つ分ほど高く、両手を広げても届かないくらい幅のある黒い扉だった。


「…行くぞ。みんな」


小さく口をついた言葉。

広い廊下であっても反響するはずのない大きさのそれは、みんなのーーなにより、俺の耳にーーはっきりと届いた。


「まぶしっ…」


木に似た感触の扉を押し開き、差し込んでくる光に目を細める小虎。

黒い斑紋が視界に纏わり付く中どうにか確認できるのは、ベッドらしき物だ。


「……リューさんの寝床、ですかね?」


「でっすね。多分」


驚く程綺麗に整頓された、ベッドとソファのみの簡素な部屋。

埃一つ落ちてはいないが、生活感は感じられない。


「どうやら、リューはこの城の中でも重要な人物のようだな」


最後に通路から出てきたフタに頷き、僅かに張っていた緊張を解く。


「そーなのか?」


「だと思われます。

個室だけでなく、研究室らしきものまで持っていますから。恐らくは武具を開発・量産する役職の中で一番偉い方でしょう」


「へー。よくわかるな」


「分からない方が変でっす」


「なんだと!?」


「なんでっすか?」


「やめないか、二人とも!」


張り詰めていた糸が緩んだ途端、普段のように言い合いを始めそうになるナリと小虎。

だが、近くにいたフタがすぐに割って入った。


「ここは本拠地の一角なんだぞ。むしろ気を引き締めるべきだ」


「……分かったよ」


「ま、そうでっすねぇ〜」


「だな。フタの言う通り、これからは今まで以上に慎重に行った方がいい。どこから何が出てくるか分からないからな」


俺の言葉で再び全員の糸が張られる。


「…行きましょうか」


セラの見据える先。それは、リューの自室と思われる部屋の出口。

そこを出れば……いや、扉を開けるだけでも、戦闘が始まる可能性がある。

その事をみんな理解しているのか、扉の取手を安易に握ろうとする者は無く、外の気配を窺っている。


「……足跡は、聞こえないな」


「それらしい雰囲気も無いでっすね。行くなら今かと」


「……よし、開けるぞ」


フタとナリの安全確認を合図に取っ手をひねる。

隙間から辺りを覗き見つつ、二人の索敵が正しい事を確認し、扉を半分程押し開けた。


「大丈夫そうだ。進も…」


『進もう』

そう、言おうとした瞬間だった。


「えっ」


「あっ」


人形の身体を持ちヤギの頭をした両翼の魔物・ガーゴイルの一匹と目が合った。

間の悪い事に、扉を開けて少しした途端、廊下の角を曲がってきたみたいだ。


「よ、よっ!」


「こ、小虎ちゃん!?」


あまりにも突然な出現で気が動転したのか、小虎は街で俺と会った時のように気さくな挨拶をガーゴイルの彼に投げる。


「お、おう!」


「(!?)」


作戦……かと思いきや、意外にも呼びかけに応じるガーゴイル。

どうやら、向こうもかなり混乱しているらしい。

……これなら、上手く行くかも知れない。


「わ、悪い!道を間違えたみたいなんだ!すぐ帰る!」


「ル、ルフト!?お前まで…!」


拳を握り抗議するフタを無視し、リューの自室にみんなを押し込める。

大丈夫、大丈夫だ。あっちが冷静になるより早く行動出来れば、上手く行く。……筈だ。


「そ、そうか!そうだったのか。いやー焦った。そう言う事ならわかった。元来た道を戻るといい」


「あぁ!ありがとう!恩に着るよ!」


「ルフトさん!?」


よし、良いぞ。このままできるだけ迅速にみんなを押し戻して扉を閉める。

ーーそして。


「………そんなわけあるか!!!さてはお前達、人間の王都から来た兵士だな!?」


扉を開けたガーゴイルの彼を。


「…あ」


「まぁ、そう言う事でっすね」


「悪いが、拘束させてもらうぞ」


縄で縛り付けて、城の案内をしてもらえるよう説得すれば終わりだ。





それではまた次回。

さよーならー

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