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俺とみんなとお店

どぞ


時間は丁度、人々が活発になる頃。

二人〜四人組の少年や少女、手を繋いだ男女に、子連れの親子などなど、本当に様々な人が町中を行く。

それもそのはず。

俺たちが今歩いているのは、城下町でも最も栄えている一角。俗に言う、繁華街だからだ。

少し気を抜けばすれ違う人とぶつかってしまうほど混んでいるものだから、気が気じゃない。


「最初は怖いかもしれないけど、慣れればなんてことはないぞ」


「そうですね。

私も初めの頃は気を張ってましたけど、今はもう自然体でいられます。

適度に緊張感を持ってると慣れやすいかもしれません」


後ろから顔を出す小虎に頷いた、隣を歩くセラ。

二人がそう言うのなら多分そうなんだろう。

気を抜き過ぎない程度に気を使って歩くか。


「ところで、セラっちはどこに向かってるんでっすか?」


「私たちの知らないところだろうか?」


小虎同様、俺とセラの後ろを付いてくるフタとナリの質問に、セラはどこか得意げに笑う。


「ふふ、着いてからのお楽しみです!」









繁華街を少し歩くと、行き交う人々の様子が少しずつ変わってきた。


「なんか、お洒落な人ばっかりだなこの辺」


この辺りには初めてきたのか、小虎は言葉の端に緊張感を漂わせる。

…確かに、ダボついたズボンにサラシという格好で歩くには幾ばくか以上の度胸と気合がいるだろう。


「ここには来たことないでっすねー?何があるんでっすか?」


「気になっていた場所だな、楽しみだ」


「もう少しで着きますよー」


胸を弾ませる二人にそう言ったセラは、付近を見回しだした。


「…あ、あそこです!」


指差すのは軒下に見本の洋服が飾られた、どこか懐かしい雰囲気のお店だ。


「へぇー、結構良さそうな店だな」


店構えから伝わる落ち着いた空気は俺の好みらしく、早く中に入りたいとうずうずしてきた。


「ここは普段着るような服だけじゃなく、ちょっと特殊な繊維を使用した布製品も売ってるんですよ。

きっと役に立つ物が見つかると思いますし、見てみませんか?」


「いいでっすね!僕は見たいでっす!」


ナリの言葉にセラ以外が頷き、中へ入ることになった。





鈴の音がなる扉を閉じて見えるのは綺麗に陳列された様々な洋服。すれ違った人たちが着ていたような物が目に止まるように並べられている。

天井から下がる看板には、奥の方に野宿用の寝具などが置かれているようだ。


「…静かだな」


「だ、だな。騒がないようにしないと」


後に続いて入店するフタと小虎が呟き、ナリが小さく頷く。


「(取り敢えず、奥を見てみましょうか)」


小声でそう言い指差した先ーー野宿用の寝具が置かれている場所へと進んだ。

セラに付いて行き、商品の並べられているところへ着く。

服に比べるとかなり数が少ないが、半径数メートルまでに魔物が近づいたら警報の鳴る寝袋や、可燃物なら直ぐに火を点けられる使い切りの布、一人前の料理なら出来立てのまま保管できる手提げのような物、など、旅をする上であると便利な道具が所狭しと並んでいる。


「(へぇ、良いものばっかりでっすね。どれも欲しくなってしまいまっす)」


「(あちらにも少しあるようだ。ちょっと見てくる)」


「(じゃあオレは良さげな服があるか探してくるかなー)」


それぞれが好きなように商品を見始め、今ここにいるのは俺とセラだけになった。

商品名と、簡単に書き出された使用法などを眺めつつ、何か役立ちそうなものを流し見しながら、一つ、気になるものを見つけた。


「(…この[拭くとしばらく汚れなくなる眼鏡拭き]なんかはセラに良いんじゃないか?)」


商品名・払拭布ふっしょくふを隣に立つセラに勧めてみる。


「えっ!?そんなのがあるんですか!!(…その、戦闘中は砂煙だったりがよく硝子ガラスに付いてしまうので、良いかもしれません)」


よほど探し求めていたのか、普段でもあまり見ない大喜びをしたセラは、直ぐにどこにいるのかを思い出して声を潜めた。

…幸い、店内に客はそれほど居ないので迷惑になった様子はない。


「(はは。じゃ、ここに置いてあるから気が向いたら)」


「(はい。ありがとうございます。

…こちらはどうでしょうか?[一度研ぐだけで切れ味が戻る砥石]…えぇっと、神砥石しんとせきですね。

私たちは、私も含めてみなさん刃物を使うので、一つあると便利かと)」


差し出されたのは、セラの両手に乗るくらい大きな砥石だ。普通の砥石に比べて倍近く大きいが、翌日に決戦を控えていて手入れの時間も惜しんで休みたい、そんな時には役立つかもしれない。


「(…でも、この砥石で研ぐと著しく武器の寿命を縮めてしまうみたいですね。

私のクナイは消耗品ですのでそれほど気になりませんが、ルフトさんや他の方のは備品ですし、あまり良くないかもしれませんね)」


説明欄を残念そうに読み上げたセラは神砥石を元の場所に戻す。


「(確かにそうかもな。

ただ、多用しなければそれほど問題ないだろうから、余裕があれば買うくらいの考えでいたら良いんじゃないか?)」


そう言うと、セラは僅かに顔を明るくして。


「(…それもそうですね。候補に入れましょう!)」


嬉しそうに口にした。


「(これはどうだ?索敵網さくてきあみ、取り付け簡単な一種の罠だ。[地面に引かれた網を踏むと警報が鳴る]道具だ。

寝袋は使用している人にしか警報が伝わらないのに対して、これは近くにいる人全員に伝わるから使いやすいかも知れないな)」


「(でしたらこちらの、捕獲糸ほかくいとはどうでしょう?警報が鳴らない代わりに、[張った糸に引っかかった敵を自動で拘束する]罠です。

効果時間が短いので、安全な場所に身をひそめて掛かるのを待ったりは出来ませんが、寝袋と一緒に使えばかなり安心して就寝できますし、逃げるための時間稼ぎにも使えると思います)」


「(なるほど、組み合わせて使うって方法もあるのか。

なら、これとこれを…)」


店の広さに対してかなり狭い一角で、セラと思考錯誤しながら有用そうな道具を探し続ける。

単品の使用という考えから、複数個を同時に使用する考えに変更したためかなりの案が出てきたが、最終的に購入する候補として提案するのは警寝袋けいしんぶくろ…あの寝袋と、捕獲糸のみとした。

その他の道具も非常に使いやすいが、持ち運びの問題を考慮し、絶対に必要な物かつかさばらない物となると、この二つだったからだ。


「(そろそろ小虎とかも見終わっただろうし、迎えに行くか?)」


「(そうですね。

それでしたら、私はフタちゃんとナリ君のところへ行ってきますから、ルフトさんには小虎ちゃんをお願いしても良いですか?)」


「(分かった。

じゃあ、呼んできたらここに集合しよう)」


俺の言葉に頷いたセラは振り向いて、フタとナリが向かった方へと歩いて行った。


「(小虎は確か…)」


独り言を溢し、服の並べられている店の中央へと視線を向ける。


「(いた)」


何列かに分けられた商品の陳列台によってできた道から小虎らしき頭部を確認し、合流しに行った。








その後、無事に集合した俺たちはフタとナリの見つけてきた暗明視あんめいし…[使用すると暗闇の中でも一時的に周囲を昼と同じように視認できる]眼鏡と、小虎の発見した掘り出し物・屈折布くっせつふ…[着用すると一定時間、同じ物を着用した生き物にしか認知されない]頭巾付きのマント、俺たちの見つけた警寝袋に捕獲糸、それと払拭布を購入する事になった。

合計金額はそれなりだったが、道具の性能を考えると安いものだろう。

購入した物はどれも生存率を飛躍的に高めてくれる道具である事に違いない。きっと役に立ってくれる事だろう。


「さて!じゃあ次はオレが案内するか!」


店から出た俺たちの次の行き先は、妙に張り切る小虎のお気に入りの店だ。













To be next story.


次回もお出かけ編です。

それではまた。

さよーならー

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